第4話 実はチートを持っているんじゃないかと、思っていた時期がありました

 メイド二人のステータスを見て、俺のステータスを見ないわけにはいかないだろう。


 とっいうことで、これが俺のステータスだ。



『カミヤ・トオル』


種族: 人族(異世界人)


職業: 未定


Lv: 1


能力値: 攻 10

守 5

魔 1

魔防 5

速 15

運 1


魔法: 


スキル: 鑑定1


ユニークスキル: ???



 俺、弱?!! あまりにも紙装甲過ぎるだろ。しかも運が1ってなんだよ。どんだけ運がないんだよ。


 いや、これが一般的な一般人のステータスなのかも知れない。そうじゃなきゃ、心が折れそうだ。


 それにしても、職業が未定ってどういうことだ? もしかして、これはどこかで設定しなきゃいけないのか?


 そんな疑問を二人に聞いてみると、


「ギルドで、しょくぎょうは変更できます」


「未定って、ご主人様にピッタリですね」


 やはり、職業は設定出来るようだ。

 そして、アリシア。俺をご主人様だと本当に思っているのだろうか? なんだか、先行きが不安です。


 あと、鑑定の横に1と数字がある。これを見る限りレベルがあるのだろうな。とりあえず、使っていけばレベルは上がるだろう。


 となると、今後の方針としてはギルドに行くことを考えた方がいいだろうな。手っ取り早く、街を目指すとするか。


「なら、とりあえず街を目指すか。いつまでも、こんな場所にはいれないしな。

職業も決めないといけないし」


「はい、ごしゅじんさま!」


「クス、未定ニートのままでも良かったのですよ。ご主人様」


「おい、人がこっそり気にしていることを」


 街に行くことを提案すると、ミルは嬉しそうに笑顔で頷き、アリシアは相変わらずの抉るような言葉を吐く。

 ......気にしているのに。考えないようにしていたのに。


「私には、『読心術』がありますから」


「便利過ぎない?!! それ」


 まったく、油断も隙もありゃしない。アリシアには考えていることは筒抜けのようだ。


 それにしても、『読心術』って危ないスキルじゃないか。このスキルを持っている奴がたくさんいたら、プライバシーも無いんじゃないだろうか。


 そんなことを考えていると、アリシアはクスリと笑う。


「ご主人様、『読心術』といっても人によって能力の差があります」


「そうなのか? それにしても、アリシアの能力は高そうだが」


「それは使い込んでいますからね。レベルは無くとも見えない数値、つまり努力値なるものがあるということです」


 なるほど、アリシアの能力は元々大きな力を秘めているうえに、使い込んでさらに磨きをかけたのだろう。


 まあ、プライバシーの心配は今のところアリシアにだけ注意すればいいだけだな。


「あ~、アリシアちゃんだけずるい」


「ん?」


 アリシアと会話していると、ミルが頬を膨らませてこちらを見ている。


「ミルもごしゅじんさまとお話する」


 なんて、可愛いことを言ってくれるのだろう。可愛いやつめ。俺はミルの頭を撫でる。その際に猫耳をコリコリするようにしてやる。


「ん~♪」


 目を細め、気持ちよさそうにしている。癒されるな。


「変態ですね♪」


「楽しそうだな、お前は」


 そんな光景見て、変態だと罵られる。確かに幼女の頭を撫でてる冒険者ってヤバそうだけど。うすうす気付いていたけどもさ。そこは黙っておこうぜ。


「さて、気を取り直して行くぞ」


「「はい」」


 そんなこんなで、三人の旅は幕を開けるのだった。

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