1.黒頭巾


石油ストーブのにおいがする。

するすると靴下の滑る音、

洋服のこすれる音、

ひとたちのわずかな呼吸が聞こえる。



まこと、罪深きことでございます。

お許しください、お許しください。



こうべを垂れている。

泣いている者もいる。

そして、

皆黒い頭巾を被っている。



助けてくれ、助けてくれ。

嫌だよう、やめてくれよう。



あれは女の人だろうか。

頭巾から髪の毛が見えている。

あれは老人だろうか。

背中が曲がっている。



私のしたことです。

どうか、どうか、ご容赦を



みんなどうして謝るのか。

みんなどうして悲しんでいるのか。

私も謝らなくてはいけないのか。

悲しまなくてはいけないのか。



おお、おお、ああ、止めて。

止めて、おねがい、おお、ああ。



少し考えてみたけど、分からなかった。

たぶん、みんなただ許してほしいだけなんだと思った。

だから悲しんでみたり、

泣いてみたりしているんだろう。



ダメ、ダメ、なんで。

どうして、許して頂戴、堪えて頂戴。



部屋の中は泣き声と、ぶつぶつ唱える声と、

ため息でいっぱいになってしまった。

広い広いじゅうたんの上で、

私はどうしていいのかよく分からなかった。



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下手から黒い頭巾を被った演者が十数人、中央へ向かいます。

台詞を終えると、むせび泣きながら下手へむかいます。


舞台の明かりが消えます。

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