第8話 あかね丸ちゃんと、まん丸お月様と城のねずみさん達 

今日は中秋の満月、お城では満月を愛でながらの宴会が開かれています。

賑やかな宴会の楽しい声を遠くに聞きながら、あかね丸ちゃんは城の一番上での見張り当番です。


今朝、今晩の見張り当番を決める時に・・・。

さんかく丸くんも、しかく丸くんも、まん丸ちゃんも…、他の皆も、今夜の楽しい宴会に出たくて手を上げません。

でも、誰かがやらなければいけません。


あかね丸ちゃんは、前の前の日に見張り当番をしましたから、本当はしなくてもよかったのですが、皆の気持ちが分かったので、そっと手をあげたのでした。


下から聞こえて来る楽しい笑い声を聞きながら、三角おにぎりを一口くちにしたあかね丸ちゃんは、おにぎりの・・・しょぱさが・・・お塩の味が、『涙の味』のように感じてしまいました。


「どうしたんだい?あかね丸ちゃん」

と、まん丸お月様が優しい笑顔で聞いてくれました。




あかね丸ちゃんは、まん丸お月様に・・・、


今夜、一人で見張り番をするのが何だかとっても悲しくて、三角おにぎりの味が…、


『涙の味』がして、とっても寂しくなった事を正直に話しました。




「そうかぁ~、それは辛かったね」と、まん丸お月様が、あかね丸ちゃんにいいます。


「ありがとう、まん丸お月様。でも、皆が楽しい宴会で…、笑い声がするから大丈夫」

あかね丸ちゃんがニッコリ笑顔でこたえます。


「あかね丸ちゃんは、優しいねぇ、優しあかね丸ちゃん。後ろを見てごらん」


「えっ・・・!?」



後ろを向いた、あかね丸ちゃんの目に映ったのは、城のねずみさん達が用意してくれた、お月見団子と里芋や栗の秋の味覚のご馳走でした。


驚くあかね丸ちゃんに、城のねずみさん達の長老さんが言いました。


「あかね丸ちゃん、ありがとう。子ねずみを助けてくれて、ありがとう」と言いました。


そこには、10日前くらいに大きな屏風にシッポを挟まれて泣いていた子ねずみさんと、子ねずみさんのお母さんねずみさん、お父さんねずみさん。

そして、沢山の子ねずみさんの仲間の城のねずみさん達がいました。



そうです。

あかね丸ちゃんは、シッポか挟まって泣いている子ねずみさんを助けてあげました。


それから、あかね丸ちゃんのお母さんが、あかね丸ちゃんに持たせてくれた、ハマグリの貝の入れ物に入った傷薬を、子ねずみさんの腫れて赤くなったシッポに塗ってあげたのでした。



「良かったねぇ~♪あかね丸ちゃん。もお、しょっぱい味のお塩じゃ無いね、楽しくて、うれしい、優しいお塩の味だね」

と、まん丸お月様が言います。



そうです。

不思議なことに、一口食べた三角おにぎりは、甘くて…、しょっぱい味がして♪あかね丸ちゃんは嬉しくなって、まん丸お月様に「はい♪」と、お返事しました。


あかね丸ちゃんと、まん丸お月様、城のねずみさん達の楽しい宴会が、笑い声が、秋の夜空に楽しく響きましたとさぁ。

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