ミラベルと魔法だらけの家

 この冬(※執筆時)のディズニーの3Dアニメ映画がこの『ミラベルの魔法だらけの家』です。私がこの映画に興味を持ったのは主人公がメガネ女子だったから。メガネスキーだからね。仕方ないね。

 映画の予告を見た時点でストーリーラインは読めたのですけど、大体その通りに進行する作品でした。分かりやすいですけど、ファミリー映画はこうでなくてはね。


 魔法が当たり前の一族で、唯一魔法の使えないミラベル。そしてその一族の魔法の力が失われていく。一族の危機を救えるのはミラベルだけ! このパターンの作品のオチは魔法なんてなくてもいいんだ的なものか、ミラベルにも魔法が使えたんだの二択になるのではないかと思います。


 実際のオチがどう言うものかはネタバレになるので書けませんけど、ギリギリまでああ、こっちのパターンねと思っていたらその予想を裏切られた感じになったかな。こう言う感想を抱いたのは私だけかも知れませんけど。


 テーマは家族愛です。ですけど、キャラの心理描写がちょっと馴染めなかったかな。これは国民性もある気がしますけど。感情の起伏が激しいんですよ。さっきまで怒っていたのにすぐに仲直りしたりとか。そんなに簡単に心変わりする? みたいなキャラもいてね。

 流石に主人公は日本人でも感情移入しやすい感じの性格なんですけどね。


 映画を観て知ったのですけど、作品の舞台はコロンビアなんですね。そして一族のおばあさんが住んでいた町を追われて他の住民と逃げていた時に奇跡が起こって、そこから魔法が発動するようになります。おばあさんが魔法の力を得たから、一族が魔法を使えるようになったんですね。


 映画では一体どう言う勢力に追われていたのか明確に描写されていません。コロンビアの歴史に詳しい人ならピンとくるのかもですが。

 物語ではそう言うきっかけがあったと言うだけで、メインストーリーにこの勢力はは絡んでこないんですよ。今回も私はパンフレットを買っていないんですけど、パンフには書いていたのかなぁ。


 この映画はミュージカルアニメです。作中では事あるごとにウンザリするくらいキャラが歌って踊ります。なので、そう言うのが苦手な人には向きませんね。ミュージカルシーンはアナ雪の比じゃないですよ。映画の半分はこのミュージカルじゃないかなぁ。体感ではそのくらい多く感じました。

 ミュージカルに時間を取られて、メインのストーリーが雑になったんじゃないかと思うくらいです。キャラが簡単に心変わりをするのも尺の都合のような気さえしますねえ。


 あんまり色々と書くとかなりのネタバレになっちゃうので、映画に対するツッコミはこのくらいにしておきます。この映画では今までのディズニー映画にあったある構造がついに取り除かれたのですけれど、これを語る事自体が割とネタバレなので語れないのが辛い……。映画を観た人はこう書く事で何を示しているのか分かると思います。今の時代はこう言う作風が求められるのかも知れませんね。


 家が舞台の中心でもあるので、その家の描写もまたこの映画の特徴のひとつですね。喋りこそしませんけど、すごい表情豊かなんですよ。ミラベルの言葉にも素直に反応して。この『喋らない』と言うのもいいですね。作る人によっては喋らせたかも知れません。これも時代でしょうか。


 ミラベルの一族の魔法使いたちはそれぞれの魔法を使って集落の人々の役に立つようにおばあさんから躾けられているのですが、力持ちのルイーサ以外はどれだけ役に立ってるのか不明。この設定なんだからもっと役に立つ魔法を設定した方が良かったんじゃないかなぁ。あ、ミラベルの母親の傷を癒やす料理を作る魔法は役に立ってるか。天気を作り出すペパとか、作中で役に立ってる描写がないんだもんなあ……。


 で、ミラベルですけど、メガネがとても魅力的でした。最後までメガネなのも良かったな。そう言う意味ではメガネが本体でした。あ、勿論家族のために頑張る姿も魅力的でしたよ。表情も感情も豊かでしたね。


 個人的な感想を言えば、ちょっと合わなかったかなと言うのが正直なところです。アニメ的なクオリティはディズニーだけあって非の打ち所はありません。ミュージカルの歌も演出も素晴らしいです。ただ、ストーリー展開に納得の行かない部分が割とあったんですよ。描写がもうちょっと丁寧だったら良かったのかな。ラストの展開もそうなっちゃうの? って感じでしたし。

 この不自然に感じた部分をもっと自然に見せられていたなら、しっかり満足出来た気がします。いいところも多かっただけに残念。

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