✬デビルキャットその✬

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「ここが私たちの教室ばい」

とレゾナは、魔術学校の三階にある一室の扉の前に止まると言った。

案内パンフレットを見ても今一場所が分からない四人に学校内をよく知るレゾナが案内をかって出たのだ。


「意外と中広いのね」

と、アリアナが感想を述べると、空間魔術の応用ばいと返事が返ってくる。

「席どうするよ、明らかに俺ら5人用以外にも机と椅子があるぞ」

適当に好きな場所座れってか?と、ヤナギが言うと

「まぁ好きな場所ってのは同意するけど単純に空いてる教室をあてがったんじゃないかな?」

と、フロストは言いながら一番に窓際の席へと座る。

「あ、こら‼︎普通話しあって決めんだろ‼︎」

と、ヤナギがブツクサ文句を言うが既に各々が自分の好きな席へと座っていた。

「俺一番最後かよ」

と、少し項垂れてヤナギはとぼとぼと、あまりの空いてる席へと座るのだった。




始業時間まで各々で駄弁っているとチャイムが鳴り、それと同時に扉が開く。

「やっば遅刻ギリギリだ、あぶなっ‼︎」

と、それはどこかの主人公が良く使う常套手段では?と、フロストは心の中で思いながら、今しがた教室に入って来た一人の男をみる。

「おっとこれはこれは失礼した」

と、男は先程の言動をまるで無かったかのように丁寧に言うと、衣服の乱れを整える。

「ふむふむ成る程、またお会いしましたなぁ」

黄金世代の諸君、と言うと男は髑髏(ドクロ)モチーフの黒いステッキをクルクルと回す。

みながアッと口を開け、唖然としていると男は言った。

「私(わたくし)ブルフ=ダーティと申す」

と、甲斐甲斐しく礼をする。

「先日はどうも、素晴らしい魔術と呪文でしたなぁ」

と、言ってふふふっと不敵に笑った。


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所変わってここは帝都繁華街その一角である。


「く、喰い逃げだぁぁぁあ‼︎誰かそいつを止めてくれ〜‼︎」

と、お食事処【一万円(いちまんえん)】の店主が店先で叫ぶ。

どこぞの異世界の者が聞いたらビックリするお店の名前である。

通行人達は、今しがた喰い逃げしたであろうその者を見やるが、誰一人止めようとはしなかった。

いや、訂正しよう。

誰一人捕まえようとはしなかった。

と言うのも、今しがた走り去って行く者が【ネコ】だからだ、正確には【大山猫】だが、であるからして誰一人捕まえる事は無かった。

ただ一つ気になる点があるとするならば、猫なのに着物を着ている点と、二本の刀(打刀・脇差)を帯刀していた事ぐらいだろう。

だから、くどいようだが通行人は誰一人捕まえようとはしなかった。


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