くまみこの失敗

 2016春アニメでよくも悪くも一番話題になった作品はくまみこだと思います。途中までは2016春の覇権アニメとして、最終的にはどうしてこうなってしまったアニメとして……。


 くまみこを簡単に説明すると、東北のある村に熊を祭る神社があって、そこでは熊と巫女が仲良く暮らしている。熊は人を襲わないし喋るし文明にどっぷり浸かっているし結構常識的な感性を持っています。それに対して巫女の方はかなりのへっぽこ。都会に憧れつつも、人の少ない村で育ったせいか人見知りで対人恐怖症。性格もどこかずれている。こんな熊と巫女が繰り広げる田舎バラエティアニメです。


 まず最初にくまみこが人気になった経緯について。

 これは簡単です。たまに作中に挿入される巫女まちのちょっとエロいシーンのせいです。下着姿になったり、水着姿になったり。ブルマ姿になったり、幼女まちのシーンもあったり。これでアニヲタのロリコン属性を引きずり込みました。勿論ギャグシーンや主人公の可愛さもあります。


 そしてダメになった経緯は主に最終エピソードのオリジナル2話のせいです。ここで主人公のまちは都会を嫌いになってしまうのですが、彼女を都会に呼びこんだ張本人のよしおの発言がひどかったり、まちが結局都会にトラウマを抱えたまま終わってしまう所、後その状態を熊のナツがそれでいいんだよと肯定してしまうばかりか、もう何も考えなくていいとまで言ってしまうところ。これが良くなかった。


 全然成長しないばかりか退行しちゃってるんですよね。これは見ていた此方側にいい印象をもたらせなかった。不評の原因はそこだと思います。


 それまでは少しずつまちの性格を治そうとちょっとずつ色んな事に挑戦していっていたのに、それが全て無駄になると言う最悪の展開。原作者もこのよしおの発言にはちょっと違和感を感じたようで……。後で発言を撤回していましたが(汗)。


 どうすれば良かったのかですけど、やはり成長しないまでも退行させなければ良かったと思うんです。原作の該当エピソードではその後、やっぱり都会に行きたいって前言撤回するんですよね。アニメもせめてそう言う終わり方にすれば良かった。


 どうしてそう言う終わり方に出来なかったんだろうと。そうした方が流れとしても自然だったのに。アニメでは都会にトラウマを抱えた後、都会の話題をもう全然出さないままで終わってしまいます。まるで都会に憧れていた過去をなかった事にしたみたいに……。


 脚本を担当した人が自分の仕事からくまみこの仕事歴を削除してしまった経緯から言って裏側には何か深い闇がありそうです。公式サイトが後で火消しに原作者含め全スタッフが納得の上での最終エピソードだと発表していましたが、そこに何の意味があると言うのでしょう。そうだからと言ってエピソードの印象が変わる事はありません。


 くまみこは最終2話までは本当にいい作品だったんです。よしお発言とオチの部分だけでもなんとかしていればと思うと残念でなりません。


 余りに最終エピソードが不評だったので、もしかしたらパッケージ版ではあのオチを改変するかも知れません。そうなって欲しい気もするけど、ここまで話題になったならそのままでもいいのかなと。いずれにせよ春アニメの話題はくまみこが全部かっさらってしまったなぁと言う印象です。

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