プロのお仕事

 カクヨムに限らず、なろうでもアルファポリスでも他の小説投稿サイトでも、そこで才能を見出されて願わくばプロになりたいと思っている書き手の皆さんは多いと思います。

 投稿している人の中にはこう言うサイトを利用している人はみんなプロ志望だろうと思っている人までいるようです。


 確かに文筆で、いや、自分の好きな事を仕事に出来たらいいですよね。今プロで活躍している人も最初はそう思ってプロを目指したのでしょうし。

 自分の妄想を、主張を形にして、それを多くの人が楽しんでくれる。これほど素晴らしい事はありません。夢です、理想です。叶えたい願望です。


 しかしそれは夢の表側の華やかな部分であり、語られない闇の部分は大抵の場合、見過ごされてきました。その職業にならなければ分からない苦悩はどんな職業にもあるものです。華やかなショービジネスの世界だって裏側では色々と大変なのですから。


 そんな裏側の世界、特に作家の苦悩は今まであまり話題になる事はありませんでした。精々ネタが出なくて苦しむとか精神を病んで自殺するとか――でしょうか?

 文豪の先生がネタが出なくて編集から逃げ回るイメージなんて言うのは昭和の頃からある使い古された古典的なパターンですよね。


 カクヨムが始まりランキングに挙がるようなエッセイをちらほら読んでいると、今まであまり見えてこなかった作家ならではの影の部分を伺わせるものが幾つかありました。やはりプロの作家の先生もまた苦悩の多い職業だという事がそれらの作品を読んでいて分かって来たのです。

 そう、作家も楽な仕事ではありません。隣の芝生が青く見えただけだったのです。


 多くの作家志望の方が抱いている幻想のひとつに好きな作品を書いて受ければ大金持ちと言うのがあると思います。そりゃ一度ヒットを飛ばせばそう言う環境になる可能性もあるでしょう。

 しかし、多くの場合、好きな作品は書かせてもらえないみたいです。


 作家とは何か。職業作家とは出版社が欲しい作品を生産する職業です。なのでまずは出版社の要求に答えなければいけません。こう言う作品は書けないではお仕事はないのです。だから色んなジャンルを書ける能力が求められます。大変ですね。


 書けたとしても売れるかどうかは別。プロ作家さんのエッセイによれば悪質な編集に引っかかると原稿料すらまともに支払われなかったりするそうです。

 そして依頼される仕事ばかりを受けているのもいつ仕事が途切れるか分からないので、自ら企画を立ててプレゼンすると言う営業能力も必要とされるみたいです。


 今は出版不況の時代ですから、書籍化されたところでそこにあまり夢を持たない方がいいのかも知れません。自分の作品が世に出た時点から苦難は始まるのです。大変そうです。

 職業のある人は辞めないようにと言われるのも納得です。文筆だけで食べていけるのはよっぽどのヒット作を出せる極一部の売れっ子先生だけなのです。


 何にせよ、自分がその分野で食べていこうと言うのはどの分野でも大変なのですね。プロを目指す人は甘い幻想は捨てて覚悟を持って進んで欲しいと思います。自分を信じて不屈の精神で人生を切り開いていって欲しいと願うばかりです。

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