EX(Ⅱ)5.5話 三星梨桜回復中

―事件から3時間後―

「お兄ちゃ〜ん!!死なないで〜〜。」

と、俺の妹、真理亜マリアは、警視庁超能力捜査課捜査本部4係………通称回復屋の窓ガラス越しに俺を見つつ俺を涙流しながら言った。

「梨桜〜〜!死ぬな〜!」

「うっせぇな。警部。そこの声、この部屋に響くんだよ!眼………開けるにはまだ体力が全快じゃねぇから無理だけど生きてんよ!」

「梨桜。ちょっといいかしら?」

「どうしたの?」

「倒れる数分前、ホールの中央に居たのよね?」

「うん。いた。」

「一之瀬君に聞いたのだけど右目付近を手で押さえてたのよね?」

「うん。なんか10分後の風景が見えてさ、そうしたら右脳部分が痛くてさ。それで押さえてた。あっ。そうだ。警部。俺の近くに倒れてた人達は?」

「全員逮捕したよ。警察病院に全員入院中だよ。」

「意識は?」

「もちろん全員あるよ。意識無くして倒れてたのは梨桜だけだが。」

「良かったぁ。戦闘中の記憶無くてさ?殺してしまったんかなって思って。いつもは有るんだけどね。安心した。」

「戦闘中の記憶が無い!?」

「それは、神格化という現象じゃな。」

「警視総監!?」

「ロンドンの親友が本を出しててな。ほれ。『超能力者の神格化』」

と、警視総監は、言い、親父に超能力者の神格化という本を渡したらしい。

「それ、買ったのですか?」

「いや、送られてきたのだ。三星。お前WPPO

(World・Psi・Police・Organizationの略)の特捜員だろ?俺の方に資料が送られてくるんだ。」

「そうっすね〜。そうらしいっす。なんかグロフィルド王国の大使暗殺事件ってあったじゃないですか?あん時まだ警察に入るって言うか中3になる前でしたね。」

「あったな。」

「そん時にWPPOのお偉いさんとタッグ組んで捜査協力してましたね。そうしたら高校入学後の超能力検査でSランク超能力者って判明して………今に至るって事ですね。」

「ピュドー・グドモリア現WPPO事務局長だな。」

「あの………。先程からWPPOって仰ってましたが。」

「母さん。本部は、ロンドンにあるよ。1回行きたいなって思ってるんだよね。」

「梨桜〜。眼が………。」

「ん?あぁ。やっと全快したから開けられる。」

「お兄ちゃ〜ん。」

「どうしたの?真理亜マリア?」

「死んじゃうかと思ったじゃん!もぅ!お兄ちゃんのバカ!」

「ゴメンって。」

「梨桜。」

「うん?どうしたの?母さん。」

「貴方が寝てる間に、4係の係長さんから気になる資料を貰ったわ。」

「ん?何それ?」

「貴方の超能力の能力変動書。貴方、元々サイコキネシスの能力ってAランクよね?」

「うん。そうだはずだけど?」

「貴方………神格化して、全ての超能力Sランクよ?」

「嘘!?えっ!?」

「本当よ。神格化時の超能力の予知夢と過去夢………つまり今回の事件で貴方が見たという10分後の風景………それが予知夢。その反対に10分前の風景が過去夢なのだけど。それは、元々SSランクよ。」

「ほへっ?」

「この本によると、事件が起きる寸前に右目付近の脳みそ………つまり右脳がフル活動して10分後の風景が見えるらしいわ。過去夢の場合は逆ね。過去夢と予知夢が四六時中視えてしまうと本当に死んでしまうわ。」

「えっ!?………そうなの!?」

「えぇ。そう書いているわ。」

「怖っ!」

「だって、貴方…産まれる頃、お医者さんに『とてつもない超能力能力を持って産まれてきます。』って言われたのよ。」

「へぇ〜。とてつもないねぇ………。」

「色々申請しないといけないわぁ………。」

「申請?なんの?」

「貴方の超能力変動申請書。都庁に申請しないといけないの。これだけは、いつの時代も紙なのよね………。書くのがめんどくさいわ。」

「あはは。」

「笑い事じゃないわよ。」

「えっ!?」

「結局書類提出してもデータがこっちに送られてくるのよね。」

「そうなんだぁ………。もう快復したし。俺は、動きたいな。」

と、俺は、言い、部屋から出て、母さんの元へ向かった。

「もぅ!お兄ちゃんはぁ!!」

と、真理亜マリアは、言った。

「ごめんごめん。WPPOにちょこっと用事済ましてくる。」

と、俺は、言い、ズボンの右ポケットに入れていたWPPOバッジの突起部に触れた。

すると、俺の周りを青白い光が包み、俺は消えた。

俺が消えてから2、3分後、俺は、戻ってきた。

「親父………なにみてんだよ?」

「梨桜。お前。この分からないか?」

「誰だよ?」

「お前が何か言われた後すぐにこのに変わっていたんだ。」

「で?なんで持ってんの?」

「ここに運ばれて2時間後、一之瀬から警備カメラの映像を貰って観てたんだが知らんか?」

「ん?知らねぇ。」

と、俺は、言い、左の窓ガラスを見た。

すると、俺からその娘らしき人間が分離した。

「お前は、誰だ!?」

「何言ってるの?お父さん。私です。梨桜です。三星梨桜。17歳。」

「俺の名前!でもなんで今日に限って出てきやがんだ。」

「私だって三星梨桜だよ〜!!!」

「今日に限って?」

「あぁ。うん。母さんの部署のレコーダーに監禁事件のVTRが残ってるはずなんだけどその時のと、見比べたらわかるはずだよ。」

「あの事件ね。」

「うん。あん時は、俺、この女の姿が出てこなかったんだよ。」

「監禁事件のあれか。」

「出てこなくてすべて俺がやったんだ。で、話は、変えるけど今日から、お前のコードネームは、『CHERRY』な。よろしくな。『CHERRY』。んで、俺が帰る時に俺の体に戻れば良いから。俺呼ぶ時は、『若様』で良い。」

「あっ……うん。」

「俺は、お前が回復した事連絡して来るな。」

と、親父は、言い、待機場所に行った。

「よいしょ〜!」

「梨桜?どこに行くのかしら?」

と、母さんは、言った。

「ちょっとね。体動かしに!体鈍るから。ついでにこいつの身体能力確認しときたいから!」

と、俺は、言い、もう1人の俺を連れ、駐車場より下の階にある身体能力検査室へ向かった。

「なら私もついて行く。」

と、母さんも言い、俺の後について行った。

―数分後―

「俺と同能力。力もSSランクか。変わらんか………。以上だな。有無を言わず俺の体に戻れ。『CHERRY』なんか嫌な予感がする。」

と、俺は、言うのと同時に、警報が鳴った。

「梨桜………。気をつけてね。」

「お兄ちゃん。死なないでね。」

「誰が死ぬかよ。んじゃ…行ってくる。」

と、俺は、ニコッと笑い、上の階に停めてある自分のバイクに向かった。

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