第15話

 三つ目の通路には何の障害もなかった。

 誰かが立ち塞がることもなければ罠もなく、俺たちはただ先を行くライナの背を追った。

 通路の奥にこれまでで見慣れた扉が姿を現し、そこで初めて足を止める。


「娘が居るの」

 魔王の言葉に、思わず扉に突っ込んでしまいそうだった。それを何とか耐え、ライナへと視線を向けた。

「この先に春奈がいる」

「本当か? なら、行こう」

 ライナが扉に触れると炭酸水の入った容器を開封したような音がし、扉がゆっくりと開く。


 佐伯の研究室らしき部屋の中の空気が、俺たちのところまで流れてくる。

 それは冷たく、消毒薬の臭いだったり液体のなかに空気を送り込んでいるような音だったりをこちらまで伝えてきていた。


 そして、俺は部屋の隅に居る春奈の姿を視界に捉えた。

 春奈は全身を菱形の水晶に覆われ、飾り細工のような印象だ。

 水晶には鎖が繋がれ、先は天井、壁へと繋がっていて、それはまるで浮かんでいるようだった。

「小僧の話を聞いて大方予想は付いておったが、灼眼を使用したようじゃの」

「どういうことだ?」

 確か灼眼を春奈に与えた時、この魔王は身体が保たないから使うな。そう念を押していたはずだ。まさかその影響が今のこの春奈だというのだろうか?


「しかしつくづくこの娘は恐ろしい。ただ使用するに止まらずまさかここまで我の灼眼を使いこなすとはの」

「だから、どういうことだよ」

 失敗してこうなったんじゃなくて、春奈が望んでこうなったというのだろうか。

「この娘は空間を焼いたのじゃ。おそらく科学者の使用した煙というのが猛毒だと見極めたのじゃろう、身を守るため周囲の空間を焼き、外界と自身を分かったのじゃろう」

「仮にそうだったとしてじゃあ春奈はこの後どうするつもりなんだ?」

「さて、この娘は我の想像の範疇にないからの。ただどうにかしようとするのならば、我の灼眼でとけ固まった空間を再度とかせば問題なく蘇るじゃろう」

「そんなことが出来るのか?」

 出来なければこんなことを言いはしないだろう。わかっていても、思わずそう尋ねてしまいそうになるのもわかって欲しい。空間に関する認識が、俺とは違う。空間を焼けるだけでも理解出来ないし、それをさらに焼いたら元通りになるなど訳がわからない。


「ただ、八割の力は欲しいの」

 それはつまり、現時点では打つ手がないといっているのだろうか。

「そんな顔しなさんな、魔王さまのご機嫌損ねたらその子どうしようもないと思うよ?」

 何が可笑しいのか、多命の賢者が歯をむき出しにしている。

「それより魔王さまの力を回復させる方法を考えた方がいいんじゃない?」

 こいつの言うことは一理あるのだが、それがなおさら俺の神経を逆なでる。


「いや、その前に爆弾だ」

 ライナが一歩前に出て言う。ライナは周囲に目をやり、それから本棚に触れ始めた。

 一瞥したところ、その爆弾というものは存在しなかった。

 本棚に詰められているのは紙の束で、その本棚は部屋の壁全体を隠すように並べられている。その本棚の前には入りきらなかったのだろう紙切れ、よくわからない肉片の浮いた容器とそれに繋がる管、さらにそれを辿ると低い唸り声を立てる金属製の箱。


「隠し扉があると思ったんだが……」

 ライナは本棚の紙の束を床に放り投げ、空になった本棚へと手を伸ばしているが、成果は出ていない。

 そして、待つのに飽きたのか童女が錬気を始めたその時、俺たちが入って来た扉が開いた。


「お、久しぶりだな劣等生」

 目鼻立ちが整っていると言えばお世辞になる程度の三枚目の男は、染め上げた茶髪を弄りながら、笑顔を見せた。次いでライナに気付くと、嫌らしく顔を歪める。

「獲物の追い立てご苦労さん。今回は劣等生だけか? 使えねえなあ、天才騎士殿は。で? 通路の番犬共がいなくなってるんだけどどういうことよ?」

「サンジ、お前何言ってんだ?」

 ライナが目を丸くして言った。サンジが声調からライナをバカにしているのはわかるが、ライナは一々こんな小者に腹立てたりするような男じゃない。だから言外の意味はない。しかしライナに劣等感を覚え、異常なまでの被害妄想を持っているサンジにはそうは取れなかったようだ。


「ああ? お前いつまで俺より優秀なつもりなんだよ、科学者殿の駒風情が」

「どういうことだ?」

 ライナの目が細められた。勇者の眼光だ。サンジが思わずといった様子で一歩後退し、それに気づき舌打ちをする。

「お前はな、ここがおかしくなってんだよ。ひゃは、そのことにも気づかず憐れだねえー」

 ここ、そうサンジは自分の頭を人差し指で何度か叩いた。


「お前は残存勇者を研究室に案内するだけの機械人形になっちまってるんだよ。お前は口では王国を守るためって言いながらそのための勇者たちを次々に死地に送り込むだけの犯罪者になっちまってんだよ、ひ、ひゃは」

 おかしくてたまらない。自分よりも優れた者が堕ちていく様が快感だと、サンジの笑いは示している。


 ライナが俺を見た。だから俺は首を振る。

 きっと、頭がおかしくなっているのはサンジの方なんだ。

 そうでなければこいつ程度が科学者の協力者として重用される理由がない。

 ライナは短く頷いた。それはきっと同窓を解放しようという意思の表れだ。


「ああ、おもしれえ。さて、それじゃあのこのこ餌に釣られたバカ野郎を排除しますかね。ええと、劣等生。お前だお前……あ? そういやお前そんな肌の色してたか?」

 こいつ本当にバカだな。そう思うのと同時に、ライナがサンジに襲い掛かった。床に散りばめられた紙が宙を舞う。ライナは既に錬気で愛用の鞭を生み出している。そして八又のそれを束ね、一本の刃と化す。

 それはサンジの首元に迫り、そして、止まった。遅れて、サンジが尻餅を着く。しかし、そこまでだ。

 ライナが斬ろうとすればすぐに斬れる今この状況、だが、何故かライナは斬らない。


「なあ、勇人」

 ライナが乾いた笑いを浮かべる。その声は震えている。

「身体が、動かないんだ」


 刃をサンジに差し込めばそれで終わる。だけど、それがライナには出来なかった。

 ライナが錬気を強めたのを感じた。しかしそこまででライナが何かをすることはない。


「び、ビビらせやがって人形風情!」

 サンジが錬気を練り、ライナの頬を打つ。短い悲鳴と共にライナが紙束に突っ込み、紙束が宙を舞う。


「ライナ!」

 ライナへ駆け寄るか、それともサンジを攻撃するか逡巡し、俺はサンジへと向かった。

 俺は拳へと錬気を練る。これまでで最も色濃い紫色をしたそれはきっと十分な威力があるだろう。サンジの見開いたその目がそれを雄弁に物語っている。俺は魔王に身体を貸したことでまた強くなったようだ。


「れ、劣等生如きが――」

 サンジが愛用している盾を錬気で生み出す。投げつければ切断系の投擲武器にもなるそれを、サンジは本来の用途で使う。

 俺はそれをそのまま殴りつけると盾はへこみ、そのまま砕けた。振りぬいた勢いそのままに俺の拳はサンジの腕にまで届いた。表面の肉を押し潰し、その奥の骨まで粉砕する。


「ぎぃやああぁあ」

 室内に、みっともない悲鳴が響く。サンジはうずくまり、青黒くなった自分の腕を、涙で濡れた眼球で見ている。痛みからか、その口からは涎が垂れていた。


「ライナ!」

 改めて俺がライナの所まで行くと、ライナはサンジに殴られた拍子に口を切ったのだろう。口端から一筋の血を流していた。見たところダメージはほぼない。ただ、その目からはライナらしい色が消えている。

「なあ、勇人」

 弱々しい声だった。俺はこんなライナの姿を見たことはない。入校初日の洗礼戦後の時も、春奈に何回負けても悔しさをバネにすると口にするばかりだった男だ。それが、全てを諦めたような目をしている。


「俺はもう勇者としていられないのか?」

「そんな訳ないだろ。お前は科学者側に付いた勇者たちと、残存勇者を率いて戦ってたじゃないか。科学者側に付いた勇者たちをこの地下から出さずにいてくれたじゃないか。もしもあいつらが国中に散っていたらそれこそ国が終わってたかもしれない」

「そうなのか? だとしたら、嬉しいな。でもよ、これから先、俺は役に立たないんじゃないか?」

 サンジを斬れなかった。そうなるとサンジよりも重用されている面々にはライナは逆らえない恐れがある。

 ライナもそれに思い当たったのだろう。校生時代は脳筋だった癖にらしくない。


「ああ、全くだ。餌としても使えねえみてえだしこっち側からも要らねえよ手前は」

 再形成だ。十全の調子に戻ったようでサンジの腕には再び盾が生まれ、その顔は嘲るようにして歪んでいる。

「おら、天才騎士様。そっち側にいられるかどうか最後に試させてやるよ、ほれ、ここだここ」

 ここだとサンジが先ほど自分がライナを殴った箇所を指で示す。ライナがゆっくりと立ち上がる。止めるべきかどうかを悩みながらも、俺は止めることが出来なかった。


 ライナが錬気を拳に乗せ、振るう。

 サンジがわずかに身を引いたが、避けたというよりも小心からの反射だろう。

 そしてライナの拳はサンジに直撃するその間際で、止まった。


「ま、そういうことだ」

 サンジの盾が今度は武器として使用され、ライナを両断した。錬気を解いたライナの身体は、まるで豆腐のようにサンジの盾を通し、そのまま崩れる。

 そして間もなく再形成が始まった。肉体が赤い灰のような物へと変わり、集い、球になる。それから最後には斬られる前の姿を、ライナは取り戻す。


「確か後三回分だぜ、手前は」

 鳩が鳴くような笑いを上げ、サンジが粘つく視線をライナに向ける。ライナはその視線を受けても表情一つ変えなかった。ただ視線を下げ、拳を握り込むこともなく腕を下げている。


「ライナ! しっかりしろ! お前は王立騎士団所属の勇者だろ!」

 正確には元勇者だ。だけど、一々元を付ける勇者も国民もいない。制度勇者は崩壊して金銭等の褒賞は無くなった。しかしそれでも世の中のためにその力を振るう勇者は少ないながらも存在し続けた。ライナは騎士団に入団したけど、もしも騎士団に入れなかったとしてもライナは世のために力を使ったはずだ。

 だから、ライナは今だって勇者だ。勇者は諦めちゃいけない。


「これで残り二回だなあ」

 サンジが盾を振りかぶる。ライナは動かない。サンジが降りおろしたその瞬間、俺はサンジとライナの間に割り込んだ。サンジの盾は、錬気を広げただけの俺の腕一本断つことが出来なかった。

「邪魔だ劣等――」

 言葉を最後まで言わせずに拳を叩きこんだ。劣等生劣等生いつまでもうるさい。

 サンジは車輪のように紙束の上を転がり、本棚に直撃し、倒れ込んだそれの下敷きになった。


「ライナあ!」

 ライナの頬を、俺は素手で殴りつけた。ライナはそのまま紙束の上に倒れ込み、立ち上がろうとはしなかった。

 悲しかった。悪の親玉を倒せないかもしれない、それだけのことで絶望し、死んでもいいと思うほどライナは傷ついている。そんなクソ真面目な勇者が世界に執着してくれない。それは俺の涙を誘う。


「お前何やってんだよ」

「……ホントにな、何やってんだろうな。ここまで残存勇者をおびき寄せる人形になったことも知らず、甘言に乗せられず佐伯と敵対することも厭わない勇者たちを全滅させて、悪に屈して」

「そんな話してねえだろ、そもそもお前はまだ屈してなんかいない。一緒に佐伯の野郎をぶっ飛ばしに行くぞ、爆弾をぶっ壊しに行くぞ」

 ライナは、俺の方を見ようとしない。ライナの顔に涙が流れているのが見えた。


「ってー、劣等生のくせにやけに上等な錬気使いやがる」

 サンジが首を振りながら本棚をひっくり返す。その本棚の後ろ、隠し階段が見えた。


「げっ、クソついてねえ」

 これまでエレベーターなどのギミックから俺たちはスイッチのような物や仕掛けを探していた。何ということはない、ただ壁代わりに本棚を使っていただけだった。そしてサンジの言動から俺たちにとってはよい発見のようだ。


「ライナ、爆弾か佐伯かどっちか知らないけど会えそうだぜ」

「俺が起爆するように作られてたらどうする。佐伯を守るように作られてたらどうする」

 本当に脳筋だったとは思えない。短い間だったけど、騎士団で鍛えられたのだろうか。


「はっ、その前にこの階段見つかったからにはお前ら生かしておくつもりはねえよ。手前ら全員ここであの世行きだ」

「なまちゃんなの」

 それまで静観し続けていた童女が動いた。サンジの胸元を貫き、返り血を浴びる。サンジの喉から喀血の音がした。童女の挙動を目視出来なかったのだろう、酷く緩慢な動作でサンジは童女と自分の胸元を見下ろし、再び吐血。


「いい加減、学習したなの」

 童女はサンジの胸元に差し込んだ腕をわずかに自分の方へと引き戻し、そのままサンジの腹へと動かす。骨が折れ、筋線維が千切れ、内臓が破裂する音が鈍く響く。

 あまりの激痛からか、サンジは白目になり気を失っていた。しかしそれも体内を弄られることで生じる痛みか不快感からか意識を取り戻す。その口からは声にならない呻きを発している。


「あったなの」

 そうしてようやく童女が腕を引き抜くと、白い何かの破片を手にしていた。

「お、僕の一部だね」

 童女が多命の賢者を一瞥し、確認が取れたと言わんばかりに小さく頷く。

 そして、何を思ったのかそれを口に放り込むと噛み砕き、唾を吐くようにしてそれを捨てた。


 サンジがその一部始終を濁った瞳で追い、吐き捨てられた白い欠片に手を伸ばす。持ち上げられた腕は小刻みに揺れ、童女がかき乱した胴体からは止めどなく血が溢れ、サンジの目からは涙が流れる、

「ばが、な」

 そう言い残し、サンジは顔から倒れ込んだ。


「わかれば案外ちょろかったなの」

 童女は何を思ったのか、吐き出した白い欠片を踏みにじり、何度も足を叩きつけると満足気に息を吐いた。

「あああ、酷いなあ。あれでも僕の一部なのに」

 多命の賢者が眉を下げているのを見て、童女は勢いよく鼻息を出す。心なしか嬉しそうだ。


「とは言え、一々欠片を剥ぎ取るというのも非効率じゃの」

「うるさいなの、ご老体」

 確かに灼眼であれば一度燃やしてそのままストックが切れるまで放っておけばいい。それから考えると一体一体の体内を弄るというのは効率的とは言えないだろう。かといってストック切れを起こすまで殺し続ける方が効率的だとは言えないが。


 水を差され、不満だったのか童女は隠されていた階段へと向かい、それに合わせて肌着のような服が揺れた。

「さっさと行くの」

 言葉としては誘う調子であったが、童女は振り返ることも足を止めることもなく階段を下る。多命の賢者だけが彼女の背を間なく追った。


「ライナ、俺たちはこのまま佐伯か爆弾か知らないけどそこまで行って来る」

 サンジの最後を見届けるためか、身を起こしていたライナの目はまだ光を失っていた。目を伏せた俺は、背後から、呆れたように息を吐き出す気配を感じた。

「我の灼眼と娘の眼を使えばそこの小僧を人間に戻してやることが出来よう」

「本当か?」

「単純に何がしかを埋め込んでいる系統ならの。賢王のように挿げ替えられている場合は手の打ちようがない」

 一縷の望みが出来た。ただ出来なかった場合のことを考えると、俺の口からそれをライナに伝えることは出来なかった。言葉なく、俺は魔王と入れ替わり、俺はもう慣れ始めた幽体となり宙を漂う。


 俺の肉体に入り込んだ魔王は赤い瞳でライナを見、そして文字通りの意味で目の色を変えた。黒い瞳だ。ただ黒と言っても普段の俺や春奈の色とは違う色だ。例えるなら夜の闇の中でも姿がわかる影に似た色だった。

「小僧。小僧の脳付近に金属板が埋め込まれておる。ついでに腹の奥に多命の賢者の欠片じゃ。彼奴の欠片を我の灼眼で焼き、次いで金属板を燃やせば人間に戻れるぞ」

 ライナは床に腰を下ろしたまま、魔王を見上げる。


「魔王がそんな人助けみたいなことをしていいのか?」

「くだらんの。我は小僧を救うつもりはない。まず我は小僧の心の臓を所望しておる。食わせよ。そしてその対価として小僧を束縛する存在を焼こう。つまりは契約じゃ」

「はは…………契約、か。頼めるか?」

 ライナは少しだけ頬を上げた。そして腹の辺りを擦る。

「開いた方がいいか?」

「不要じゃ。娘の眼で位置は特定出来ておる」

 春奈の眼、それがどんな能力を持っているのか俺は知らない。それについて思考を巡らせていると魔王による契約の履行が始まった。


 魔王がライナの胸を貫き、それから引き抜いた。その手に脈動を打つ臓器を手にしている。

「ごほっ、へ、グロいな」

 ライナは光を取り戻した目を魔王に向けていた。相当痛みを感じているだろう。なのにライナは微笑んでいる。

「大したものじゃ、一割と言ったところじゃろう」

 魔王の言葉の真意を辿る前に、魔王はライナの心臓をまるで熟れた林檎を食すようにして齧り付く。ライナの心臓から、そして俺の肉体の口端から、血液がぼたぼたと垂れ、床の紙束を真っ赤に染め上げる。魔王が腕に沿って流れ落ちるライナの血を舐め挙げた時にはライナは絶命していた。


 そして間もなくライナが再形成された。みるみる血の気を失っていっていたライナの顔色は血色を浮かべ、胸の穴も塞がり鍛え上げられた胸が筋肉で盛り上がっている。


 ライナが再形成された後の契約履行は、厳格さもなければ時間的消費もなかった。魔王の灼眼がその目の色のまま例の聞き取れない何かを呟き、ライナが一瞬だけ腹とこめかみの辺りをそれぞれ一度抑えた。ただそれだけのことだった。

「終わりじゃ。これで小僧は気に入らぬ者を殴り、屠り、一度殺されれば死ぬ者と戻った」

「本当にもう大丈夫なのか?」

 あまりにあっさりし過ぎて、何というかありがたみというか真実味に欠けていた。


「信じる必要はない。行って試してみればよかろう」

 そう言って俺の肉体も童女に遅れること階段を下って行く。ライナは言葉無く魔王へ向かって頭を一度だけ下げると、その後に続いた。

 その光景を見送ると、不意に俺は自分の肉体へと戻った。さらに地下深くまで続く階段を危なげなく進んでいると、背後でライナが錬気で光を生んだ。

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