第2話 他人の色

 中学生のときは、なんのへんてつもない3年間を過ごした...。そらのように青く地平線を眺めるように、全てがゆっくりと、そして自然に時間が過ぎていった。

 俺も馬鹿ではない。 ちゃんとクラスメイトと話そうともした...。 だが、話して終わるときには1人ぼっちになっていた。話題はたいしたものでもなく普通だ。だが最終的には俺だけになっていた。

 それが中学のときの思い出...いや、単純なる失敗だったのだろう。

 だからこそ高校では、ちゃんと話そうと思った。

「よし!!」

と気合いを入れていたのが馬鹿みたいだった。

今ではクラスに馴染めず、教室の隅でひとり読書だ。 例えるなら教室の隅に生えた雑草といったところか(笑)

そんなときに、クラスの友人が話しかけてきた。こんな自分でも友人はいるものである。


「よおー! 今日も暇してるのか?」


元気ハツラツと話しかけて来たのは同じクラスの野原 翔のはら かけるである。いかにも野原を走ってる感じがする元気さ...青春してるなと思うよ。


「見てわからないか~ 普通に暇だよ」


俺は翔に返事を返した。


「まぁ暇じゃなくても話しかけるんだけどな(笑)」


翔が笑いながら言うと、いきなりその話題に切り替わった。


「なぁ空! 今日転校生がくるみたいなんだよ! 男と女どっちだと思う? 断然俺は女の子がいいかなぁ~ しかもとびっきりかわいい子が!」


翔がテンションMAXで話まくる。言葉のマシンガンかっ!と思うくらいのスピードで話しかけてくる。なんて暑苦しい奴なんだよ。


「転校生ねぇ~...どっちでもいいんじゃないか?」


と空が言った矢先、ドアが開き先生がみんなを席に着くように言った。そして転校生の話になった。


「それでは、今日からみんなとともに過ごす生徒を紹介する。入れ」


ドアが開いたら、それは女の子だった。


「今日からお世話になります。長谷川 海はせがわ うみです。宜しくお願いします。」


長く伸びた青い髪、ぱっちりとした目、そして微笑ましい顔立ちに、そんな俺は1目惚れした。

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キミの色に染まったら? 影炎 @kage0815

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