劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦

 この映画はハイキュー!! の原作漫画33~37巻の『烏野高校VS音駒高校戦』をアニメ化したものです。通称『ゴミ捨て場の決戦』ってやつですね。

 ハイキューって作品は烏野高校がメイン舞台だし、主人公は日向翔陽のはずなのですが、映画では音駒高校の描写がメインになっています。原作でもそうだったかな? 多分そうだったんだろうな。ちょっと自信がないです。


 ただ、烏野高校のエピソードはそれ以外で散々描写されてきた訳ですから、対音駒戦で音駒側のエピソードが多くなるのは必然とも言えますよね。敵の情報が多い方が感情移入も出来ますし。

 ただもしハイキュー未見の人がこの映画だけを観に来たら、確実に音駒側を主人公サイドだと思うだろうな。そのくらい音駒びいきの演出でした。


 映画のスラムダンクもそうでしたけど、この映画、回想シーンが結構多いです。原作の時点で多かったのかな? 多かったのかも? もう原作の記憶もおぼろげです。

 この映画では試合の熱い展開をぶった切ってまで回想を入れているんですよね。このあたりは賛否両論になってしまうかなあ。


 その回想はほぼほぼ音駒側の、特に翔陽のライバルの研磨エピソード。彼がバレーと出会ってから鉄郎と仲良くなる回想、つまり幼少期エピソードが多かったです。後は練習試合の時の回想も割とあったかな。

 烏野高校側の描写は試合での攻防が全て。主人公側なのに……。までも、きっと原作がそうなのでしょうね。


 映画は丸々試合シーンなので、当然のように試合描写は気合が入っていました。原作を読んでいるので展開を知っているのですけど、知らなかったら手に汗握って観られていただろうなあ。

 バレーボールって簡単に逆転されちゃうんですよね。勝っていても油断出来ないし、負けていても常にチャンスがある。この攻防の読めなさは物語向きだなと感じます。まぁスポーツって大抵そう言う要素があるのですけど。


 アニメのハイキューが人気になったのって、超人スポーツ系ではないと言うのもあるのですけど、カメラのカット割りが立体的で臨場感があると言うのもあったと思うんですよね。テンポもいいし、分かりやすい。

 映画では更にすごいカメラワークもありますからね。それが映画のクライマックスに用意されているのですけど、びっくりしました。あの瞬間、観客全員が選手になっていましたね。


 映画の上映時間は90分です。ちょっと短いでしょ。でもね、映画を観ていると更に短く感じるんですよ。まさに体感5分映画。ひと試合終わって、もうひと試合も描写するのかなと思ったらエンドロールが流れました。「え? もう終わり?」と、映画を観ていた誰もがそう思う事でしょう。


 映画ですので、当然作画カロリー、作画クオリティは高かったです。テンポもいいし、視点はグルングルン変わるし、ショタ回想は可愛いし、試合は手に汗握るし、気がついたら決着はついているし。

 声優さんで言えば、翔陽役の村瀬歩さんの喉、大丈夫かなと。それほど劇中では叫びまくっておりました。しっかりケアして欲しいですね。


 と言う訳で、この作品は原作ファンの人にオススメです。映画はそれまでのあらすじとかを説明せずに始まるので、初見の人はキツいかな。是非原作を予習してから観て欲しいところです。大丈夫、たったの45巻だよ(圧)。

 映画の初回上映特典もすごいボリュームでした。全128ページですからね。いせかるの幼女戦記の特典に次ぐボリュームですわ。読み応えありますよ~。


 と言う訳で、私はこの映画をしっかり堪能しました。原作のこの先のエピソードはアニメ化されるのかなぁ。何らかの形でアニメ化されたらいいな。映画が爆発的なヒットをすれば可能性はあるかな。あって欲しいな。

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