魔王様、リトライ!

 目を覚ませ~っ! と、言う訳で2019夏アニメ掘り出し物のひとつがこの『魔王様、リトライ!』です。ジャンルはお約束のラノベの異世界転移モノなのですけど、徹底的にギャグに振り切ったその演出が素晴らしい、最高でした。この作品を見ていた人ならうなずいてくれると思います。


 まずこの作品、登場人物が出る度にテロップでお知らせしてくれます。初めて作品に登場した時だけではありません、毎回です。しかもそのテロップの字体に味があるんだなぁ。この親切仕様、斬新です。


 何故毎回名前がテロップで紹介されるのか、それはたまにキャラの名前がギャグで笑えるから。例えば物語の途中で上流貴族のご婦人が出てくるのですが、その名前が『エビフライ・バタフライ』なんです。これは毎回テロップで紹介しなくちゃでしょ。テロップが出る度に笑いましたね~。


 そう、この作品はギャグ作品です。キャラが完成されていて、ただ会話するだけで物語が全然動いていなくても面白い。アニメの完成度自体はそこまで高くないのですけど、それすらも味方にしてとことん暴走しています。

 勿論これは原作の魅力があってこそなのですけど、このアニメ化は成功の部類に入るんじゃなかな。むっちゃ面白かったから。


 先程ネーミングセンスに触れましたけど、この作品のネーミングセンスは本当に酷い(褒め言葉)です。宿の名前がヤホーだったり、飲み屋の名前がノマノマで店主の名前がイエイだったりします。ノマノマイエイとか懐かしすぎるっ。

 そのギャグはキャラの台詞でもたまに炸裂するんです。主に主人公が喋っちゃうのですが「きたねぇ花火だ」とか「~なら俺の隣で寝てるが?」とか昔流行ったネット流行語をサラリと口にしていたりしてw


 物語は自分で作ったゲーム世界に召喚されてしまった主人公が元の世界に戻ろうとする話……なのかな? 召喚されてしまうとその世界は自作のゲームとは少し違っていてその違いに悩んだり、登場するおかしなキャラ達と交流して少しずつその世界での知名度を上げていったり……。

 ゲームマスター故のチート能力で、その世界になかった温泉宿を作ってお客様をもてなすまでがアニメで描かれていました。この作品の最終到達点が分からん(汗)。


 後、この作品の魅力は個性豊かなキャラ達なのですが、一応チーレムの法則に従っているので可愛い女の子にモテまくりです。とは言え、モテるのはロリキャラばかり。よって、勝手に好かれているだけで主人公はお父さん的な立ち位置。恋愛フラグは立ちそうにありません。そこも安心して見られる要因かなぁ。『うちの娘。』と違って全然ベタベタしませんしね。アレはちょっとキツかった(汗)。


 まぁ他にも気の抜けるBGMが素晴らしいとか、語りたい部分はたくさんあるのですが、低予算アニメの正解例のひとつとして語り継がれて欲しい名作でした。是非とも二期以降に続いて欲しいなぁ。当然この制作スタッフ続投で。続け!

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