第3話 メイドってこんなのだっけ?

 すみわたる青い空。どこまでも続く緑の平原。頬を撫でる清らかな風。


 はい、全く見覚えない平原ですね。


 ちなみに服装も変わっている。なんか、冒険者見習いが来てそうな茶色の地味な服だ。


 きっとちゃんとした防具なのだろうが知らん。大体、防具の正式名称なんて分かるわけないだろう。腰には、少し重みがある袋が付いている。


 そして、俺の目の前にはメイドだと思われるメイド服を着た幼女と少女がいる。


「ごしゅじんさまぁ、どうしたのですか?」


「ご主人様、ダサいですよ」


 舌足らずな喋りの黒髪の猫耳メイド? の幼女。人懐っこい表情をしていて可愛らしい。俺の髪を見て、「わっ! おそろい」なんて言ってる表情も可愛い。

 俺が紳士でなかったら、お持ち帰りしていたかも知れない。


 そして耳がすこし長く、流れるような長い髪をしている金髪のエルフメイド? の少女。エルフのメイドの方は気が強そうな感じだな。口も少し悪いし。


 ......もしかして、この二人が俺の特典なのだろうか。


「えっと、もしかして俺の」


「はい! ごしゅじんさまのメイドの『ミル』と言います! よろしくおねがいします」


「薄汚いご主人様のメイドの『アリシア』と言います。よろしくお願いいたします」


 色々、ツッコミたいがこの子達がメイドみたいだ。俺のチートでの活躍は無くなったみたい。


 俺は肩を落とし、落胆しているとアリシアが側に寄って来て何かを渡してくる。


「これを女神様(笑)から受け取りました。これをご主人様に」


 明らかに馬鹿にしたような女神の呼び方だったような気がするが、まあ、いい。あえてスルーだ。

 なんか、ミルがアリシアに「メっだよ、アリシアちゃん」って言っているのが可愛いが、今は受け取った物、紙を見てみる。どうも女神からの手紙らしい。


 内容は、



 無事に異世界に着いたみたいですね。それは良かったです。そこにいるメイドが貴方の特典となります。見た目に反してものすごく強いので、貴方を守ってくれるでしょう。


 ちなみに、その世界ではステータスが存在します。貴方を含めた転生者の方には鑑定のスキルをプレゼントしているので使ってみてくださいね。

 参考程度に、この世界の中級冒険者クラスの能力値の平均がこちらになります。


Lv 50


攻 300

守 200

魔 200

魔防 300

速 100

運 10



それと生前のパソコンのとあるファイルなのですが、削除仕方も閉じ方も分からなくなりましたので、開いたままにしときました。まあ、問題ないですよね。


 では、楽しい異世界ライフを。



 ......とりあえず、分かったこと。メイドが強いことと鑑定が使えること。そして、


「くそ、女神がー!!!」


 俺は手紙を地面に叩きつける。余計なことをしやがって。あれを家族とかに見られるとか最悪じゃないか。

よけいなことせずに、せめてこゅ世界の情報とかくれよ。何も分からんわ。


 とりあえず、目の前で俺を見ている二人に鑑定をかけてみることにする。


 その結果は、



『ミル』


種族: 黒猫族


職業: スーパーメイド


Lv: 99


能力値: 力 1000

守 500

魔 500

魔防 500

速 1500

運 50


魔法: 火魔法3、風魔法4、聖魔法3。時空魔法2。


スキル: 耐性EX(全ての状態異常無効)、剣術EX、黒猫流剣術EX、御奉仕EX、猫闘気


ユニークスキル: 『断罪』


 なんか、見るからにチートのような気がするんだけど。能力値を見る限り、速さと攻撃力が高いな。

 ただ、スキルに関しては鑑定しても詳しい説明は分からないだよな。明らかに、ユニークスキルの『断罪』なんてヤバそうなのに。


 これは俺の鑑定のレベルが低いからか? レベルがあるのかは知らんけど。


 さて、続いてアリシアを見て見るとする。



『アリシア』


種族: エルフ


職業: スーパーメイド


Lv: 99


能力値: 力 400

守 600

魔 1600

魔防 1000

速 400

運 70

魔法: 水魔法EX、土魔法4、闇魔法EX、


スキル: 耐性EX、鞭術EX、投擲5、御奉仕EX、気配遮断、読心術


ユニークスキル: 『弱者操作』



 ......こいつは危ないやつってのは分かるな。なんだよ、気配遮断って......。それと『弱者操作』とか危ないやつじゃん。


 こんなチートどもが俺のメイドでいいのかよ。


「えっと、......とりあえず、これからよろしくな」


「はい! ごしゅじんさまぁ」


「クス、よろしくお願いしますね。ご主人様」


 とりあえず、気まずい雰囲気を崩すかのように(多分、気まずいのは俺だけだけど)、なんとなく再び、挨拶をする。


 俺はこの二人を従えることは出来るのだろうか?

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