✬ドラゴン寮その✬

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まぶたを薄く開けると瞳に光が差し込んできた。

ここどこだ、寮のベットじゃないな

「身体だっるー」

と、身体を起こし頭を乱暴にガシガシとかく少年はフロストである。

「そんなに勢いよく頭掻いてたら禿げるわよ」

とすぐ間隣から声をかけられ、そちらを見やるとアリアナが座っていた。

お腹空いてるでしょ?と今しがた剥いていたリンゴをこれでも食べたら?

と言いながらリンゴをフロストに渡す。

リンゴを受け取ると、うわぁっと声を上げ

「きったねぇ皮の剥き方だな」

と感想を述べると、キレッキレのスピードで、

スパァァァァァンッと病室内に良い音が鳴り響いた。

フロストは、右手のリンゴを落とさないように気をつけながらヒリヒリと痛みがする後頭部を両手で押さえいた。


自業自得である。


ったく貴方って気遣いって言葉知ってるの?

と言って、アリアナは病室を出ていった。


「照れ隠しにしてはヘッタクソだな」

と、隣のベットから声がかけられ、

病室の扉とは反対方向へ顔を向けると、

ははっと、苦笑いを浮かべたヤナギがベットの上にいた。


「今回は俺の負けだよ」

と言いながらヤナギは病室の天井を見ている。

ちょっと、また魔演舞(リルデリー)する気?と、言いながら病室に入ってきたのはルーナである。

「ルンちゃんアレは当分したくないかなぁ〜」

と言いながらカットされた果物がのったお皿を持ってきた。


「ルンちゃんノリノリで始めたのにあんな長期に渡るなんて思っても見なかったよ〜」

と、フロストとヤナギが手を付けるよりも先に果物を口に放り込んで、もぐもぐしながら言った。


「とりあえず目覚めて良かった」

入学式明後日だからね、と言ってルーナはシャクッと音を立てリンゴを齧っていた。


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帝都では、帝国全土から様々な有名人が一堂に会し、魔術学校に入学する若き魔術師達を一目見ようと集まり、いつにも増して魔術師でごった返していた。


入学式まで後1日。


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ここはドラゴン寮

既に退院したフロスト達は、明日の入学式を心待ちにしながら、明日のクラス代表挨拶を誰がするのかを決めていた。


「ゲンブ寮からは誰が出るか知らんが、ビャッコ寮からは今年三回生になるフランクリン先輩が代表挨拶するってよ」

とは、ヤナギだ。

「スザク寮は、アルージュ=オブラディア先輩らしいわよ」

と、アリアナは言うと

「その名前知っとる。オブラディアって毎年1人は必ず弟子をとるって言われてるニルチェ=オブラディアのお弟子さんなんよね?」

とは、レゾナだ。

「去年の首席卒業者も確かオブラディアって言われていなかったかしら?」

と、アリアナは首をかしげていた。

「じゃぁ今年の新入生にも当然いるわけだオブラディア」

でも、ドラゴンには選ばれてないんだね。

と、フロストが言うと

「変な奴じゃなければ良かね〜」

とレゾナは、ビスケットを食べながら言った。

「ちょっと色々やる事多いけど、その前にアリアナとルーナは眼のLvあげといたら?2人ともLv3のコンタクトでしょ?」

と、フロストが言う。

「そうねぇ、イブリナには魔術師があまりいない街だったからLv5には出来なかったのよ、丁度良いわ‼︎今からしましょう」

手伝ってね。と言いながらアリアナは席を立つ。

そして残りの4人も、さも当たり前のように席を立つと、地下にある大きな部屋(勝手にフロストが召喚専用部屋を作った)に移動する。


途中ヤナギが、

「とりあえず晩飯食ったら打ち合わせしようぜ、明日の挨拶の事」

と言っていたが、すっかり忘れていたっと言わんばかりの4人の表情を見て、おいおいマジかぁと苦笑いしていた。



余談だが、このドラゴン寮の掃除はレゾナが1人で行っている。

とは言え、24匹のピクシー【中級悪魔(ジン)】を使ってだが。


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