麺どくさい人

「ちょっとそこのあなた」


「はい? 占いなら間に合ってますけど」


「手相が見えます」


「死相じゃなくて!? そりゃ見えるでしょう!」


「私にラーメンをご馳走してくれると大きな幸福が訪れる、と出ています」


「そんな限定的な手相があるか!」


「袖振り合うも多生の麺、と言うではないですか」


「無理やり麺を絡ませてきた!」


「私はちぢれ麺が好きなんですけどね」


「どうでもいいわ! 果てしなく!」


「奢ってくれるのが豚骨ラーメンだった場合は麺気アップ!」


「麺気って何だ」


「替え玉座のあなたはラッキーデー♪ 今日はイイコトあるかも?」


「勝手に星座作んな」


「バリカタ座のあなたは地獄に落ちろ」


「何か恨みでもあんの!?」


「今日は硬麺の気分じゃないんです……」


「あんたのさじ加減じゃねーか! てか、奢らないからね!?」


「まあまあ、ここで会ったのも何かの麺だと思って……」


「しつこいな!」


「スープはあっさり系の方が好みです」


「どうでもいい情報増えた! だいたい、見ず知らずのあんたに奢るわけないだろ!」


「そんな冷たいこと言ってると、伸びちゃいますよ?」


「僕は麺じゃねぇよ!」


「麺類、皆友だち」


「僕を人類のカテゴリーから外すな!」


「すみません」


「そこまできたら『ご麺なさい』って謝れよ!」

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