✬慌てる酒場の親父✬

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会場の出口を出て行きながら、

「あぁ面白かった。ルンちゃん今も心臓バクバクだよ‼︎見た?あの驚いた顔傑作」

と、ルーナは歩きながらお面やローブを捨てていく。

周りの4人もお面やローブを脱ぎ捨て、笑いながら歩いていた。

「流石はレゾナちゃんの企画だわね」

と、アリアナは未だ興奮冷めやらぬと言った表情である。

「しっかし、まさか師匠が来てたとは思わなかった」

と、フロストが言うと、

「え?ピエロ=マスカーティ様来とったの?」

嘘でしょ?と驚いた顔でレゾナは言っていた。

「てか、これじゃぁ俺らただの目立ちたがりじゃねぇか」

と、ヤナギは言っていたが、

「良いじゃない。今更よ」

と、アリアナはつい、この間の間演舞(リルデリー)の後、私達何て言われてるのか知ってるの?とヤナギに言った。

「え?何て言われてんだよ」

と、最近やっと彼女達と普通に話せるようになったヤナギが聞くと、

「知らない方が良いわ」

私も恥ずかしくて声に出せないもの、と言っていた。



こうして、彼等は寮に向かって歩いていたのだったが…


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あの後、式典は滞りなく終わり、校長が終わりの挨拶をしようとすると、会場の入り口から勢い良く酒場の親父が入って来て、大声で言った。


「式典中すまん‼︎魔獣の大群が押し寄せて来やがったぁ‼︎」と…


新入生や、参列者達はザワザワと騒ぎ出す。


パンパンッと2度イデアは手を叩くと

「お静かに」

と、言って

それで、状況は?と軽く首を傾げた。


「遠くから見た限り、南と東方面から同時に推定R(アールファイブ)の魔獣、さらにその奥に何十体かのR以上(アールナインオーバー)の魔獣だ‼︎」


それを聞いて、またしても新入生達は騒ぎ出す。

「う、嘘、R以上ですって…」

「やべーよ、大丈夫かなぁ」


だが、そんな新入生達を尻目に、すぐさま移動を開始する教員達、彼等は魔術学校教員に就任した時から既に、不足の事態の時はどう行動するか、それぞれ役割分担されている。


「分かりました。新入生は皆この場所で待機、この街にいる、魔術師の卵がこの場所に避難してくるでしょうから、その子達をお願いね」

と、言うと、

「戦況はどうなっているの?」

と、酒場の親父に聞く。

「南には街の魔術師とギルドが向かった‼︎東には黄金世代を筆頭に数人の街の魔術師が向かっていってる‼︎」


「分かりました。では、私達は、街に結界を張りに行きましょう」

と、周りの著名人達に言うと行動を開始しようとするが、

「儂等も手伝ってやろうか?」

と、下卑た笑いをしながら王都魔術学校の校長が言った。

「いいえ、それには及びませんばい、王都魔術学校デデブ=デニム校長」

と、隣から声がかかる。

「あ、あなた、ピエロじゃない来てたの?」

と、イデアが言うと、

「久しぶりやね」

と答えるが、

「儂はデデル=デニムじゃ‼︎」

訂正しろ‼︎と、王都魔術学校校長がいうが、

おっとそれは失礼、とピエロは訂正せずに軽く謝る。

「そうね、確かに必要ありませんわ、ここは帝都、魔術師の街、この帝都に弱い者はいないの、気持ちはありがたいですけれど、こんな事にお手を煩わせる訳には行きませんわ」

ふふふっと、可愛らしく笑うと、

では、これでと、颯爽とその場からピエロと共に離れていく。


ピエロと足早に歩きながら

「あなたがいるのなら百人力ね」

と言うが、

「千人力の間違いばい」

と、ピエロが答える。

「全く相変わらずね、あなた」

と、言うと、

「僕はいつからイデアの旦那さんになったと?」

とピエロは軽口を言っていたが

「そんな意味で言ってないわ、それより王都かしら?」

と、魔獣の原因はなんだ、とピエロに尋ねる。

「たぶんね」

確証はまだ掴めてないけど、と返答する。

イデアは、ハァーッとため息をついた後、

「それじゃぁ南をお願い出来るかしら?」

と、ピエロに言うが、

「東じゃなくてよかと?」

と、ピエロは言う。

「私達の弟子がいるのよ?」

必要ないわ、と言って空に飛んでいった。


「ま、それもそうか、あれだけ立派な魔演舞(リルデリー)見せられたらね」

と、どこか弟子の成長を喜んでいるように呟くと、ピエロも空に向かって飛んで南に向かったのだった


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