第6話 漁師殺害事件発生(4/10)夜

―数分後―

「梨桜。大丈夫なのか!?」

「あぁ。もう動ける。で、被害者がいしゃは?」

梨島源蔵ナシジマゲンゾウさん。49歳。男性。背中を鋭利な刃物で一突きの刺殺。」

「梨桜。この暗号解るか?」

「ん?なにこれ?あっはぁ。これ………。」

「分かったのか?」

「まっ。少しだけど。燎。行きたいところがある。連れてって欲しい場所がある。」

と、少年は、燎に言い、その場を後にしようとした。

すると、父親に呼び止められた。

「何だよ?警部。」

「お前には、まず、WPPOに行って欲しい。」

と、警部は、少年にある写真を渡しながら言った。

「この紋様は?まさか………。」

と、少年は、言った。

「機捜の美原から貰ったんだがこの紋様に見覚えないか?」

「なんか見たような気がするけど?ん?燎ちょっと良い?」

「どうした?」

「この紙に超能力を使って警部に渡してくれない?」

と、少年は、言い、とある紙を燎に渡し、警部の所へ戻った。

それを見た燎は、自身の能力である瞬間移動テレポートを使い、渡された紙を警部に渡した。

その紙には、瞬間移動テレポートの紋様がしっかり描かれていた。

「やっぱり。」

「何がやっぱりだよ?」

「俺や警部の紋様と違って円の中の植物の花弁の枚数が少ないからだろうなって思ったわけ。ちなみに俺のはこの紋様ね。」

と、少年は、言い、燎みたいな事をした。

「あっ!俺のと違う!」

「おぅ。だってお前。瞬間移動能力者テレポート能力者じゃん。」

と、少年は、言った。

少年が持つ紙は、所持者の超能力に呼応する感応紙かんのうしと呼ばれる紙製品である。その紙を素材に段ボール等が作られている。感応紙を燃やすには普通のライターが必要である。パイロキネシスで燃やそうにも反応してしまうからである。

因みに、なぜ殺人事件に少年達超能力捜査課メンバーがいるのかと言うと機捜…機動捜査隊が常備しているカメラ…紋様探知機能付撮影機にて撮影された写真に紋様が写っていたからである。

「あっ。警部。沼津って………警視庁にいる?」

「いや、本部車輌AP-001PXにいる。これ持っていけ。」

「ありがと。」

「はいっ。これ。通信機。梨桜用の預かってた。」

「ありがと。」

と、少年は、煌から通信機を受け取ると同時に言った。

「WPPOに行けよ?」

「了解。」

と、少年は、言い、ズボンの右ポッケに入れていたWPPOバッジの突起部を触れた。

すると、少年の周りに青白い光が包み、少年が消えた。

―数秒後―

「沼津?今から超能力者IDを伝えるからそのパソコンに打ってくれない?」

「分かったー。どうぞ〜♪」

と、柚奈は、言い、パソコンにて打ち込みの準備をした。

「『A85Q』アルファベットQ。そして-入れて『5F17』。繰り返す。『A85Q-5F17』どう?出た?」

「出たよ〜!」

「名前は?」

伊東夏那イトウナツナさん。29歳。女性。」

「OK!んじゃ。俺現場に戻ろうね。」

「今、現場に誰もいないよ。今、ここに全員揃ってるから。」

「了解。すぐ戻る!」

と、少年は、言い、戻ってきた。

―本部車輌にて―

「梨桜君。おかえり〜!」

「ただいまぁ〜。」

「梨桜。なんか分かったか?」

「俺より沼津から。」

と、少年は、言い、柚奈に説明を促した。

柚奈より詳細情報が少年を含めた全員に明かされた。

台所にあった被害者の血で書かれたであろうダイイングメッセージという名の暗号もだ。

「梨桜。暗号については、お前に任せる。」

「了解。容疑者っていうか重要参考人の伊東さんなんだけどその件は匠お願いしていい?」

「OK。アリバイとか確認しておく。」

「さっきお前さ?一之瀬に連れてって欲しい場所があるって言ったけどお前のバディは、違うだろ?」

「そうだけど〜!あそこの臭い、女性が嫌がる匂いなんだよ!って事で燎と行きたいわけ。」

「何処ですか?」

「情報屋K。『駄菓子喫茶神谷』なんだけど。珈琲がとにかく美味しいんだけどコーヒー臭が凄いんだ

。初見さんお断りみたいな感じだよ。だから燎と行きたい。」

「高2で珈琲好きなの?」

「いやー。普通。ごくたまーに飲みに行く。」

「そうなの?」

「行ってみたいです!!」

「行くの〜!?とてつもなく臭いよ?あっ。もう閉まってる………。」

と、少年は、仮想情報媒体ブラウザを起動し、『駄菓子喫茶神谷』の情報調べながら言った。

「なら、明日にすればいい。」

「開店時間まちまちなんだよ!?確認してみる。」

と、少年は、言い、仮想情報媒体ブラウザで『駄菓子喫茶神谷』の連絡先に電話をすると今ならギリキリ開けていると言われた。

「日付変わるから、梨桜は3人でそこ行って今日解散な。」

「3人乗れねぇんだけど!?俺、逮捕されるんだけど?道交法違反で!!」

と、少年は、ブチ切れながら言った。

道交法――道路交通法は、西暦8655年4月に改正され、自動車を除く捜査車輌は、最大2名まで乗用を許可されている。

「そうだな。俺の車で桜南ちゃん行こう。」

「オートバイでしか通れない道があって困っから一応、場所だけ伝えておくよ。桜南学園の正門から見えるはず。」

「あの赤レンガ調のですか?」

「うん。そうだよ?ごくたまーに行く。」

「結構有名ですよ。私のクラスメイトとかよく行くらしいですし。私は、行ったことないんですけど。」

「でも駐車場あんじゃん。アソコ。」

「うん。あるけど駐輪場は、無いからあの通路に横付けしているわけ。」

「そうなんですか!?」

「うん。警察車両証を貼っておいて何も言われない。さて、行かない?」

と、少年は、言い、バイクのを取りだした。

―数分後―

赤レンガ調の外観の三角屋根の『駄菓子喫茶神谷』の純白のドアを開け、中に入った少年と燎・飛鳥の3名。少年と燎は、子供みたいに初めて来たようなワクワクしながらキョロキョロしている飛鳥を無視し、マスターに挨拶した。

「洸なら倉庫下の部屋に居るよ。」

「ありがとうございます!」

と、少年は、言い、倉庫に行き、情報屋K――神谷洸から、ある意味犯罪ギリギリの情報を買い、喫茶店に戻った。

すると、そこには、少年と同じクラスの女子が珈琲をカウンター席にて飲んでいた。

「梨桜くん!?何でここに!?」

「富樫じゃん。夜だよ?帰らないのか?」

「ここの珈琲美味しくてきたんだ!梨桜くんこそなんで?」

「仕事だよ。」

と、少年は、言った。

彼女の名は、富樫乃楓トガシノカ。マスター曰く、常連客らしい。いつも、カプチーノを飲むらしい。

「梨桜。夜遅いから送って帰れよー。」

「了解〜!」

と、少年は、言い、手の平をヒラヒラとなびかせながら乃楓ノカの座っているカウンター席から席を右に一つ空け、空いているカウンター席に座った。

それを見た父親は、燎・飛鳥2名を車に乗せ、家まで送った。

「梨桜くん。なんか飲むの?」

「俺?なんも飲まない。だって。夜だし。遅いし。っていうか今日、飲まないし。富樫を家まで送らんといけないし。」

と、少年は、言い、仮想情報媒体ブラウザを立ち上げた。

「あっ。美味しい〜!マスター!」

「いつもありがとうね。乃楓ちゃん。」

「いえいえ。」

「マスター。もう駄菓子屋は、今日の営業終了ですか?」

「そうだね〜。洸も帰る準備始めてるはずだからね。」

「そうなんですね。」

と、少年は、言い、少しだけ悲しい顔をした。

「梨桜君。駄菓子好き?」

「駄菓子ですか?好きっちゃ好きですよ?あっ。富樫。」

「なに?梨桜くん。」

と、乃楓は、顔を赤らめて言った。

「ここまでどうやって来たの?家から遠いよね?上軌線じょうきせん下軌線かきせん?」

と、少年は、仮想情報媒体ブラウザを弄りながら言った。

上軌線・下軌線とは、東京革新モノレールの便のことで、前者は、東京革新モノレールのレールの上部を動くモノレールで後者は、その反対でレールの下部を動くモノレールの事である。前者は、警視庁や区役所等公の場に行く為に使い、後者は、学校・商店街等住宅街等に行く為に使う便である。

「下軌線だよ?」

「OK。分かった。」

「あっ。うん。梨桜くん。質問して良い?」

「良いよ?何?」

「明日…………学校来る?」

「明日?」

「うん。明日。」

「昼飯食った後なら行ける。午前中は、仕事で行けないから。」

「そう………なんだ………。」

「ん?どうかした?」

「いや!………なんでもないよ!?」

と、乃楓は、顔を赤らめてなんでもない素振りをしつつ言った。

「なんも飲まないっていうのも変かな。やっぱり、マスター。カフェモカ貰って良いですか?」

「了解。ありがとうね!梨桜君。」

と、マスターは、言い、カフェモカを入れ始めた。

「梨桜くん。」

「ん?どうかした?」

「最近、教室の掃除機クリーナーロボなんか調子悪くて………。」

「見てみるよ。アレ……先生直せなかったっけ?」

「なんか優先番号プライオリティーコード入れてくださいって出るって。」

「そうなんだ………優先番号プライオリティーコードは、俺じゃないとダメだね。」

「何でかい?はい。カフェモカ。」

「ありがとうございます。掃除機クリーナーロボとかの修理出す時、どこに出すか分かります?」

と、少年は、言い、カフェモカを受け取り、1口飲んだ。

「どこかね?」

「アレ、電器店とかに持って行っても3.4週間以上かかるんですよ。アレ、イギリスにあるWPPO本部の修理担当部署が直すんで。」

「そうなの?」

「うん。俺だとそれより時間が掛からない訳。」

「なんで?梨桜くんだと早いの?」

「俺、警察官だけどWPPO特捜員だし、機械弄り好きだし。直せるよ?俺なら優先番号あるから。」

「そうなんだぁ………。」

「うん。ご馳走様です!美味しかったです!」

と、少年は、マスターに言い、仮想情報媒体ブラウザにて事件の詳細を見つつ推理し始めた。

「ご馳走様です!美味しかったです!梨桜くん。」

「ん?飲みきった?」

「うん。」

「さて。行こっか。マスター。会計は、一緒でお願いします。」

「了解。1500円です。」

「分かりました。」

と、レジカウンター前にて少年は、仮想情報媒体ブラウザを立ち上げ、右手を翳し、コーヒー代を支払った。

「またお越しくださいませ!」

と、マスターは、少年たちの後ろ姿に向かって言った。

「さっ。行こっか。はい。ヘルメット。被りなよ。」

と、少年は、言い、燎が被っていたヘルメットをアルコール除菌とミントのヘルメット用香水をふりかけ、乃楓に渡した。

「あっ。うん。」

と、乃楓は、言い、ヘルメットを着用後、少年の後ろに股がった。

「梨桜くん。私の家…………知ってるの?」

「知ってるも何も警察官なんだけど?俺。」

「それもそうだね。」

「うん。それよりしっかり掴まっててね。法定速度ギリギリで家まで向かうから。」

と、少年は、言い、バイクののキーホルダー部を車体250ccバイク――――警察車両。学校にもこれで登校――――に触れエンジンを起動させた。

「梨桜くん…………あのね。」

「ん?どうかした?」

「好きな……………人って………いるの?」

と、乃楓は、少年の背中に問いかけた。

「いないけど?っていうか今、超能力使わないでね。」

「…………なんで?」

「使ったら逮捕しないといけなくなるから。やめてね。」

と、少年は、乃楓の家から500m離れた交差点で信号待ちになる瞬間に言った。

「うん。」

「着いたね。おやすみ〜!しっかり寝るんだよ?軽くご飯食ってから寝るから。」

「うん。梨桜くん。また明日ね。」

「うん。」

「梨桜くん。」

「何?早く入りなよ?」

「大好きだよ。」

と、乃楓は、口パクで言い、家に入った。

それを眺めて数秒間固まり、乃楓が少年の事好きな事を知り、家に帰った。

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