烏は主を選ばない

 この作品は、2012年の6月に文藝春秋から刊行された阿部智里先生の『八咫烏シリーズ』の2作目の小説が原作のアニメです。私は原作を未読なので、アニメが原作通りなのかアレンジされているのかは分かりません。ごめんなさい。コミカライズもされているそうですが、そちらも未読なので比較は出来ません。


 タイトルは八咫烏ですけど、日本神話とか皇室との繋がりとかはないみたいですね。あくまでも日本風のファンタジーであり、和風異世界モノです。どっちかって言うと『異界』モノって言う方がしっくりくるかな。

 山に囲まれた日本の平安時代っぽい雰囲気の異界『山内』で繰り広げられる権力闘争がメインの話です。この独自の雰囲気に馴染めるかどうかで、作品の評価が大きく変わる事でしょう。


 この山内に住んでいるのは全員八咫烏なんです。カラスに変身出来る人ではなく、人に変身出来るカラス。アニメだけを見ていたら人の姿がメインなので人ベースかなと思ってしまいますけど、実はカラスがメインなんですよね。

 で、この山内のボスは金烏なんですけど、そう言う役職だけの人と、たまに生まれる能力まで発現した本物の金烏がいると。今の本物の金烏には兄がいて、でも弟が本物だったのでこのままでは兄はボスになれないと。そこで、歪んだ権力闘争が行われているのですな。


 この作品の1話はこの金烏のお嫁さん候補の女性達の話から始まっちゃうんです。主人公と金烏の出番は後半にちょっとだけ。最初に見た時に主人公どこ? って思っちゃいましたからね。この独特の始まり方は原作でも同じなのかしら?

 まぁ原作はシリーズモノで先に一巻が出ているから、アレでもいいのかもですが……(汗)。


 つまりはこの作品、お后候補サイドと金烏サイドの2つの視点で描かれているんです。ややこしや~。しかもどちらも腹のさぐりあいがメインですからね。なんとも疲れるアニメとも言えます。それぞれの本音はどこにあるんや……。

 どちらのサイドにも主人公的なキャラはいて、そのキャラだけは素直なんですけどね。本音を隠すキャラばかりなので、この2人の素直さが一服の清涼剤なんですわ~。


 権力闘争の話なので、様々な場面で権謀術数が繰り広げられております。のほほんと見ていると普通に血なまぐさいシーンが差し込まれてくるんですよね。油断していると殺されかけます。組織のトップになるって大変ですな。

 金烏の付き人はすぐに辞めていってるのですが、あの環境だと当然だなあとしか言えません。主人公は辞めると罰が待っているので辞められんのですよね。今後の展開も楽しみです。


 アニメのクオリティは高いですね。流石はスタジオぴえろです。キャラ崩れはないし、アクションもカッコイし、キャラも生き生きと動きます。作品の独自の雰囲気の再現度もいですね。各キャラの声もぴったりイメージに合っています。


 この作品は原作ファンや、平安時代風の和風ファンタジーが好きな人にオススメです。権力闘争がメインなので、そう言う作風が好きな人にもオススメ出来るかな。

 チーレム的な話ではないので、そう言う話が好きな人にはオススメ出来ないかな。結構展開が殺伐としているので、日常系が好きな人も厳しい気がします。


 私は回を進めるごとにどんどんのめり込んでいて、最近では毎週の最新話を待ちわびるほどになってきました。面白いですよっ。

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