豚のレバーは加熱しろ

 この作品は、2020年の3月から電撃文庫で刊行されている逆井卓馬先生執筆のラノベが原作のアニメです。原作は第26回電撃小説大賞の金賞を受賞しているのだとか。当然、コミカライズ化もされていますね。

 私は原作も漫画版も未読です。なので、アニメが原作通りなのかアレンジされているのかは分かりません。ごめんなさい。


 かなり挑戦的なタイトルですけど、私、こう言うテンプレから外れた作品って結構好きなんですよね。夏クールの『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』も大好きでしたし。

 この作品、最近では珍しい異世界転生ファンタジーです。この手の話もいつの間にか減りましたよねえ。この手の話が作られすぎて飽きられてきたのかな。


 あらすじを超ざっくりに説明すると、豚のレバーを食べて死んだ主人公が異世界の豚に転生して、そこで出会った少女と一緒に冒険をすると言う話です。豚の心の声がやたらと多い作品になっています。昔のラノベアニメみたいだ。


 一人称の作品って、小説ではその構造上主人公の心の声が多くなりがちです。昔のラノベアニメは小説原作そのままに主人公の独り言の多い作品が少なくなかったのですよ。最近の作品はうまくアレンジされていて、そこまで主人公の独り言が多くなってはいませんよね。これはきっとコミカライズされたものを参考にして作っているからじゃないかなと思います。

 この作品で豚の心の声が多いのは、コミカライズ版でもそう言う感じになっているからじゃないかな。違うかな。


 この世界には人の心を読めるイェスマと言う種族がいて、ヒロインのジェスがそれなのですよね。彼女が豚の心を読めたので魂が人間だと分かり、肉になる運命が回避されました。話が子豚から始まっていないので、大人の豚に人の魂が憑依したと言う設定なのかも知れません。原作未読なので分かりませんけど。

 このイェスマが不憫な種族なんですよ。ある程度の年齢になると王都に行かないといけない宿命があるのですけど、そうなったイェスマは襲われる危険があり、襲われると解体されて売り飛ばされたりします。結構ハードな世界観だな……。


 豚はジェスと供に王都に向かい、そこで様々な出会いを経て強い味方を仲間にしたりします。彼らは無事王都に辿り着けるのか、王都では何が待っているのか――。

 こう言う展開の話なので、流れる雰囲気は結構暗いです。ダークな話が好きな人は気に入るかも知れませんね。


 この作品の売りは、やっぱり主人公の豚の描写でしょう。豚役の松岡禎丞さんの演技が光ります。鬼滅の刃でもイノシシの被り物をした伊之助を演じられていますからね。それ繋がりで彼に決まったのでしょうか?

 この豚の演技がとても良くて、私はそれで作品を見ている感じですね。松岡さんファン必見の作品です。台詞もむっちゃ多いですし。


 アニメのクオリティは普通と言うか、普通よりちょっと低めな感じです。豚の造形も足の指が分かれていないですからね。原作イラストがそうだからなのかもですけど、ちょっと手抜きっぽさを感じます。あの世界の豚の足はああ言うものなんだと言われたら、返す言葉もありませんけど(汗)。

 雰囲気はそんなに悪くはないです。ギャグ演出は笑っちゃいましたし。各キャラの声も合っている気がします。


 この作品は原作ファンや変わった作風の作品が好きな人にオススメです。意外とハードな展開をするので、そう言う作品が好きな人にも合うかも知れません。

 異世界転生モノとは言えテンプレチーレム作品ではないので、そう言う作風の作品が好きな人にはオススメしかねます。地味な展開の作品なので、そう言うのが苦手な人にも合わないかな。


 私は毎週楽しみに見ております。変わった展開をしていて先が読めないので、そう言うところもいいですよね。

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