第8話 馬車の中は暇でしょうがない
都市『ベルトラ』。別名、魔法都市と呼ばれている。
魔法都市の由来は簡単に言うと、ここが魔法に一番力をいれている都市と言われているからだ。
魔法の開発から始まり、魔法道具、そして魔法を使う者達の育成をするもしたりする、冒険者学校までもがある。
だけど、魔法だけが凄いわけではない。貿易も盛んで色んな物が揃っているのだ。
て、ことはだ。海の幸から山の幸まであるってことではないだろうか。
ぐふふ、こう見えて俺は食べることが大好きなのだ。特にスイーツ関係が大好きだが、基本全般の食べるものは大好きだ。
そんなわけで、
「旨い物をたくさん食べるぞ~!」
「うるさいです! ご主人様。危ないので座ってください」
「............はい」
俺は勢いよく立ち上がったのだが、怒られ座る。はい、今馬車の中にいます。
ちなみに先程の説明は、ミルとアリシアに聞いた内容だ。
別にいいだろ? 俺が自慢気に話しても。
なんか、長い説明ってしてみたかったんだよ。クールな感じが出て出来る男って感じだろ。きっと、分かる人には分かると思うんだけどな。
そして今、馬車に乗っているわけだが、これには海より深い深い訳があるわけだけど......
まあ、簡単に言うと道を歩いているときに商人の馬車に拾って貰ったんだ。な?! 深いだろ。
「ご主人様、浅すぎますよ」
「うるさいやい」
最近、いや、最初にあった時からアリシアのツッコミが鋭いです。俺......主だよね。
「でも、トオルさま。馬車にのせてもらってるのですから、静かにしないとメッですよ」
「......はい、すみません」
すこし、騒ぎ過ぎたようです。まさか、
だってあれだぞ。頬を膨らませながら、人差し指を立てて「メッ!」だぞ。可愛いだろ。しかも、猫耳のオプション付きだし。あ、怒った時は耳はピンっと立っているのか。これも可愛いな~。メモメモっと。
「ご主人様、変態ですね。もう人として見ることが出来なさそうです」
アリシアがなんか言っているが無視だ。と言うかここで言い返したら、またミルに怒られてしまうし。
しかし、アリシアのやつ、俺がこの状況で何も言い返すことが出来ないことをいいことに、言ったんじゃないだろうか。こやつ、策士だな。
それにしても、
「馬車の中で、座っているのって嫌になるな」
「ミルも、馬車はあまり得意じゃないです」
「まあ、分からなくもないですが」
そう、馬車の中は振動が凄いのだ。もう、揺れるわ揺れるわ。その度に振動がお尻に伝わる。もう、お尻が痛いわけよ。
ちょっとした段差で、馬車の中は大きく揺れ、アリシアの胸も大きく揺れる。あれ、なんか苦じゃ無くなって、
「ご主人様、千切りますよ♪」
「や、止めて。謝るから......ごめんなさい」
「分かればいいです」
ものすごい笑顔で「千切りますよ♪」とアリシアに言われ、謝る俺。笑顔だけど、その瞳は冷たかった。
例えるなら、絶対零度の視線だろうか。その視線だけで、周りの温度が下がったような気がする。もう、ガクブルっす。
「アリシアちゃん、お、落ち着いて。ほら、トオルさまがこわがってるからね」
「それも、そうですね。冗談のつもりだったのですが」
えっ? 冗談だったの? マジの殺気だったような気がするけど。
殺気だけで人を殺すって、よく小説とかであるけど、あれって凍死させているんだろうな。
俺もいつか、使えるようになるのだろうか。
ほら、熱い眼差しを人に向けて「暑いわ暑いわ」って感じで服を脱ぎ始める。うん、いいなそれ。
俺は密かに使えるようになろうと決心するのだった。
「ほら、皆さん見えて来ましたよ」
馬車を操縦していた商人の方が、俺達に外を見るに言ってくる。そして、馬車の隙間から外を見ると、
「あれが『ベルトラ』か」
そこには、塀に囲まれた都市『ベルトラ』がそびえ立っているのだった。
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