第2話 誘拐
前の小説??で「完全犯罪」を書くと若狭屋小夏が言った。ここまで読むとまただれか死ぬんだろ?と思われるかもしれないが、「人は死なない」これは守ると約束しよう。
朝シャワーを浴びるのは真琴の習慣だ。「接客業」たるもの清潔でなくてはならない。その日も真琴はシャワーを浴びる。
真琴の長い髪が濡れていた。
浴室から出ると体をふき、服を着る。そして「指輪」をはめる。
指輪はオルゴールの鳴る「指輪入れ」に入れてある。
仕事に向かう時だけ指輪をはめるのが、ルーティーンだった。
しかし、その日、オルゴールの鳴る「指輪入れ」に指輪が無かった。
あれ?昨日着た服を洗濯機から取り出し、探してみるが見当たらない。
カバンの中にもなかった。
このままでは「遅刻」してしまう。そう思い、真琴は家を出た。
別段、何も変化はなかった。
普段から真琴が指輪をしていたのは大抵の客が知っていたので「今日は付け忘れたんだろう?」とでもおもったのだろう。
いつも通り、接客をしてアルバイトさんの恋愛相談に乗り、家路に帰る。
帰りの支度をしていた時副店長が声をかける。
「あ、真琴さん。」副店長が声をかけた。
「はい」
「これ」といって手紙を渡す。
「さっき店長が帰ってきたら店長の首に君あての手紙があったよ。またラブレターかな?」といって副店長は読みかけの「草枕」に目を戻した。
「川西 真琴さま」
パソコンで打たれた文字だった。
「ラブレター」というのは普通手書きだ。
パソコンの文字で打ったラブレターなんて色気がない。
何の気なしにそれをカバンに帰り家路に戻る。
電車に乗り真琴は帰宅する。
帰宅してラフな格好に着替え、ワインを少しだけ飲んだ。
皮肉にも彼女が好きだったのは、ドイツワインの「カーツ」というものでラベルには黒猫が書かれている。
それをグラス二杯、チーズをつまみに飲んだ。
「小説」を読みながら呑む。「本漬け」の生活だった。
ふとラブレターと渡された手紙を出した。
貰った以上は一回は目を通さなければならない。
そこには真琴の知らない「美しい文章」が書かれているかもしれないからだ。
残念ながら今までその「文章」出会ったことは無かった。
ペーパーナイフで封を切ると中の手紙を取り出す。
封筒には「穴」があけられていた。
おそらくここにひもを通して店長の首にかけたのだろう。
いつのこの時はドキドキする。
「女の子」がそこにいた。
中の手紙を開くと真琴は驚愕した。
パソコンで
「貴女の 指輪を 誘拐した。返してほしければ 次の手紙を待て」
手紙にはこれだけ書かれていた。
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