ぼっち・ざ・ろっく!

 この作品は『まんがタイムきららMAX』で連載中のはまじあき先生の漫画が原作のアニメです。当然私は原作未読なのですが、この作品の解説動画とか見ると、かなり原作を補完するアニオリ要素を入れているみたいですね。

 何故そう言う構成になってるのかと言えば、原作がきらら――つまり4コマ漫画だから。連続4コマ漫画を一本のアニメ作品にするために色々と工夫が凝らされていると言う訳です。そのオリジナル要素も原作ファンが高評価するくらい読み込み度が高いのだとか。いいですね、原作が愛されている作品って。


 この作品が私のいつもの50音順で紹介されていないのは、最初は見送っていたから。後で世界的にも評価されていると言う話を目にして見始めたんですよ。遅っ。

 アニメってたまにそう言う序盤ノーマークでぐんぐん人気うなぎのぼり現象が発生しますよね。夏アニメでは『リコリスリコイル』、春アニメでは『パリピ孔明』、そう言うのを遡ると『PUIPUIモルカー』や『けものフレンズ』辺りにまで連なるでしょうか。けもフレ以前もきっとあったのでしょうけどね。ちょっと思いつかないだけで。


 で、人気が急上昇したぼざろですけど、この作品は合う合わないが極端な気がします。何故かと言うと、バンド活動がメインテーマだから。バンド活動を描いたアニメと言えば、同じきらら系では『けいおん!』やバンドリなどがあります。バンドリの方、私見ていないので何とも言えないのですが、きらら系作品はゆるい作風が持ち味ですよね。けいおんもゆるかったです。

 このアニメもその意味ではゆるいために、リアルでバンド活動をしていた人などからこれは有り得ないわーと批判されていると。例をひとつ挙げると、逃げたギターが戻ってきて他のメンバーが許すとかあり得んとかね。


 までも、ぼざろはきららファンタジーなので。リアルバンド成長物語ではないので。その辺りは何故か上手くいくのよでいいかなと。私も最初の方はキツかったんですけどね。ぼっちちゃんが陰キャでコミュ障すぎて。初期は本当に他人とまともな会話が出来ないんですよ。物語の主人公としてあるまじき超陰キャでした。

 なので、1話を見た時はそう言うのを許容出来る人しか楽しめないんじゃないかなと思ったものです。まぁ、許容出来る人が多かったんだなあ。


 でもこの作品は成長物語なので、ぼっちちゃんのコミュ障も少しずつ直っていきます。バンドメンバーと普通に話せるようになったところくらいから、私の苦手意識はなくなりましたねえ。ギャグ漫画でもあるので、そのギャグで笑って演奏で感動してと言う……。

 最初さえ乗り越えれば「なるほど、人気になるのもうなずけるな」と言う作品でした。


 バンドモノなのでやはり一番の売りはライブシーンなのですけど、ここがすごい。ライブハウスでの初ライブシーン、初めての人前での演奏なので緊張して上手く出来ないんですよね。その表現がすごい。本当に各演奏がバラバラだって素人でも聴いたら分かります。

 こんな意図的に下手な演奏の出来る人達ってすごない? 勿論絵もそれに合わせています。これは実際に演奏したデータから絵を描き起こしているから。ロトスコープみたいな感じです。この手法で思い浮かぶのはシンエヴァかな。


 演奏が本物で普段がゆるゆる。このギャップも人気の秘訣なのかも知れません。手間かかってるんですよ。アニオリシーンでも謎の実写映像が出てきたりとか。日常系作品に使っているクオリティじゃないです。原作愛の深さが重い。

 ちなみにアニオリの解像度が高いのは、原作者が監修しているからと言う部分も大きいのでしょう。原作者がOKを出しているなら、もうアニメが原作なのです(?)。


 この作品をネット辞書を読むと制作の裏話なんかが詳細に画かれていて、つい読みふけってしまいました。やはり原作愛の深い人達が作っていましたね。

 それと、この作品には元動画工房スタッフが集められているようです。やっぱきららアニメは動画工房ですよね。勿論制作はクローバーワークスなので、丁寧な作画などのクローバーらしさも感じられます。ハイブリットやあ!


 そんな訳で、愛の深い作品が人気にならない訳がなと言う事で。知れば知るほど「こりゃ人気になって当然かな」と言う気がしてくる作品なのでした。それぞれの声優さんもキャラにピッタリハマっていて素晴らしいです。

 特にぼっちちゃん。彼女の強烈な陰キャっぷりを青山吉能さんが見事に表現されています。やっぱり声優さんってすげえや。


 と言う訳で、この作品は原作ファンやバンドモノが好きな人、きらら作品が好きな人にオススメです。陰キャキャラが好きな人にも受けるはず。成長物語なので、そう言うのが好きな人も楽しめそうですね。

 ただ、やはり展開が色々都合がいいのと、バンドはみんな仲が悪くないとと言うリアル志向の人には向いていません。相性の問題ですね。


 私はもうすっかりハマって見ておりますよっ。特にお気に入りなのはEDのミニキャラの動き。すっごく可愛いのよ。やっぱ可愛いは正義やね!

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