となりの妖怪さん

 このアニメは、2017年の8月21日からツイッターで連載され、WEBコミック配信サイト『マトグロッソ』の2022年1月6日まで連載されていたnoho先生の漫画が原作の作品です。私は原作を未読なので、アニメが原作通りなのかアレンジされているのかは分かりません。ごめんなさい。

 ジャンルで言えば妖怪モノになるのですけど、この作品は他の妖怪モノとは一線を画しているんですよね。どこが違うのかと言えば、この世界では人と妖怪が当たり前に共存しているんです。社会に溶け込んでいるので学校のクラスメイトに妖怪もいますし、天狗がスマホを使っていたりもします。


 今までの妖怪モノって、基本見える人と見えない人が混在していましたよね。見える人は見えない人に対して、妖怪の現象をごまかしたりしていました。そして、一般的には妖怪はいないと言う事になっています。

 ですが、この作品ではそれがありません。普通に妖怪や精霊と人間達は共存していて、助け合って生きています。主人公達が住んでいるエリアだけがそうなのかと思っていたら、この作品の世界は世界中がそう言う世界だったんです。いやはや、すごいですわ。ついにそう言う世界が描かれる時代が来たのだなあ。


 ちなみに、この世界は妖怪達と共に暮らしている現実世界そっくりなパラレルワールドなのですよね。これには「なるほど! その手があったか」と膝を打ちました。それが分かるエピソードではお約束のきさらぎ駅も登場して、ニヤリとしたものです。


 妖怪モノのストーリー展開って、ハードなものか微笑ましいものかの二択になりがちですよね。この作品では一見ほのぼの系に見えて、かなり寂しさとか悲劇に寄った構成になっています。

 そんなに悲劇を重ねなくてもええやんと毎週見ていて思うのです。妖怪などの存在を当然にしたからこそ描ける物語とも言えるのかも。


 悲劇を描く物語だけあって、登場人物の性格もちょっとひねくれていたりします。本心と別の事を口走ったりとか。特に女性陣。男性陣は割と素直です。

 こう言う風に描写出来るのは、作者が女性だからなのでしょうね。や、調べた訳ではないのですけど。作風が女性作家っぽいです。感情の動きを丁寧に描写していたりとかね。


 後、作中に出てくる妖怪などの設定がしっかり調べられて作られている事にも感心してしまいました。この作品に出てくる各妖怪の設定に詳しくなると、必然的に妖怪博士にもなれそうな気がします。

 この作品で気に入っているのは、魔王が当たり前に東京で成功者の地位にいたりするところ。いやはや、こう言う設定は好きですわ。


 アニメのクオリティも高いです。作画崩れもありませんし、作中で起きる出来事にも説得力のある画作りがなされています。キャラデザも個性的なので、それが崩れてないだけでもクオリティの高さが分かると言うものですよね。


 この作品は、原作ファンや妖怪モノが好きな人にオススメです。妖怪と人間が共存している世界なので、この設定に興味のある人にもオススメかな。

 ちょっと悲劇成分が濃いので、日常系作品が好きな人にはオススメ出来かねます。バトル要素などもほぼないので、そう言うのを求めている人にも向かないかな。


 私はこの設定が気に入ったので毎週楽しく見ております。面白いですよっ。

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