さよなら絵梨

 ファイアパンチやチェンソーマンでお馴染みの藤本タツキ先生の新作読み切りが2022年の4月11日に公開されましたよね。今回の話は何と200ページもあります。ルックバックと違って今回は表現にイチャモンを付けられる事がなかったので、話題性は一瞬大きくなったくらいでした。まぁそれが普通なのですけどね。

 まだ読んでいない人もいると思いますので、リンクを載せておきます。


 さよなら絵梨

 https://shonenjumpplus.com/episode/3269754496858728104


 この話はネタバレ厳禁な話です。何故ならオチが非常に印象的であって、先にそれを知ってしまうと衝撃度が全然違うから。私は読む前にツイッターのトイレンドでネタバレをされてしまったので、読書がそのネタバレの確認作業になってしまいました。く、悔しいっ! トレンドさえ見なければ……うぅ……。


 この作品は藤本先生の映画愛が炸裂しているらしく、元ネタになっている作品を知っていると更に楽しめる作りになっています。残念ながら私は知りませんでしたので、理解は浅くなってしまいました。

 漫画のコマ割りも映画を意識しているのか、横長コマが続いているものが多いです。一見すると手抜きをしているようにも見えてしまいますけど、映画リスペクトだと思えば気になりませんし、間違いなくそう言う意図なのでしょう。


 この作品、あらすじを語る事自体がネタバレに直結しやすいのですごく雑に説明しますけど、自主映画を撮る事が趣味の少年が主人公です。その少年が一度挫折するのですが、ある少女に救われます。少女のアドバイスを受けて少年は見事に立ち直るのでした。

 しかし、その少女にはとある秘密があって――。


 とまぁ、こんな感じの物語です。作風とオチがアレなので、好き嫌いが分かれる作品になっていますね。バクマン風に言うと邪道な作品です。だからこそ、藤本先生にしか描けない作品とも言えます。流石ですよ。勇気がないとこんな作品描けません。この作品で受けた衝撃は、シャーマンキングのプリンセスハオ以来かも。


 作品のメインテーマは映画です。作品内で主人公が撮った映画も上映されています。だからどこまでが事実で、どこまでが虚構なのか分からないような作りにもなっているんですね。一応ここまでが映画ですよって提示はされているのですけど、それも演出なのかも? と思わせる作りは流石です。

 そう、もしかしたら最初から最後まで主人公が撮った映画の中の話かも知れないんです。あのオチがそう思わせるんですよね。


 物語も人の表と裏が巧みに描写されていて、先生の漫画力の高さがうかがわれます。つまり、この作品は油断ならないんですよ。気が付くと先生の手のひらで踊らされますから。どうかその覚悟を持って読んで欲しいですね。


 ちなみに、私は読んだ後に他の人の感想を読んで「なるほど」と膝を打った感じです。ただ読んだだけだったら虚無しか残らないところでした(汗)。

 なので、読んでモヤモヤした人は是非他の人の感想を漁ってみてくださいね。まぁ賛否両論ではあるのですけど。

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