Intermission4 「特撮ハイパー通信」

隔月特撮雑誌『特撮ハイパー通信』二〇一四年九月号

(2014年8月25日発売)

「超時空少年トキオ」二〇一四年秋、放送開始!


 

 この十月から東光特撮シリーズで新たなラインナップが誕生する。現在好評放送中のスーパー戦軍シリーズ(三十四作目『飛翔戦軍スカイフォース』が絶賛放送中!)のスピンオフともいうべき作品『超時空少年トキオ』がスタート。これまで登場した歴代の戦軍シリーズのキャラクターが総登場するという噂の作品。BS太陽の開局十五周年番組である。

 少年トキオは謎の魔犬の導きにより、異次元空間に誘いこまれる。その世界で暗躍する悪魔の帝王。そしてそれに立ち向かうヒーロー。また、時空を超えて共闘する戦軍ヒーローたち。少年自身もスーパーヒーローに変身して悪に立ち向かい……。

 ――放送開始前のため、ストーリーはこのくらいで。ただ、本誌に掲載されている、このフォトショットの数々を見ていただければもはや余計な説明は不要だろう。とにかくこれまでにない画期的な特撮ニューシリーズの始動を刮目して待て!

 スタッフは脚本に人気アニメ『アップル・オレンジ・グレープ・パイン』でシリーズ構成を務める相澤靖子。監督はオリジナルビデオ『小役人任侠』シリーズなどで活躍する長坂眞がパイロットを担当。その他『スカイフォース』にも参加している鹿島忠司という布陣。いずれも過去の戦軍シリーズに参加経験を持つ実力者たちが揃った。そしてチーフプロデューサーは『スカイフォース』もチーフで手掛ける宮地真由香が兼任する。

 新番組は二〇一四年十月三日午後七時三十分より、全十三回の予定。BS太陽で放送される。残念ながら、BS放送を視聴できない家庭では放送を見ることができないが、来年一月から地方のローカルUHF局やケーブルテレビでの放送、そして会員制サイト・東光ヒーロークラブでのネット配信が予定されている。情報がわかり次第番組の公式サイトにアップされるとのことなので、詳細はそちらを確認していただきたい。

 また次のページからは『超時空少年トキオ』『飛翔戦軍スカイフォース』両番組でチーフプロデューサーを務める宮地真由香氏のインタビューを掲載しているので、そちらもあわせてチェックしてほしい。





宮地真由香プロデューサーインタビュー



【宮地真由香プロフィール】

 一九八一年、石川県金沢市生まれ。津田塾大学卒業後、株式会社東光映画に総合職として入社。入社後は映画事業部に籍を置き、オリジナルビデオや映画のプロデューサーとしてホラームービー『サイコパス・ロマン』シリーズ、『恋に落ちたなら』『マスカットホテル』などを担当。その後、テレビ事業部に異動し、今年一月よりスーパー戦軍シリーズ三十四作目『飛翔戦軍スカイフォース』のチーフプロデューサーに就任。さらに十月からは『超時空少年トキオ』のチーフプロデューサーも担当する。



――新番組『超時空少年トキオ』のなりたちの経緯をまずは教えていただければ



宮地 この六月にBS太陽さんの社長に就任された大澤さんという方は、もともとは戦軍を放送されているテレビ太陽の編成部におられたんです。で、周年特別記念番組として、連続ものの特撮シリーズを東光で作ってもらえないかと大澤さんから言われたのがきっかけですね。金曜の夜七時半という立派な時間帯を用意していただきました。東光としてもゴールデンタイムでの特撮番組の放送はある意味悲願でしたのでニーズは一致したんです。ただ、BS放送なのですべての家庭で視聴が難しいのは残念なんですが。で、いろんな経緯があってわたしが番組をプロデュースすることになりました。



――まさか掛け持ちで番組を担当されるとは。驚きました



宮地 いやわたしも最初は断ったんですよ。それでなくても『スカイフォース』が初めての特撮作品でチーフを任されて大変なのに、一クール放送とはいえ掛け持ちで番組をやるなんて無理ですって。でも大澤さんがとにかく強引で(笑)。ホントにここ最近は特に忙しかったです。睡眠時間はだいぶ減ったし、健康体だったのに、周りからは顔色悪いし病院に行けと言われたり(笑)。最近は家にも全然帰れてなくて、近くのレディースサウナで仮眠するとか。……まあ愚痴はこれぐらいにしておいて、でもいろんな信頼できるスタッフに支えてもらっているので、なんとか年内まで頑張れそうです。ようやく今日、クランクインもできましたね。



――これまで戦軍シリーズは他の作品と共闘しない方針だったと聞いています。それが今回こういったクロスオーバー的な番外編を制作されるというのは画期的ですね



宮地 戦軍は一年一年が勝負であったと聞いています。過去にはすごくヒットした作品があって、「来年も続けてこの作品を放送できないか」と局から打診されたシリーズもあるそうですが、それをやってしまうと悪い意味でのマンネリズムが出てしまうんですよ。スタッフも慣れてしまうし、視聴者もダレてしまう。子供たちの目も誤魔化せませんから、どんなに好評でもスパッと年度ごとに切り替えたみたいです。ヒーローは一年に一ヒーロー。となると、他の年の戦軍ヒーローはいらないわけです。たとえば二〇一三年はサンダーフォース、という具合に皆さんにも十年後、二十年後も覚えてもらえるでしょうし。今回の企画はもともと大澤さんの発案ではあったんですが、戦軍も来年三十五周年だし、お祭り的な作品があってもいいんじゃないかと。一クールで完結もしますし、次の年にいい形でバトンが回せるなら、という思いで制作の機運が高まってきました。



――宮地プロデューサーは『スカイフォース』も担当されていますが、本家の戦軍と今回の作品で現場の違いを痛感されることがありますか



宮地 とにかく予算が厳しいという(笑)。まあ仕方ないことなんですが、戦軍はいろいろと協賛頂けるスポンサーが多いのですが、ゴールデンタイムとはいえBS放送なので、予算とスケジュール諸々のやりくりは大変ですね。かといって、現場で番組を支えてくれる東光テレビプロのチームは一緒なわけで、たとえば『スカイフォース』のロケ弁は八百円だけれど、『トキオ』では五百円にするというわけにはいかないじゃないですか(笑)。でもそこは予算管理に厳しいラインプロデューサーの折尾(仙助)さんというベテランの方がうまく手綱を握って下さってます。予算関係でひとしきり愚痴ってしまいましたが、良い面もあるにはあって、戦軍だと決め事とか作劇上でも縛りが多いんですね。ヒーローは二度立ちが基本、ロボットを出す、放送コードとか。それが『トキオ』だとある程度表現の自由が許されています。自由に作品を転がすことができるというメリットもあるにはあります。



――主役の少年トキオ役の佐伯春君について教えてください



宮地 予算関係の問題があって、今回顔出しのレギュラーは多く出せないわけです。結果的に素面のレギュラーはトキオだけなわけで、それこそキャスティングは重要でした。だけど、オーディションをやった時、もう即決でした。彼しかいないよね、という感じで簡単に決まりました。このドラマは過去の戦軍シリーズが一堂に集結するという面で注目を集めていますが、それ以上に彼の芝居にも皆さん注目していただきたいと思います。天才少年佐伯春現る、です(笑)



――ライターは相澤靖子さん、演出陣はは長坂眞監督、鹿島忠司監督という布陣ですが



宮地 相澤さんはサブプロデューサーの神長倉(和明)さんの推薦でした。それでいくつか相澤さんのアニメを拝見したのですが、すごく繊細で、見ているこちらをキモチよくさせてくれる作風だと思いました。予算関係で好き勝手に筆を進ませることが出来なくて申し訳なく思っています。皺寄せが全部相澤さんにいっているんですが、そこからでもちゃんとドラマが書ける方なので筆力がおありなんだな、と感心しています。パイロットの長坂監督はわたしからお願いして現場に来ていただきました。テキパキと撮影を進行されて、現場のスタッフを自分の世界に誘える優秀な演出家だと思っています。向こう二年、いろんな現場の約束があったようなんですが、「面白そうだ」とノッて多忙なスケジュールをやりくりしていただいて、こちらにやってきてくださいました。長坂監督は佐伯君の芝居に大きくほれ込んでいるので、それの長坂監督と佐伯君の化学変化にも期待しています。あとサブの鹿島監督は『スカイフォース』でチーフ助監督と監督を務めてくださっていますが、そちらを抜けてもらって新番組チームの演出部に来ていただきました。戦軍に長く携わり過去のシリーズの知識にも精通されておられるので、シナリオのアイデアも積極的に出していただけるので非常に助かっています。一クール、長坂眞、鹿島忠司の両監督でローテーションを回していきます。



――そして新番組だけでなく、現在放送中の『飛翔戦軍スカイフォース』についてもお話をお聞きしたいと思います。かなり反響が高いですね



宮地 前年度よりは数字が上向きになっている、という話は聞いています。ただ八月は夏枯れの時期なので今後の視聴率は心配なんですが(笑)。おっしゃる通り、反響は高いですね。今回五月に登場したスカイキングダムの玩具がかなりヒットしまして、デイリーの玩具売り上げでトップも記録したかです。みんな大喜びしてますね。特撮監督の津島(律夫)さんも登場シーンは何度も粘って頑張っておられましたし。あと、この場を借りて申しあげておきたいのですが、番組の立ち上げに尽力してくださったのはパイロットの長門(清志郎)監督なんですが、彼の才能と功績が特に大きかったと今でも感謝しています。



――巷ではスカイブラックとスカイホワイトがカップルになるのでは、という予想もあるんですが



宮地 そんな予想、ホントにあるんですか(笑)? でも意図的にそういう面にも力を入れてるのは確かですね。子供たちがドラマについてこない、ヒーロー番組なんだから黙って戦いだけ描いておけばいいんだ、なんていろいろと各方面からお𠮟りも受けます。視聴者の方からもお便りをもらったりして。でもそれだと先程も申し上げましたが、変な意味でのマンネリズムが出てしまうんですね。ヒーローだってひとりの人間ですから、普通の若者らしく恋愛もアリなんじゃないかとは思うんです。ただ、どうストーリーが転がっていくかは能勢(朋之)さんしかわかりません(笑)。戦軍では今まで敢えてヒーローのプライベートは描かなかったんですが、そちらのドラマも盛り上がっていくんじゃないですか。これから番組はクライマックスに向かっていくわけですが、でも基本はヒーロー番組ですから。ピシっと決めるところは決めていきます。戦軍は戦軍です。そこは期待していてください。



――大いに期待しています。最後になりましたが、宮地プロデューサーの今後の抱負を聞かせてください



宮地 これはPRですが、この秋からは東光がアツいです(笑)。『七人の女刑事』は続けて放送されるし、『情熱刑事』も新作が放送される。そしてBS太陽のゴールデンタイムで特撮新シリーズもスタートする。その他進行中の企画もいくつかあります。皆さんにはぜひ期待してもらいたいと。これは上司に言えと言われたもので(笑)。それはともかく、とにかくスタッフが頑張っています。わたし以外でも『スカイフォース』と『トキオ』を掛け持ちで担当しているスタッフが何名もいるんですが、みんな徹夜で頑張ってます。そのスタッフの努力が少しでも映像に反映されればな、と思っているんですが。そしてわたしも頑張っています、この大泉の片隅で(笑)。でもこんな不景気な時代に、『超時空少年トキオ』という新しい特撮シリーズを作らせてもらえるのも非常にありがたいことですし、BS太陽さんにも感謝ですね。そして『飛翔戦軍スカイフォース』もこれからラストに向けてどんどん盛り上がっていきますよ。そう、ヒーローは眠らない、です。この言葉はわたしの座右の銘なんです。大文字でお願いします(笑)。まあ、本音をいうと、ヒーローはともかく、わたしはもうちょっと布団の中で眠りたいなあというところではありますが(笑)。



    (二〇一四年八月四日月曜日 東光東京撮影所内 聞き手・鍵本欽也)

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