シェフを呼べ

「なんだこの料理は! シェフを呼べ!」


 おとうさんがきゅうに大きなこえで言いました。

 わたしはこわくなりました。


「どうしたの、あなた」


 おかあさんがキッチンから出てきます。


「俺が呼んだのは主婦じゃなくてシェフだ!」


 おとうさんはおはしでおさらをたたいています。

 ぎょうぎがわるいです。

 おかあさんはやれやれとエプロンをきてから、ごほんとせきをしました。


「その料理を作ったのは私でございますが、お口に合いませんでしたか?」


 シェフになったおかあさんがエプロンをひらひらさせます。

 それを見たおとうさんはにっこりわらいました。


「すごくおいしいよ。いつもありがとう」


「光栄です」


 おとうさんとおかあさんがわらいあったけど、いみがよくわかりません。

 わたしはおかあさんに言いました。


「シェフ、このおとこ、どうりょうりしますか?」

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