✬魔術から素敵な贈り物✬
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「まったくなっちょらんばい‼︎」
とは、少年が新しい師匠の元で魔術を習い始めて数日目の事だ。
「悪魔と契約しとるからって強くなれるとは限らんのやけん」
と師匠は言う
強い悪魔も大事だが階級の低い悪魔も使い方次第でどうにでもなると言う。
だが、言っている事は真っ当だが、師匠が使役している悪魔のレベルも大概だ。
昨日、師匠から教えてもらったとこによれば
師匠が常に腰のベルトにぶら下げている鉈は、魔道具で
【装備型】青鬼の皮切り【内蔵悪魔(フラム)】
首からぶら下げている眼鏡は
【装備型】姿現しのレンズLv【内蔵悪魔(バフォメット)】
そして、もう体
【使役型】冥府の番犬デリンジャー
…使役型は【上級悪魔(イフリート)】で装備型は【特級悪魔(カラピエル)】だ。恐ろしい。
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魔術師は身の回りの雑務を【低級悪魔(リリム)】に任せる事がほとんどだ。
低級悪魔を体使役し簡単な命令を与える授業を受けているのだが…
いかんせん、【低級悪魔(リリム)】は頭が弱い。
なので、事細かに命令を与えなければ思うように動いてはくれない。
となりの部屋にある蔵書をとって来いと命令すれば、いつまでたっても戻って来ないので、見に行くと【低級悪魔(リリム)】は蔵書を抱えたまま、その場をぐるぐる飛び回っていた。
全く頭の痛い話しだ。
ちなみに授業の初日に少年は新しく体のリリムを召喚し、使役している(師匠命令)
とはいえ、本来この授業は15歳を過ぎて魔術学校に入学までの約一年間に習う事なのだが…
本来15歳に満たない魔術師の卵達は主に15歳を迎えるまで、師匠の元でペンタクルの種類、用途、描き方や、悪魔の階級や名前と特徴、魔道具の扱い方や作り方、古代ルーン文字などを勉強する事になる。
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「うっわぁ臭い」とはアルシュである。
ここは眠りの森居住区跡地にある、少年が氷の女王シヴァを召喚した小さな部屋である。
そこにアルシュとダズ、それと後3人の魔術師が集まっている。
「アルシュ、これを」とダズがアルシュに水晶を手渡す。
「はいよ」とアルシュは受け取ると、そそくさと部屋の中心にペンタクルを描き始める。
「いいね‼︎召喚中は部屋の中に入るんじゃぁないよダズ‼︎」とアルシュは大柄な男ダズに言うと、分かっているとでも言うように、ダズは軽く頷く。
「しっかし、よく手に入ったねぇ」
とアルシュは水晶の事に触れる。
少年の左目にも水晶はあるが純度が低い。
なのでダズに高純度の水晶を探しに行ってもらっていたのだ。
この純度があれば【特級悪魔(カラピエル)】に耐えられるよ、とアルシュはニヤリと笑う。
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「呼びましたか?師匠」
と、少年がピエロの執務室にやって来る。
「呼んだばい。アルシュからの贈り物が届いたけん呼んだんよ」
とピエロは言うが、少年はなんの事だか分からない。
師匠は手招きしてメイドを呼ぶ。
あの口の悪いメイドだ。
「どうぞマスカーティ様」
とメイドはピエロに包みを渡す。
包みを開けて
「はい、どうぞ」
とピエロが差し出したのは黒と赤の装飾が施された小箱と手紙だ。
「中を確認してごらん」
と少年に箱を開けるように促す。
少年は小箱を手に取ると、留め具に爪を引っ掛け開ける。
中身を確認すると、これは…とつぶやき、師匠の顔を見る。
「魔水晶ですね?それも中にとても強力な悪魔が込められている」
その通りとピエロは頷き
「魔道具、【真実の瞳】だよ。」
と答え、ちなみに眼のLvだねと付け加える。
凄い、と一言つぶやき今度は手紙を見て、
「こちらのの手紙は?」
と少年が言うとピエロは
「アルシュからばい」
と微笑みながら言う。
少年は手紙の内容に目を通す。
要約すると、アルシュは今日この町を離れる事と片目じゃ不憫だろうとの事で他の知り合い魔術師にもお願いして、魔道具【真実の瞳】の作製に手伝ってもらったらしい。
そして最後に、頑張るんだよと付け加えられて手紙は終わっていた。
なんてお節介な女性だと思う少年の顔は、一瞬怪訝そうな表情をしたが、すぐに感謝と呆れとと、なんとも言えない表情になっていた。
そんな少年を見てピエロは
「またいつか会ったらしっかりお礼を言わんとね」
と微笑みながら言うのであった。
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真実の瞳とは、魔力の流れを見る事が出来るだけでなく、呪いや擬態している悪魔の真実の姿も捉える事が出来る。
眼にはLvがあり人族はLvしかない。
なので眼鏡型魔道具でLvをあげる物が大半だ。
Lv【低級悪魔(リリム)】を見る事が出来る
Lv【中級悪魔(ジズ)】を見る事が出来る
Lv【上級悪魔(イフリート)】を見る事が出来る、薄く魔力の流れを見る事が出来る
Lv【特級悪魔(カラピエル)】を見る事が出来る、魔力の流れと呪いを見破る
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