ラーヤと龍の王国
えー、春映画と言えば気合の入った海外アニメと言う事で、観てきましたよディズニー渾身のフルCGアニメ『ラーヤの龍の王国』を! 言いたいテーマも分かりやすくて、なるほどこれは教育映画だなと思いながら観ましたね。
あらすじは過去の災厄で5つの国に分かれた東南アジアベースのオリジナル異世界で、世界の要になっていた龍の石が壊れてしまうと言うところから始まります。それによって封印されていたバケモノが復活して世界はピンチに。主人公のラーヤは世界を救うために最後の龍を探す旅に出ると言うお話です。
話が進む度に仲間も増えて、人を信じられなくなっていたラーヤは少しずつ信じる心を取り戻していくと言うお約束の展開ですね。ストーリーはテンプレなのですが、そのテーマを語りたいがために強引に話を進めるようなところがあったのは、ちょっと残念でした。まぁその展開もお約束な流れなのですが。
後ね、このタイトルには偽りがあります。龍は出てきますが『龍の王国』は出てきません。設定にはあるのかもですけどね。かつて人と龍は仲良く暮らしていたと言う事なのですけど、龍が国を作っていたと言う描写はないんです。龍は飽くまでも人と共に暮らしていたと言うだけで。
私はそう言う認識なのですけど、どこかに見落としがあるのかしら?
この作品に出てくる災厄と言うのが、ドルーンって言うんですけど、触れたら石になる煙のようなバケモノなんですね。映画が進むとその正体も分かりますけど、公式サイトでも触れていないのでネタバレになるから解説はしません。ただ、多くの人の予想通りのものです。
この映画に出てくる5つの国はすごく分かりやすい暗喩になっています。ラーヤのいた国はハートで心臓ですし、他にはテイルで尾、タロンでカギ爪、スパインで背骨、ファングで牙となっています。人の体? 尾が付いてますけどね。そのネーミングセンスからも、子供向け作品と言う事を強く意識しますよね。体はひとつになってこそちゃんと動く、的な。
この作品の特徴のひとつはラーヤと共に旅をする最後の龍の『シスー』。彼女は明るくて世間知らずで無垢。ある意味そう言う立ち位置のお約束キャラです。そのデザインは映画ネバーエンディングストーリーのファルコンに似ています。やはり、西洋の人の考える龍ってああ言う感じがデフォなのかなぁ。
までも、いいキャラですよ。信じる事の大切さを説くあんまり神々しくはない超越者です。
他にもそれぞれの国の代表キャラが仲間になるのですけど、この作品ならではのキャラと言えば赤ちゃん詐欺師の『ノイ』でしょうね。何しろ彼女、言葉を喋れません。設定は2歳なのですが、2歳って普通片言でも喋ってません?
この2歳幼女がですねぇ、とても身軽でパワフルなんですよ。何故か格闘術を会得しているし、すばしっこいし、言葉は喋れなくても言う事は理解しているし。パワフル爆弾娘さんです。
他のキャラはテンプレな見た事ある性格や見た目なので割愛。ごつい大男キャラは朴訥だし男の子は快活だし、ひねたところはありません。主人公のラーヤも人を疑いすぎる部分を除いては、ありがち設定ですからね。普通に美少女ですし。
そんなラーヤの相棒の獣(?)が『トゥクトゥク』です。大きなダンゴムシかアルマジロかって感じの生き物。コイツの存在が明らかになった時は王蟲のパクリだと言われたものですが、実際はそんな事はありません。顔も哺乳類系で可愛いですし、目が赤くなる事もありませんからね。ラーヤは彼に乗って移動するのですけど、その仕組みを深く考えちゃダメです。そう言う生き物なんですよっ。
で、この物語のヴィラン的存在になるのが、ファングの姫の『ナマーリ』。ラーヤを執拗に追いかける姿は悪役のテンプレをなぞっている感じがしますね。勿論その行動にも理由があるので、誤解が解けるまでの敵対キャラでもあります。
この作品は東南アジアベースと書きましたけど、それぞれの国の文化風習だけじゃなくて、民族の特徴も取り入れているんです。だからでしょうね、ファングの国の人は目立つくらいの団子っ鼻なんですよ。だから、ナマーリとか出てくると、つい鼻に目が行っちゃってました。
この物語の一番の矛盾点もそのファングで、水が豊かで建物も豪華なのになぜか食糧不足と言う設定。説得力は薄かったですね(汗)。次の矛盾点は……あ、これネタバレになるからやめとこ。子供向け作品なので、その理由を考えてはいけない的なお約束が割とあります。作品を見ていておかしいなと思っても、そう言うものだと割り切りましょう(汗)。
後ねぇ。龍の石が人々の欲望のせいで割れちゃうのって、犬夜叉の四魂の玉かな? と思ったり。その欠片を集めて元に戻す旅をするんですからね。似てると思った人は多いかと。まあそこはディズニーですから。怖いので多くは触れませんッ!
映像クオリティは流石の一言なので、一見の価値はあります。面白かったですよ。展開的にも観客の期待はあんまり裏切らないので、安心して楽しめるかと。
今作は東南アジアが舞台の物語ですけど、今度は日本を舞台にした作品もお願いしますよディズニーの旦那~と言う事で。
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