タコピーの原罪
この作品はタイザン5先生が少年ジャンプ+で配信していた漫画です。かなりショッキングな作風で、話が公開される度にネットで大きな話題になりました。最初から上下巻の予定で描かれており、2022年3月25日に全16話で完結しております。
ネットで話題になっていたから、本当はもう少し早めに紹介しようとは思っていたんですよ。でも、16話で完結と知って、完結するまで暖めておりました。無事に完結したので紹介出来るって言うね。
ただ、むっちゃ読まれていた人気作品ですし、私が紹介するまでもないかなと言う気もします。まぁ書いちゃうんですけどね。
タコピーを一言で言うと、毒親しかいない世界のドラえもんです。親も毒なら子供も毒と言うのが衝撃を呼んだんですね。そんな重い世界観にやってきたドラえもん的存在がタコピー。語尾は『~ッピ』。ハッピー星からやってきたハッピー星人だッピ。
ハッピー星人のタコピーは自分を助けてくれたしずかちゃんの役に立とうとするのですが、タコピーの出すハッピー道具はことごとく本来の用途とは別の使われ方をしてしまいます。そして無邪気で常識知らずのタコピーは、取り返しのつかない事をしてしまうのでした。
そう、だからタコピーの原罪なんです。
タイザン5先生、画力はまだ発展途上ですけど、それ以外がものすごい緻密で毎回更新後にユーザーが考察するネタ解説が深い深い。とても新人漫画家さんとは思えません。最初から短編にする事が決まっていたからこその伏線の嵐だったのかも知れませんね。
細かな設定のひとつを挙げると、作中のエアコンの温度設定。これだけで夫婦関係がどのように変わっていったかが分かるようになっています。最初は仲が良かったのに、最後はお互いに譲らなくなっているんですよね。その描写をたった二桁の温度だけで――すごすぎです。
まるで間違い探しのように、コマ毎にヒントが散りばめられている。タコピーにハマったファンの中には、この細かさを気に入った人も少なくない気がします。きっと私が気付いていないネタも多いんだろうなぁ。紅茶キノコとかコンブチャとか、一体どこで知ったんだろう……。や、紅茶キノコは私も名前だけは知ってましたけど(汗)。
タコピーの原罪のヒロインはしずかちゃんと言うのですが、最初のループで彼女は自殺してしまいます。タコピーは時間を戻して彼女を救うのですが、2巡目の彼女はその狂気性に開眼して稀代の悪女になってしまうんです。怖い怖い。
しずかちゃんを救おうとした東くんは共犯者にされるし、そんな彼女の暴走っぷりもこの作品の魅力のひとつなんですよね。
この作品に幸せな家庭は登場しません。学校ではいじめっ子な少女も家では家庭内暴力に苦しんでいます。優等生な少年も、出来の良い兄と比べられて苦しんでいます。そんな環境でタコピーに何が出来るでしょう。彼らを正しく導く事が出来るでしょうか。
そう、とてもじゃないですけど、タコピーはそう言う役割を全う出来ないんですね。それどころか、頑張りが空回りしてしまう。そして事態は更に悪くなっていく……。
このタコピーにも何やら不穏な設定があるようで、考察班の方々が怖い話を色々と展開してくれています。それが正しいかどうかは確かめる術がないのですが、そう言う風に読めるように作ってあると言う事自体がすごい。
そもそも、地球人側の設定があそこまで重いのだし、ハッピー星人側の設定も同じくらい重くてもおかしくない気はしますよね。
この話はループモノなので、人間の事を学んだタコピーは最後にやっと一番マシな選択肢を選ぶ事が出来ます。それがどう言うものかはネタバレになるので書けませんけど、当然のように賛否両論な感じになってはいるみたいですね。
と言う訳で、わずか3ヶ月半と言う期間を嵐のように駆けつけていったタコピーの原罪、重い話が苦手な人以外にはオススメ出来るかと思います。癖が強い作風ですけど、ハマると抜け出せない魅力があるんじゃないかな。
これだけ人気になるとアニメ化の企画も進んでいるかも知れません。上下巻の話ですし、1クールあれば丁寧に描写出来る事でしょう。ああ、でもかなりショッキングな残酷シーンの連続だから、テレビアニメは無理かなぁ(汗)。
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