第17.5話 動き出す者

ここは、世界から隔離されたとある空間。

そこには、膨大な魔力を持つ八人の男女が机を囲むように立っている。


 真っ黒な杖を持ち老人の姿をとる者、燃えるような赤い髪で軍服を着ている女性、死神の鎌のようなものを持つマントを被っている者、刀を磨く男性、黒い羽を生やし槍を持つ男性、緑の髪を持つエルフのような女性、筋肉質な男性。


 どれも只者ではないオーラを放っている。


「おい、今回の異世界人は強いのか?」


 だれが喋っているのかは分からないが空間内で声が響く。


「まあ、強いんじゃないかしら。じゃないと楽しめないじゃない」


「ふん、どうでもいいが既に世界に認められた者もいるみたいじゃな」


「早く見たいなぁ、彼らが壊れるのを」


 何やら、不吉な予感を感じさせる彼らの会話。いったい何者なのか今は分からない。


「では一度、情報を整理しましょうか」


 また、誰が言ったかは分からないが会話が始まる。


「まず、異世界人の十五人は無事、世界に馴染んできています。

 その内、世界に承認され認められたのが五人。

『勇者』、『解析者』、『破壊王』、『創造者』、『適応者』の力を身に付けています」


「おい、みんな厄介な力を目覚めてやがるな」


「そうね、殴りがいがありそうだわ」


「その内、『勇者』は『魔王』と手を組んだようです」


「また、厄介な奴と」


「『破壊王』と『創造者』は力を使いこなし、姿を眩ませています。『適応者』は何故かメイドを二人連れ冒険者をやっているようです」


「ほう、『適応者』は変わり者みたいだな。奴の能力は厄介なことが多いから潰しておきたいのじゃがの」


「しかし、問題がありましてメイドの戦闘力が高過ぎるのです。我々と同等の戦闘力、そしてそのうち一人は『断罪者』です」


「ふーん、あの娘が。なら、手を出しにくいね。強いから」


「まあ、どうにかなるでしょ。では、世界を手に入れるために行動しよっか。この会議が役に立つことを祈っているよ」


 こうして、謎だけを作り姿を消していく彼ら。次第にトオル達に魔の手が迫っているのだった

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