好きでも嫌いなあまのじゃく
この作品はスタジオコロリド制作のオリジナルアニメ映画です。前作の『雨を告げる漂流団地』は異世界転移した小学生達の群像劇でしたけど、今作はシンプルなボーイミーツガールなロードムービーでしたね。
映画のテーマは『家族の絆』なのかなと思います。主人公の家族関係とヒロインの家族関係がクロスオーバーして、最後にはいい感じになると言う展開でした。
タイトルが天邪鬼ってなってますけど、実際そこまで主人公もヒロインも天邪鬼ではないです。誰かの意見に反対しまくるんじゃなくて、ちょっと素直になれないだけ。思春期にはよくあるやつですよね。
ボーイミーツガールな話なので勿論恋愛要素はあるのですけど、主人公達が奥手なので、お互いに意識をする程度しか進展しません。まぁ作中では数日しか一緒にいないのでそこは仕方がないかな。その割に主人公はヒロインの危機に命がけになるのですけど。
この『会って数日で相手に対して命がけの行動を取れる』って言うのはアニメでありがちな主人公の行動パターンで、普通に考えたら違和感を覚えたりもするのですけど、今作では主人公が底抜けのお人好しなので、その違和感を払拭しています。
たまたま見かけた困っている人を助けようと体が自然に動いちゃうくらいなんですもの。ただ、そう言う人ってたまにいるんですよね。世の中は広いぜ。
で、ヒロインが鬼なのですけど、この作品が他の作品と違うところは、能力的には特に人間と変わらないところです。角があるだけ。桁違いの怪力だとか、異能がある訳ではありません。鬼の里を守る役職の鬼が化け物を制御しているのと、鬼の里に鬼以外は入れないようにしていますけど、それだけです。
作中ではこの化け物と戦うシーンとかあったりするんですけど、泥臭い肉弾戦で対応しています。手から炎や雷が出たりはしません。空も飛びません。多分鬼が出てくる作品でこの作品の鬼が一番弱いです。この作品での鬼は『素直になれない人間が成り果てる』って設定だから、能力的に人と変わらないのでしょうね。
で、敵で現れるこの化け物なんですけど、『千と千尋の神隠し』に出てくる仮面でヘビみたいな神様がいたでしょう。あれにそっくりなんですよ。流石ジブリスタッフ出身のスタッフで作ったコロリド作品だなぁ。善き哉~。
舞台は山形の米沢市で、旅の目的は日枝神社。なので、ご当地アニメでもあります。きっと米沢市の人はあそこが舞台になってるってすぐに分かるのでしょうね。
ただ、登場人物はほとんど方言を喋らないので、せめて老人達だけでもそれっぽい方言を喋って欲しかったな。あんまり方言がキツくない地域なのかもですが。
素直になれない登場人物達が想いをぶつけ合って理解しいていくと言うのは王道な展開なのですけど、世の中にそう言う作品が溢れすぎていて、この作品が特にこじれているように見えなかったのはちょっと残念でした。
世の中には、もっと人間関係が面倒臭い作品もたくさんありますからねえ(汗)。
前作の『雨を告げる漂流団地』は結構ハードな展開があって観ていてキツいと思う人もいたと思いますけど、今作はそこまでダメージを受ける展開はないので安心して楽しめると思います。ボーイミーツガールなラブコメロードムービーが好きと言う人にオススメです。
派手なバトルみたいなのがないので、盛り上がりには欠けるかも知れません。そう言うのを期待している人は肩透かしを食らうかも。
予告編PVを見ると、主題歌を担当した『ずっと真夜中でいいのに』のファンの人のコメントがずらりと並んでました。私は詳しくなくて、何ならこの映画で初めて曲を聴いたくらいなのですけど、確かに映画とイメージがピッタリ合っていましたね。
個人的にも楽しめた作品でした。面白かったです。
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