✬魔獣の大群その✬

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場所は南側、ここでは今も変わらず大地を業火で埋め尽くしながら悪魔と対峙する1人の男が立っていた。

街の魔術師やギルドの面々は、その男の邪魔をしないように後ろで返還呪文を唱えている者と、魔獣を退治している者がいる。


「おそらく東側もこっちと同じ様な状況なんやろぉね」

と、大地を業火に変えながら、白い靄(もや)の掛かる、輪郭のボヤけた悪魔と1人で対峙している男、ピエロ=マスカーティである。

「さっき東側にアイツが向かっとったけん、大丈夫とは思うばってん心配だな」

と、ピエロは未だに弟子離れ出来ていないといった具合だ。

さてと、心配ばかりしていてもしょうがない、と左手に持つ紅い玉に集中した。


ピエロの持つ紅い玉、それこそピエロ=マスカーティの隠し持つ切り札、

ーーーー【付与型】《閻魔大王の紅玉》である。


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場所は戻り東側


「誰か知らないけど、手伝ってくれるんなら助かる」

とフロストが言うと、

「バカっ‼︎その人、魔術学校の教員よ‼︎入学式展で教員達の中にいたじゃない‼︎」

見てないの?信じられない、と言った様子でアリアナが言うと、

「いや、俺ずっと代表挨拶の事ばかり考えてたからさ」

と、フロストは言った。


「ちょっお前ら‼︎攻撃の手を止めてだべってんじゃねぇよ‼︎」

と、ヤナギが叫ぶので、慌てて魔術の行使を始める2人。


魔術を発動しながら、

「それで先生、確かにみんな返還呪文唱える事が出来るけど、先生1人でアレ」

抑えれるの?と、横目に長い鍔(つば)の帽子の男を見上げる。

「ふふふっもちろんですとも、Mr.マスカーティ少年」

と、さも当たり前だといった表情で笑みを浮かべる。

「魔獣の退治は、街の魔術師達が請け負ってくれてるみたいだから君達はこっちにしっかり集中してくれて構わないよ」

ふふふふふふっと不敵に笑いながらクルクルと髑髏(ドクロ)モチーフのステッキを回す。

「私(わたくし)が攻撃に転じたら3人を引き連れてすぐにMs.マスカレード少女の元へ向かいなさい」

ここは大人に任せてね、と言うとクルクル回していた髑髏(ドクロ)モチーフのステッキをピタッと止めると、白い靄(もや)の掛かる輪郭のボヤけた悪魔にスッと、ステッキを向ける。

「みんな、先生が魔術を行使した瞬間にレゾナの元に行くぞ‼︎」

と、フロストが叫ぶとその瞬間、


ーーーー世界が一瞬時を止めた


そう錯覚する程に、すべての音と言う音が響きを忘れる。


そうして、一瞬後に魔術学校の教員だと言う黒く長い鍔(つば)の帽子の男が持つ、髑髏(ドクロ)モチーフのステッキが紫色の光を放つと、大気を震わせ吞み込みながら、黒い波導を放つ。


「行け‼︎」

と、一言教員から声が発せられ、4人は脱兎(だっと)の如(ごと)くその場を離れる。


「さぁさ、冥王よりお借りしているこの爪楊枝(つまようじ)、その力申し分無く使わせて貰うぞ」

と、ステッキに語りかけながらニヤリと笑った。


その、髑髏(ドクロ)モチーフのステッキこそ、ブルフ=ダーティの能力、


ーーーー【付与型】《冥王ベルゼブブの爪楊枝》である。


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