✬魔獣の大群その✬

*****************


「やばいな、きりがない」

と、歯を食いしばってフロストは言った。


未だに、魔獣は数を減らすどころかむしろ増えているように感じる。


一度舌打ちすると、その場を蹴って大きく後ろに後退した。



ーーーー偶然だった。


地面を蹴る瞬間に下を向いていたのは、


左眼の【真実の瞳】が、たまたま、瞳の端でそれを捉えていた。


「なんだ、これは?」

と、足元を見やると、足下の土が【Lv相当の目】じゃまず気付くことのないレベルで移動していた。

この土は魔術によるフェイクか⁇と、呟くとその下から紋様が顔を覗かせる。


下に描かれている紋様を見て、ルーン文字や古代文字を見やると、やっと今、自分達がとんでもない場所にいる事に気がついた。

ーーーー超巨大な召喚用魔方陣(サモンペンタクル)か‼︎

と、自分が超巨大な召喚用魔方陣(サモンペンタクル)の内側にいることに、

「あぁくそっ」

と、悪態を吐くと大声を出す。

「アリアナ‼︎ヤナギ‼︎ルーナ‼︎レゾナ‼︎」

後ろに下がれ‼︎ここはやばい‼︎と、フロストは叫びながら後ろを見るが、もう既に遅かった。


超巨大な召喚用魔方陣(サモンペンタクル)は強く赤い光を放ちながら、召喚の時を待っていた。


魔方陣の、一番端までフロストは辿り着くと

、既に端まで辿り着いていたヤナギが、

「ダメだ‼︎完全に起動してやがる」

閉じ込められた‼︎と、事態を把握した様子で言った。


「これヤバかよ」

と、合流したレゾナは言いながら、どうしよう…と顔に困惑の表情が見てとれる。


そこへ、アリアナとルーナも合流し、

「ヤバイわよ、どうするの?」

と、落ち着いた様子でアリアナは言っているが、ルーナに至っては、

あわわわわっと物凄い慌てようである。


ーーーーそして、


ピシッ‼︎


ーーーー空間が裂けた。


フロストは、召喚用魔方陣(サモンペンタクル)の外側にいる街の魔術師に大声で、


「近くに、術者がいるはずだ‼︎探してくれ‼︎」

と、叫ぶと空間の裂け目に目を向ける。


右目を瞑り、左眼の【真実の瞳】で、召喚されようとしている悪魔が何なのか確認しようとするが、左眼が凄まじい勢いで震える。


ーーーーズズズズズズズッ


空間の裂け目から、白い靄(もや)が掛かり、輪郭のボヤけた巨大な腕が現れる。


Lvの眼を持ってしても、その姿を捉える事は出来なかった。


ーーーー【最上級悪魔(マリリン)】の降臨だ。


「おい、全然姿捉えられねぇ‼︎完全に出てくる前に出来るか分からんが大火力で空間の裂け目に押し込むぞ‼︎」

何もしないよりマシだ‼︎と、言いながらヤナギが空間の裂け目を目掛けて魔術を放つ。


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