第12話 虹を紡ぐ白い蜘蛛さん

「ママ!きれい」

「ほんとぉ、きれいな虹ね。きっと、どこかに『虹を紡ぐ☆白い蜘蛛さん』がいるのよ!」とママがいいました。


「虹を紡ぐ?白い蜘蛛さん???」

「そうぉ。、マが小さい時に、おばあちゃんから教えてもらったお話・・よ♪」とママが言います。


「教えて!教えて!私にも教えて、ママ」とおちびちゃんが目をキラキラさせて言うので、ママはにっこり笑ってお話し始めました。



昔ぁし、むかし。

大きな、大きな山があって、天に届くかと思うくらい高い山がありました。


その山のふもとには、蜘蛛の一族さん達が仲良く暮らしていました。


ある年、たくさん生まれた赤ちゃん蜘蛛さん達の中に、身体がみんなより少し大きくて、真っ白な赤ちゃん蜘蛛さんがいました。


そして、白い蜘蛛の赤ちゃんの誕生は、蜘蛛の一族はじまって以来のことでした。


それが良いことなのか、悪いことなのか・・・、誰にも分かりませんでした。



「どうして?誰にも分からないの?どうして、白い蜘蛛さんはいけないの?ママ」とおちびちゃんが不思議そうな顔をして聞きます。


「さぁー、どうしてかしらねぇ。自分たちと違うから・・色も、身体の大きさも違うから、他の蜘蛛さんたちは、どうしていいか分からなかったのかもしれないわねぇ。」とママが優しく笑って言いました。


「ふぅ~ん・・・。それからどうしたの?白い蜘蛛さんは??」


大きく成るにつれて、白い蜘蛛さんは皆とは違って、どんどん大きく成って行きました。

身体も白いまま・・・。


ある日、蜘蛛の長老さんが言いました。


「お前の、その大きな身体を怖がるものがいる。その白い身体をどうしてかと聞くものがいる。何も悪い事をしているわけでは無いが、一族の平和を考えて欲しい」と言いました。


蜘蛛の一族の長老さんに、そう言われた白い蜘蛛さんは、何も言わずに一人で山の上の上の方へと出かけて行きました。


山の上の上は白い雪が一年中あって、とても寒くて・・・、


白い蜘蛛さんは、雪と同じ白い色で溶け込んでしまいそうでした。



「白い蜘蛛さん、かわいそう・・。」とおちびちゃんが泣きそうな顔で言います。


「そうねぇ、一人でかわいそうねぇ」とママも言いました。



「白い蜘蛛さんは、雪になっちゃったの??ママ」


「いいえ、ならなかったわぁ。」


大丈夫よというママの言葉に、おちびちゃんがにっこり笑ってうなずくと、「それからどうしたの?」と聞きました。


「それからね…」と、またママは白い蜘蛛さんがどうなったのかを話し始めました。




雪に溶けてしまうと思った蜘蛛さんの前に、七色の光の影が現れて言いました。


「お前に、これをあげよう。」と言いながら、白い蜘蛛さんの丸ぁるく膨らんだ背中を撫でました。

するとそこには・・、不思議なことに七色の宝石が現れたのです。


真ん中には、小さな六角形のルビー(赤)が、ルビーを囲む様に、その六方向には小さな、しずく型のパパラチヤ・サファイヤ(橙)、イエロー・ベリル(黄)、ペリドット(緑)、サファイヤ(青)、ラピス・ラズリ(藍)、アメジスト(紫)の美しい宝石たちが、白い蜘蛛さんの背中で輝いていました。



「ママ、素敵ぃ~」おちびちゃんは大喜びです。


「そうねぇ、素敵ね」とママも嬉しそうに言いました。




驚いている白い蜘蛛さんに、七色の光の影が言います。

「さぁ、これで空に七色の虹を紡ぐことが出来る。美しい虹を世界中にかけて、みんなを喜ばせてあげなさい。」


そう言うと、七色の影は消えてしまいました。



「ああぁー、だから、どこかに白い蜘蛛さんがいるのね、ママ。ママは、白い蜘蛛さんに会ったことある」

「ママも、まだないのよ」


「ママのおばあちゃんは?、会ったことあるのかなぁ。」

「さぁ、どうかしら?でも、ママに白い蜘蛛さんのお話をしてくれたのは、おばあちゃんだから、もしかしたら、会ったことがあるのかも知れないわぇ。」


「いいなぁー!私も白い蜘蛛さんに会いたいなぁ~♫」と、おちびちゃんは空にかかる虹をうっとりと見上げて言いました。



おしまい


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