✬デビルキャットその✬

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数年前、一人の変態魔術師がいた。


え?何を唐突にかって?うるさい黙ってろ‼︎


ゴホンッえー、数年前、一人の変態魔術師がいた。

彼は正真正銘の変態である。

とはいえ、誰かに危害を加えたりと言った事は無い。

いや、ある意味では危害を加えているようなモノだが…

話しを戻そう、彼の趣味は覗きである。

彼の趣味については詳しくは言わないが、兎(と)にも角(かく)にも変態なのだ。

彼は常日頃から思った、街行く女性のその衣服の奥を見たいと、どうにかして見る事は出来ないかと。

わざわざ遠出して、隣街にある温泉街まで行って覗きをしようとした事もある。

木に登っては、魔導式双眼鏡で室内を覗こうとした事もある。

だが、彼の心は満たされなかった。

彼は考えた。

どうにかして、直接的且つ間近に街行く女性のその、衣服の向こう側を見れないかと‼︎

おっと失礼、ついつい熱くなってしまった。

えー、どこまで言いましたか?

あ、そうそう、ゴォッホン‼︎

彼は考えに考え、そして一つの魔導書(マジックブック)に出会う。

そこには、1匹の悪魔について書かれていた。

【特上級悪魔(カラピエル)リンクス】についてと、その特徴について。

悪魔リンクスの特性に、全てを見透かす眼を持っていると書かれていた。

彼は思った、これこそ私の求めるモノだと。

この眼があれば、きっと街行く女性の衣服の向こう側を見れると‼︎

ただ召喚するだけでは意味が無い、【魔人型】のように部位を交換しなければならない。

だから、眼を交換して貰おうと考えた。

そして、決行した。

立派に魔方陣(ペンタクル)を描き、そして召喚したその時、

部屋に1匹の【大山猫】が飛び込んで来たのだ。

そして、あろう事か召喚用魔方陣(サモンペンタクル)内に入ってしまった。

既に、部位交換の為の呪文も唱えてしまった後だ。

もう、彼にはどうする事も出来ない。

そして、悪魔(リンクス)は召喚された。

ただ一つ言わせて貰えば、彼はある一つの事を忘れていた。

煩悩剥き出しのその頭では考えが及ばなかったのだろう。

そう、魔力量だ。

彼はそもそも魔力量が【特上級悪魔(カラピエル)】を召喚し、命令を下すだけの魔力が足りていなかった。

だが、悪魔は召喚された。

彼の持つ全ての魔力と命を引き換えに。

だが、それでも足りなかった。

そうして悪魔(リンクス)は目を付けた。

すぐ真下にいる【大山猫】に。

そして魔方陣(ペンタクル)の術式にそって契約は成された。

【大山猫】の内側全てと引き換えに交換されたのだ。

こうして、一人の変態魔術師は命を落とし、そして新たに大山猫の皮を被った悪魔が、この世界に放たれたのだった。


しかし変態、侮(あなど)れない。


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