第2話
砂を撒き散らしながら殺到する穂先は、無防備な斥候部隊の脇腹に突き刺さった。重く、鋭い鱗の民の突進は、駱駝を、恐鳥を、そして兵を突き刺し、薙ぎ倒す。不意を打たれた彼らは、苦痛と驚愕の叫びを上げながら相次いで地に倒れ付していった。
砂の中からは、さらに次々と鱗の民が飛び出してくる。
「騎士シアタカ!」
「敵襲だ、ウィト。武器を持て!」
悲鳴に近いウィトの声に、シアタカは鋭く答えた。腰の長刀を抜き放つ。緋色という特異な色の刃が、陽光をあびて鈍く光った。 待ち伏せされていた。その事実が頭の奥を冷たく冷やす。鱗の民は一列に伸びた斥候部隊のちょうど真中を衝いた形となり、部隊は分断されつつある。
繰り出された穂先を、シアタカは長刀で切り払った。構わず突進してくる鱗の民を巧みに操った恐鳥ごとかわすと、擦れ違いざま首筋を切り払った。硬い。刃から伝わってきた感触に驚きを覚えながら、さらに次の一撃を繰り出す。人ならば追い討ちは必要ない。しかし、この敵はまだ死んでいない。その確信があった。
その確信通り、鱗の民は首から血を噴出しながらも反撃に移ろうとしていた。腰から剣を抜き放ちながら振り下ろす。ほぼ同時に、騎上からシアタカも長刀を振り下ろした。
一瞬の甲高い金属音が鳴り響く。鱗の民の剣を切り割りながら、シアタカの長刀は鱗の民の頭蓋を一撃していた。刃を半ばまで食い込ませながら、鱗の民は折れた剣を再び振り上げる。シアタカが手綱を捌くと、恐鳥のくちばしが鱗の民の胸を衝き、その巨体が吹き飛んだ。
「手強い」
ようやく動きを止めた鱗の民を見て、シアタカは唸った。アムカム銅を鍛えた長刀は、粗雑な作りの鎖甲程度ならば人体もろとも容易に切り裂いてしまう。鱗の民の肉体の頑強さは瞠目すべきもののようだ。
シアタカが振り返った。ウィトは、恐鳥の上で槍を握ったまま顔を強張らせている。
「ウィト、何をしている!敵に刈り取られるのを待っているつもりなのか?」
シアタカが怒鳴る。その声にウィトは目を見開くと、小さく頷いた。
「も、申し訳ありません、騎士シアタカ」
「謝る必要はない。何もしなければ自分が死ぬだけだぞ」
シアタカは鋭く言う。
「俺の横を離れるな。何とかここを突破するんだ」
「はい!」
ウィトは大きく頷く。
シアタカとウィトはそのまま恐鳥を駆って突進した。ラゴと刃を交える鱗の民へ迫る。長刀を縦横に振るい、横合いからウィトが槍を繰り出して止めを刺した。
それを横目で見ながら、シアタカは動きを止めずにさらに敵へと向かう。斬り、突き、駆け回りながらもシアタカは声を上げ、指揮し続けた。斥候部隊は半ば分断された状態となったが、前衛は奇襲の混乱から回復して、シアタカの指揮の元、部隊として立て直し、有効な反撃に出ることが出来るようになっていた。
その時、後方から複数の叫び声が聞こえた。鳥と獅子の叫びの中間のような、低音と高音が混ざった奇妙な叫び声だ。シアタカが振り返ると、壁のような砂丘を、駆け下りてくる多くの騎影があった。
それは、人の身の丈を越える、二本足で駆ける獰猛な蜥蜴だった。ウル・ヤークスでは駆竜と呼ばれている。その背には鱗の民が騎乗していた。この化け物に跨った鱗の民の騎兵と対した時、訓練していない馬は一様に怯えて逃げ出すという。かつてウル・ヤークスの軍団が相対した時には、騎兵部隊が大混乱に陥った。今回の遠征軍において恐鳥騎兵の比率が高い理由の一つに、駆竜に対して怯えない、という性質があったのも、軍がその手痛い経験にいかに頭を痛めていたかが伺える。
砂丘を駆け下りてくる駆竜騎兵は百を超えている。大きな鉤爪が蹴立てることによって砂煙が高く立ち上っていた。
恐怖心が頭の中で鐘を乱打し、次いで奇妙なほどに冷めた判断力がそれを止める。これは死ぬな。そう結論する。もし自分たちここで撤退すれば、後衛ごと敵に呑み込まれて全滅することになる。それを理解した途端、死という結果が腑に落ちた。いつか自分は戦場で死ぬだろう。常にそう思っていた。しかし、その運命がこうも早くやってくるとは思ってもいなかった。
しかし、ただ悄然として死の刃を受けるのは紅旗衣の騎士に相応しくない。死ぬならば、為すべきことを為してからだ。
「ウィト!このままラッダの所へ走れ!全速で本軍まで撤退。援軍がデソエに向かっていることを伝えるように言うんだ!」
「騎士シアタカはどうされるのですか」
「ここで追撃を喰い止める!」
「無茶です!」
シアタカは悲鳴のようなその言葉を無視して応戦している兵達へ叫ぶ。
「皆、今が死ぬ時だ!ここで敵を食い止め、後衛を逃がす。名誉ある戦いを見せれば、死の使徒ウィズラフが喇叭を吹き鳴らし、我らの魂を迎えてくれるぞ!」
「ファッサーフ、イルファーフ!!」
シアタカの周辺にいた兵達が叫ぶ。カッラハ語で、“戦士の最後の舞台”という意味で、“死を覚悟して戦え”という呼びかけでもある。
「ファッサーフ、イルファーフ!」
「ファッサーフ、イルファーフ!」
兵達はその声に呼応して次々と叫ぶ。
「速く行け、ウィト。このままでは隊が全滅する」
シアタカは振り返ると、ウィトに言った。
「私は騎士シアタカの従者です。お側を離れません!」
「従者ならば騎士の命令に従え。これは命令だ!」
頭を振るウィトにシアタカは怒鳴る。兵達は、巧みに駱駝を操って鱗の民を挟み込み、複数の槍で刺し殺していく。そして、後続の隊へ向かおうとする鱗の民へは、矢を浴びせかけて牽制していた。
「早く行け!仲間を全滅させる気か!」
未だ躊躇っている様子のウィトの襟首を、シアタカは掴んだ。間近にあるウィトの目には、光るものが滲んでいる。
「命に服します……」
ウィトが言う。シアタカは頷くと肩に手を置いた。
「ラゴ!」
シアタカが叫ぶと、狗人が駆け寄る。
「ウィトを守って後続部隊と合流しろ!」
ラゴは大きな唸り声とともに頷く。かつて、狗人はウル・ヤークスと激しい戦いを繰り広げるまつろわぬ民だった。しかし、聖人として崇められる狗人アガロホスによって教化され、聖女王の忠実なる僕となった。聖人アガロホスは、聖女王を肩に担ぎ濁流を渡ったという。ラゴもアガロホスと同じように、ウィトを守ってくれるだろう。
シアタカはウィトに向き直った。
「敵中を駆けていくしかない。決して敵の刃に捕らわれないように。お前の手綱さばきと幸運を信じているぞ」
「はい。騎士シアタカも、御武運を祈っています……」
「ありがとう。さあ、行くんだ!」
強く、ウィトの肩を叩く。ウィトは大きく頷くと、恐鳥の手綱を引いて向きを変えた。
ウィトの掛け声とともに、恐鳥は駆け出した。鱗の民がひしめく中へ飛び込み、そして一気に砂丘の斜面を駆け上る。素晴らしい速さで斜面を駆け抜けていった。さすがに恐鳥の脚力には及ばないが、ラゴも低く、這うように駆けていった。
シアタカはウィトとラゴの後姿を見届けると、顔を砂丘へと向ける。舞い上がる砂塵を背に砂塵向かってく騎影の先頭は、すでに砂丘をおりていた。もう少しでやってくるな。大きく息を吸い込むと、視界が暗くなり、周囲の音が遠くなっていく。
奇妙なまでの静寂。砂漠の只中にいるはずなのに、日差しの力を感じられない。薄暗い世界にの中、周囲には同じ年頃の少年たちの骸が倒れている。自分は、槍を手に、ただ呆然と立ち尽くしていた。頬に、砂混じりの風が吹き付ける。確かな感覚はそれだけだった。あの時から、自分は死を意識しはじめたのだ。人はいつか死ぬ。それも、簡単に死ぬ。そして、それは自分も例外ではない。
陽光と音が戻ってきた。集中しろ。一瞬放心してしまった己を叱咤すると、頭を振って舌打ちをした。砂塵を背に向かってくる騎兵隊に目を凝らす。
駆竜の鋭い牙、前足の鉤爪、背に跨った鱗の民。彼らが身につけた板金をつなぎ合わせた鎧は、陽光を受けて眩く輝いている。剣のような大振りの穂先をつけた槍を抱えていた。
鱗の民の歩兵を防ぐために数騎の駱駝騎兵が弓矢や長槍を手に縦横に駆け巡り、残りの騎兵は手を上げたシアタカの元へ集まる。
「弓、構え!」
シアタカの命に応じて、騎兵たちは矢をつがえた弓を構える。すでに駆竜騎兵は砂丘を降りきっている。左右を挟む砂丘を駆ける騎兵もおり、横に広がってこちらを押し包むつもりのようだった。
「まずは砂丘を走る左翼、右翼の敵を狙え。少し遅れて中央を狙う!駆竜を狙え!騎兵の足を止めるんだ!」
シアタカの声に、兵達は鋭い声で応じた。
「来るぞ……、放て!」
放たれた矢は、双頭の蛇のごとく、黒い塊となって左翼、右翼の敵を襲った。牽制のために放たれた面の射撃ではなく、打ち倒すための攻撃を集中させた点の射撃である。遊牧民の使う強力な短弓から放たれた矢は、駆竜の体に何本も突き刺さる。駆竜が鳴き声を上げながら次々と転倒した。後ろから続く駆竜が仲間たちを踏み潰し、あるいは己も転倒し、踏みとどまる者もいる。
「つがえ、放て!」
第一射の混乱が発生した時には、すでに兵達は二の矢をつがえていた。シアタカの命により、すぐさま矢は放たれる。
中央を駆ける騎兵へ、一つに集中された点の射撃が襲い掛かった。くろがねの群れは駆竜騎兵の足元に群がり、血を貪る。先頭を走る騎兵は次々と転倒して、足並みの揃っていた突撃に遅滞をもたらす。
今が切り込むときだ。機を逃すな。シアタカは決断すると刀を天に掲げて、叫んだ。
「偉大なる聖女王の信徒たちよ!その手にある刃は聖なる裁きの手だ!その刃で我が敵を滅ぼせ!」
聖典を引用したシアタカの言葉に、兵達は声を揃えて応える。
「聖女王の加護は我らに!聖女王は我らの魂を救いたもう!」
シアタカは刀を額に当てると短く祈りの言葉を唱える。そして、その切先を前方に向けた。
「突撃!!」
シアタカを先頭にして、騎兵は一斉に走り出した。
咆哮する。
皮膚の下に刻み込まれた呪印が浮かび上がり、褐色の顔を、全身を漆黒の複雑な線を描く紋様が彩っていく。瞳孔が異常なほど大きく開き、額やこめかみ、頬、首筋に血管が浮き上がった。首の筋肉が強張り、ぎりぎりと歯を食いしばる。短く切った黒髪が逆立つ。全身を駆け巡る力を何とか制御しようと神経が格闘していた。
シアタカの肉体に施された調律の力が発動したのだ。
並走する恐鳥騎兵が、シアタカの咆哮に呼応して絶叫した。かつて、周辺の民族を恐れさせていたカッラハ族の雄叫びだが、味方として傍らで聞く時にこれほど戦意を高揚させるものはない。
雄叫びと砂を蹴る音。焼け付くような日差しの向こうに待ち構える煌く白刃の群れ。シアタカには、今、それしか存在していない。そして、それはすぐに血と苦痛に変わる。
恐鳥が宙に舞った。
突進してきた駆竜騎兵とまともに激突したのだ。恐鳥も人の背丈を超える大柄な動物だが、体格、体重でいうと駆竜が圧倒的に勝る。騎乗していた兵は、鱗の民の槍に串刺しにされていた。
しかし、シアタカにそれを見届けるような余裕はない。すでに、牙だらけの大きな口が眼前にあった。
恐鳥は駆竜のあぎとをかわす。しかし、続いて巨大な穂先がシアタカを狙っている。鞍上で上体をひねると、切っ先が頬を掠めた。姿勢を戻す勢いを利用して刀を切り上げる。槍は柄の半ばで切り落とされた。
切り上げた刀は素早く振り下ろされる。交差するシアタカと鱗の民。シアタカの素早い切下ろしに、鱗の民は反応できなかった。駆竜と恐鳥がすれ違った後には、首を半ば切断された鱗の民が鞍上から滑り落ちていた。
調律の力は、施術された者に凄まじいまでの身体能力と感覚をもたらす。平常のシアタカの膂力ならば、一撃で鱗の民の命を絶つことは難しかっただろう。調律の力によって、シアタカの一振りは人を縦に両断しうる。しかし、この超常の恵みにも代償がある。
すでに、他の駆竜騎兵がシアタカに狙いを定めていた。横合いから迫る駆竜の喉元に、シアタカは刀の切っ先を突き入れる。そのまま横に切り払うと、鞍上から放り出される鱗の民を横目にさらに恐鳥を駆けさせた。
一瞬生じた空隙を活かし、戦場を見渡す。最初の激突は概ね成功したようだ。皆、駆竜騎兵と互角に渡り合っている。シアタカのように倒したものは少ないが、切り結び、翻弄していた。
態勢を立て直した左翼右翼の騎兵たちが、こちらを包囲しようと動き出している。それに気付いたシアタカは、声を張り上げた。
「後退!」
それを耳にした他の兵達は同じように後退と叫びながら恐鳥や駱駝を転じた。駆竜に比べて体重が軽く敏捷な為、鱗の民はすぐには追いつけない。兵達はシアタカを先頭にすぐさま駆竜騎兵から距離をとることができた。
駆竜騎兵はそのまま大きく広がった陣形のままこちらを押し包もうと迫ってくる。
「弓構え!左翼を狙え!」
兵達は鞍に武器を預けると、素早く弓を取り矢をつがえる。
「放て!」
恐鳥や駱駝を駆けさせたまま、兵達は振り返りながら矢を放った。狙いを集中させて矢ぶすまとなった射撃は、駆竜騎兵に大きな打撃を与える。
「反転!左翼へ突撃!」
さらなる追い討ちとして、兵達は白刃へと持ち替えて再び敵へと向かった。騎乗位置の高い駱駝騎兵たちは、さらにもう一度鞍上から矢を放ってから長剣や槍を持つ。
二度目の激突。最初の激突の経験から、兵達は二騎で一騎の駆竜騎兵に対することにしていた。僅かな合図でこのような連携を出来る程、彼らは高度に訓練されていた。一騎が駆竜騎兵の攻撃をいなし、一騎が横合いから鱗の民や駆竜を狙う。このような戦い方によって、矢によって混乱していた騎兵たちは次々と倒れていく。
しかし、鱗の民も素早く混乱から立ち直った。彼らも互いに連携して、強力な力で兵達を迎え撃つ。さらには、右翼から駆竜騎兵が背後をつこうと進み始めた。
鱗の民の槍が、兵を恐鳥から叩き落す。それを視界の端で捉えながら、シアタカには助けることが出来ない。二騎の駆竜騎兵を相手に命を繋ぐだけで手一杯だった。
右手にいる駆竜の鼻先を切りつける。苦痛を訴えながらのけぞった隙に、左に身を転じると、鱗の民の喉元に切っ先を突き入れた。しかし、同時に鱗の民の槍が左肩に当たる。穂先は、鎖甲の編目を引きちぎりながら、シアタカの肩肉を切り裂いた。鱗の民の剛力に落鳥しかけるが、何とか踏みとどまった。
首の半ばまで傷を負ったはずなのに、鱗の民はまだ鞍上に留まっていた。苦痛と驚嘆の唸りを上げながら、シアタカは刀を振り下ろした。すでに右手にいる騎兵が体勢を立て直したのは感じている。自らの一撃の結果を見届けることなく、刀を返す。振り下ろされた幅広の長剣が、けたたましい金属の悲鳴と火花を上げながら刀の刃と争う。
鱗の民の膂力に真っ向から抗うことはしない。振り下ろされた力を受け流し、相手の姿勢を崩す。受け流しきった刀を澱みない動きで振り上げると、素早く振り下ろした。
刃は鎧の隙間から首筋へと切り込む。大きく切り裂いたが、まだ威力が足りないことはこれまでの戦いで理解している。短く強く腕を返すと、素早く小さな動きで切っ先を喉元に突き込んだ。
続けざまに手綱を捌くと、恐鳥は駆竜を蹴飛ばして離れた。鞍上の鱗の民は力なく前のめりに伏した。
「騎士シアタカ!」
駱駝騎兵がシアタカの横に駆け寄ってくると、叫んだ。
「どうした!」
「後衛の者達が鱗の民の歩兵を振り切りました!」
シアタカは振り返った。彼方に砂煙が上がっている。すでに兵達の姿は見えず、鱗の民の歩兵も追跡を諦めて立ち止まっているように見えた。鱗の民の足は速くない。もう追いつかれることはないだろう。
己に課された役目は果たした。シアタカは満足して頷くと、戦場に視線を戻した。駆竜騎兵は一端後退し、隊伍を整えている。右翼の騎兵たちも包囲を完成させつつあった。同時にこちらに襲い掛かり、叩き潰すつもりなのだろう。終わりが近いな。万全の構えをとりつつある敵を見て、そう思った。
「皆、よくがんばってくれた。同胞は撤退に成功した。本軍にこの部隊の事を知らせてくれるだろう」
シアタカは、集まってきた兵たちを見回して言った。すでにその数は半ばまで減じている。生き残っている者も無傷な者は少ない。シアタカの横に並んだ兵は、左腕が無かった。
「ここでただ敵を迎え撃っても、奴らは退屈だろう。このまま、正面突破する。奴らを踊らせて、楽しませてやろうじゃないか」
シアタカは、声を張り上げて言った。兵達は、その言葉に猛々しい笑みを浮かべて頷く。
「やがて月が昇るとき、流された血と迷い出た魂は、使徒に導かれて聖女王にまみえるだろう」
兵の一人が、歌うように言った。祈りの時に先唱する役割を持つ者だけに見事な声だった。
「彼らは祝福の歌を聞く。戦士には新しい矢を、馬には馬草を、詩人には三弦琴を与えよう。湧き出す泉のもと、杯の水を飲み干し、棗を食べる。その時、我らの魂に安息が訪れる」
兵達は続いて合唱した。
「噛み付き、喰い破れ!聖女王の忠実なる猟犬たちよ!」
シアタカが叫んだ。兵達は雄叫びで応じると、一斉に駆け出した。
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