涙を拭う手
はらはらと、流れる涙は何を意味するのか。
胸を押さえたくなる程の苦しさは、何を意味するのか。
孤独か、それとも恋情か。
ただ一人で流す涙の意味を知る人は、己以外にいない。
人前で流さぬと決めてから、一体どのくらいの時が流れただろう。
それをする事は、今では恐怖でしかない。
涙が溢れそうな時、奥歯を噛み締める。爪が食い込む程に、拳を握る。
心は悲鳴を上げる。きりきりと、壊れそうな音を立てる。
けれども、堪えるんだ。
最早それは意地。
一人になり、溢れる雫は重力に従い、頬を濡らす。
──涙を拭うは、己の手のみ。
【涙を拭う手・完】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。