第5話 「オッカムの剃刀(かみそり)」

店長を一日中追いかけてへとへとになったあと、真琴はベッドに横になった。

「ふ~」一息つく

結局わかったことは「モフ」夫婦のラブラブぶりだけだった。

そんな真琴の頭の中にどこかの本で読んだ「オッカムの剃刀」という言葉がふと浮かんだ。

「オッカム」とは昔の学者の事である。

簡単に言うと「余計なものは排除する」それを剃刀で表していた。

「はっ」

真琴は体を起こした。

「もともと店長を付ける必要などなかったのだ。。」

簡単なことだ。「あの日アパートの中には入れた人物」が犯人ということになる。

アパートの鍵のスペアを持っているのは「実家の両親と姉千春。そしてアパートの隣に住んでいる大家の田村さんだ。」

この中に犯人はいる。

田村さんは70代の男性で隣の100坪ほどの大きなお屋敷に住んでいる。

奥さんを3年前に亡くしていて、今では真琴の事だけでなくほかのアパートの住人のおじいちゃん的な存在だ。

仕事が遅くなると真琴を駅前で迎えに来てくれる。

そんな優しい老人が、しかもお金持ちな人間が、あんな安い「これは老人にとってであり真琴にとっては決して安くないが、」指輪を盗んであんな「脅迫状」を届けて何の利益になるであろうか?

そうするとまた絞られてくる。

「泥棒」という可能性はゼロに近い、なぜなら財布や通帳などは手を付けられていなかったからだ

真琴は確信を得た。

鍵と携帯電話、お財布だけを持って家を出た。

ドアを開けると熱風が吹いている。

「たしかニュースで今日の気温は今年最高だったといっていた」

そんなことを考えながら、「とある場所」に向かって駅を目指した

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