君の髪

彼女の髪は腰まで届くぐらい長く、ふんわりとゆるくウェーブがかかっていた。お風呂上がり等で髪が濡れている時だけはストレートになるが、それ以外は常時その髪は柔らかく波打っていた。


「これは天然パーマなの。だからみんなのようなストレートな髪は憧れ。たまに縮毛矯正しようかなって考えることもあるわ」


「今のままの方が絶対に良い。可愛いと思う」


「……即答されるとは思っていなかったわ」


 彼女は驚いたように僕のことをまじまじと見た。


「別に君の好きにすれば良いけど」


 僕はなんだかいたたまれなくなってしまい、視線を逸らす。天然パーマでロングなその髪型は彼女にとてもよく似合っていて、わざわざストレートにする必要なんてない気が個人的にはしていた。彼女自身もふんわりした雰囲気を持っているのだ。今のままがベストだと言えよう。 


「もう。すぐツンツンする。あなたが可愛いって言ってくれるから、縮毛矯正はしません。安心して」


 彼女はそう言って笑った。
















END.

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る