ユーレイデコ

 この作品はサイエンスSARU制作のオリジナルテレビアニメです。原案は湯浅政明氏と佐藤大氏の2人。現在よりもっとネットの発達した架空の世界を舞台に、主人公のベリィと仲間達が世界に隠された秘密を暴くと言う物語です。

 一部では令和版電脳コイルなんて言われていたりもするみたいですが、似ている部分があるとは言え、そこまでそっくりでもない気がするんですよね。個人的には。


 物語の舞台は、島全体が電脳化されている情報都市トムソーヤ島。住人にはデコと呼ばれる視覚情報デバイスが支給されていて、現実の世界とは全く違う風景を見ながら生活しています。そう、これだけでもこの話のテーマが見えてきますよね。

 電脳コイルと似ていると言う指摘も、このデコの演出によるものです。


 島の名前がトムソーヤ島と言う事で、トムソーヤにちなんだネーミングがあちこちに散りばめられています。主人公のベリィもハックルベリィから来ていそうですし、彼女の相棒の名前はハックです。フィンと言うキャラもいます。主要キャラの名前を合わせればハックルベリィフィン。分かりやすいですね。

 それと、この島に隠された秘密を握る空に浮かぶ謎の都市の名前がマークトゥエイン。トムソーヤの冒険の作者のペンネームですな。


 この島では、人々の行動はらぶと言う評価係数によって他者から評価されています。らぶが多いほど色々な事が出来る様になるんですね。通貨代わりに取引されたりもしています。そう言う世界観なので、ベリィの口癖は「らぶい!」。何か興奮するような出来事が起こると「らぶい!」と口走ります。

 最初は彼女が事あるごとにこの口癖を連発するので、ちょっとウザかったなぁ(汗)。


 ベリィは色々あって世間的には死んだ事にされ、島の正式な住人は住まない辺境の地でハック達の探偵団に加わります。死んだ事になったのでユーレイと言う訳なのですね。この探偵の仕事を続ける事で、謎に満ちたこの島の秘密に迫っていくと言う、そう言う物語です。

 ハックの喋り方の癖が強かったり、招き猫の被り物をしたミスターワトソンが謎すぎたりと、濃いキャラのやり取りは色々と参考になりますね。


 アニメの画質はサイエンスSARUらしいのっぺりとしたもの。このスタジオはこれが特徴なので受け入れるしかないですね。結構好き嫌いが分かれるかも知れません。

 私は割と好きです。平家物語もこの作風だったのが良かった気がしますしね。


 ぶっちゃけ、ある程度SFをかじっていればストーリー展開も容易に予想出来る気がします。そんなに複雑な構造ではないですからね。ただ、結末がどうなるかは難しいところですが。それは先の放送を楽しみに見ていきたいところです。


 キャラデザや作風が尖っているので見る人を選びますけど、この手の話が好きな人にオススメです。SFが好きな人には見て欲しいかな。

 そんな訳で、普通の話が好きな人には向かないかも知れません。ちょっと重いテーマも入っていますし、ノーストレスな話が好きな人にもオススメは出来かねますね。


 私は結構楽しく見ています。話が進んでキャラが掘り下げられた事で、どんどん目が離せなくなってきました。このまま最後まで楽しめるといいな。

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