けもフレ2とケムリクサ

 さて、けものフレンズのテレビ放送も終わったので、何かと対で語られるケムリクサと一緒に語ってみたいと思います。

 最初に断っておきますが、私はけもフレ2を良い作品とは思っていない立ち位置で語ります。ファンの方にとってはあんまり心地よくない書き方をしてしまうかも知れませんので、最初に謝っておきます。以下の記事で気を悪くされたならごめんなさい。


 えー、まずはケムリクサですね。流石たつき監督です。何もかもが優しい。最初は少しウザくも感じられたわかばがどんどん頼もしくなってくるところとか、実に自然な流れでした。

 流れと言えば、伏線の明かし方も見事としか言いようがありません。キャラクターがしっかり生きていて、登場人物みんなに愛着が持てるようになります。


 欠点として挙げるものがあるとしたら、ラストバトルのアクション表現でしょうか。きっとスケジュール的にもキツかったのでしょうね。同人版のケムリクサのアクションはちゃんと表現出来ていたので、時間と環境が良くなれば解消されるものと期待しております。


 対してけもフレ2、この作品はたつき監督が抜けた時点でこうなる事は予想出来ていたと言えるかも知れません。誰が火中の栗を拾うんだと言う事で、手を上げた木村監督も覚悟を決めて監督をしたのだと思います。


 木村監督がけもフレ2を監督するに当たって心掛けた事は、言いなり監督に徹する事だったようです。何故ならけもフレの時にたつき監督は脚本などで監督独自のアレンジを施してあのとても暖かい世界を作り上げていました。これが降板の理由のひとつになった可能性は考えられると思います。

 なので木村監督は上の人に嫌われない事を第一に考えたとしてもおかしくはありません。


 と言う訳で、けものフレンズでたつき監督が施した様々な演出は監督が変わった事で、キレイさっぱりなくなってしまいました。けもフレ2で多くの人が指摘するギスギスシナリオは、そう言う指示の下に全く修正する事なく制作された結果だとも言えるでしょう。


 けもフレ2の問題点は物語の内容をしっかり考えて大事な部分とそうでない部分の取捨選択をする、これが上手く出来ていない事も挙げられます。勢いに任せて後先考えずに作品を作って、後で調整出来なくなって納期に合わせるために大事な部分を削ってしまったのではないか、そう言う印象を持つほどの荒削り以前のクオリティーが多々見られるのです。


 多分ですけど、これって制作に時間的な余裕がなかったのかなと思うんですよね。スケジュール的に言えばけもフレとあまり変わらなかったのかも知れませんけど、1人で何でも出来てしまうたつき監督と違って色んなスタッフの協力が必要だったであろう木村監督では同じ時間では時間が足りなかったのではないでしょうか。


 最終回まで見終わって後に残ったもの、ケムリクサは心地良い感動。けもフレ2は……あー、うん。終わったね。

 キャラがシナリオに沿って動かされていたけもフレ2のフレンズ達には、全くキャラが生きている感を感じなかったのです。申し訳ないのですけど。

 伏線も投げっぱなしでしたし、セルリアンに苦戦と言いながらワンパンで倒したり、イエイヌ相手に酷い扱いをしているし、ビーストは救われないままだし、フウチョウコンビは謎なままだし、そもそもシナリオが練り込み不足だったとしか思えません。


 正直けもフレ2で感動したのはペパプのライブシーンくらい。外注だったそうですけどね。観客に同じフレンズが複数いたらしく、作品の世界観はぶち壊しだったそうですが(汗)。


 こう言う話にしたい、こう言う展開にしたいを力技で繋げただけ、だから不自然で制作側の都合しか見えなかったのかなと。まず作品に説得力がないのですよね。そこが一番まずいかなと。あれ? けもフレ2ってツッコミを入れながら楽しむタイプの作品でしたっけ?


 実質のけものフレンズ2はケムリクサだった、なんて話もありました。ただ、木村監督も頑張ったんですよ。KFPから言われたままに忠実に作っただけなんです。

 そう言う視点で見ると……2はゆっくりと記憶からフェードアウトしていくのが一番正しい選択なのかも知れません。ずっと語り続けられてしまうのでしょうけど。

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