バズ・ライトイヤー

 この夏(※執筆時)のピクサー映画『バズ・ライトイヤー』を観てきました。ある意味トイ・ストーリーのスピンオフ作品ですね。この映画を語るとかなりの確率でネタバレしちゃうので、やっぱりネタバレなし感想は難しいです。かなりネタバレは控えて書きますけど、少しのネタバレも嫌な人はここから先は読まない事をオススメします。映画を観てから読んでね。


 この映画、観る前はきっとバズが宇宙の悪者を倒してハッピーエンドになる作品だと思っていたんですよ。でもちょっと違っていました。最終的にはそう言う流れにはなるのですが、ありがちなテンプレに沿った話ではなかったですね。

 詳しく説明するとネタバレになるのでここでは書けませんけど、ちょっとすっきりしない感じだったんですよ。ただ、物語のテーマからすればよく考えられているとは思いましたね。


 そう、この物語はテーマ先行で作られています。子供向け作品の正しい形かも知れません。観ている子にこう言う事を訴えたいんだ。そのためにはどう言う物語がいいだろう? と言う組み立て方をしているんです。私にはそう見えました。

 だからでしょうね。どのキャラクターも完璧ではありません。肝心なところで足を引っ張ります。失敗の連続です。近年の作品では珍しいくらいに主要キャラがミスをしまくるんですよ。主人公のバズも含めて。


 あ、1人だけ完璧なキャラがいました。それはネコ型ペットロボットのソックス。この作品でも猫型ロボットは万能なのですね。元々孤独なバズのために相棒のアリーシャが用意した特別製で、一般的な話し相手になるだけじゃなくて一緒に冒険を手伝ってくれます。

 このソックス、最初だけウザかったのですけど、それは適切な命令が与えられていなかったから。バズのために何かしたいと言う思いが強くてから回っていたんです。その後、能力がすごいと分かってからはバズの大事な相棒になるんですよね。


 能力が万能なだけに、ソックスがいるだけでバズ達の安心感がすごかったです。映画を観た人全員がソックスを欲しがると思うな。可愛いし役に立つし猫らしくお腹をなでると喜ぶし。

 映画内で物語を動かしたのもソックスだし、バスを窮地から救ったのも一度や二度じゃありません。バズがいなかったらこの物語は成り立たないくらい有能なんです。


 この映画のテーマは、失敗とそこからの立ち直り。そもそもがバズの失敗で物語は始まるんです。何でも1人でやりたがって、一番嫌いなのは新人教育。それが成り行きでほぼ素人達と共同で行動すようになって、最後はいいメンバーになっていくんです。

 映画を観ている子供達に友達の大事さと協力する事の大切さ、後は自分を許す事を教えようとしているんですね。


 この映画でも「無限の彼方へ! さあ行くぞ!」は健在です。と言うか、これあってこそのバズですよね。バズは何かある度にその時の相棒とこのやり取りをするんですけど、本当に楽しそうにしているのが印象的でした。


 後、ちょっと騒ぎになった同性愛要素ですが、ほんのちょっとでした。スタッフは絶対必要だって言ってましたけど、そこまで必要だったのかな? と思うくらい。物語内でもサラッと流していましたしねえ。それは、この映画の世界で同性愛は当たり前の事なんだよと言いたかったのかな。

 後、バズとアリーシャは相棒でしたけど、相棒以外の存在じゃなかったと言うのを補強する意味でああ言う展開にしたのかも。この映画に恋愛要素はゼロですから。


 テーマ先行だけに、物語の流れからすると首を傾げる所がいくつもあります。なので、その辺りのリアリティを重視する人にはこの映画は向いていません。細かい事はどーだっていんだよって人にオススメですね。

 映像のクオリティは文句なしにすごいですし、少し引っかかるところを除けば面白かったですよっ。

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