第11話
「ふぃー、やっと終わった」
やっとの思いで自分たちの荷物を運び終えると千秋は自分のベッドの下段のベッドに腰掛けた。
使用する部屋はみんな一緒の部屋にしようということで一般兵用の兵員室を使用することになった。
大和の艦首側にある兵員室は何千人もの兵を収容するために作られていたため千秋達大和組13人ではあまりまくっている。
ハンモックでは腰が痛くなるので二段ベッドを使用することになり、千秋は上段で下段には栞菜が寝ることになった。
「部長、取り敢えずお風呂沸いてるみたいなんで入りませんか?」
「汗もたくさんかきましたし」
隣のベッドで寝ることになった幸と千亜が千秋に話しかけてきた。
彼女たちの言うとおり今日はいろいろありすぎて大量に汗をかいたというのにその後さらに自分の荷物を抱えてタラップを駆け上がってまた艦内の階段を下りるという重労働。
疲労もピークに達していた。
「そうですね、いきましょう。それと、今思ったんですが部長という呼び方はやめてくれませんか?同級生なんですし」
「あ、それもそうね。じゃ、今度から千秋って呼ぶね」
周りの他の部員たちもそれを快く承諾してくれた。
「じゃ、行きましょうか。大和の浴室は左舷前方の士官用か艦長室の物などもありますが、みんなで入るなら大きい方がいいでしょうから左舷後方の上甲板にある一般兵員用の浴室に行きましょう」
「賛成!!じゃ、さっさと入りたいから走って行くぞ!!」
栞菜が我一番と言わんばかりのスピードで走りだした。
あれだけ動いたりしたのにまだあれだけ走れるのかと全員あきれるが小走りで付いて行った。
左舷側の本来なら砲術長や航海長が使用するはずの個室を通り過ぎて浴室に到着する。
着ていた服も下着もすべて脱いでお風呂に突入した。
「あっ!!栞菜ちゃんおっぱいおっきいね!!私も結構大きいけどこれには負けるよ」
「おっ、おいっ!!くすぐったいからまさぐるのをやめろ!!」
後ろから栞菜の胸をまさぐるどころか鷲掴みにする千秋。
周りの優香達が止めに入ろうとしたが自分の胸を見て次は自分が餌食になるかもしれないということで退散した。
そんな千秋を止めたのは一子と飛行科の坂井雪だ。
「……はしたないからやめろ。お風呂は落ち着いてゆっくり入るんだ」
「……一子ちゃんの言うとおりだよ、千秋ちゃん」
流石に二人に後ろから取り押さえられては千秋にもどうしようもなかった。
そして振り返って二人のお腹より上、鎖骨より少し下を見て……
「…………はぁ」
ため息をついた。
その反応に当然ながら二人はキレるわけで。
「「…………っ!!」」
近くにあった石鹸(優香が持ち込んだ)を掴んで千秋の顔面向けて投げつける。
それを千秋が足を少し滑らせて躱したのでそれが向こうで湯船につかろうとしていた華那の後頭部に命中し、華那がそれを投げ返すと今度は砲室配備の高柳圭にあたり……と、どんどん広がっていき最終的に湯船でまったりしている優香と幸以外の全員によるまくら投げならぬ石鹸投げがはじまってしまった。
そして千秋はさらに別のおっぱいに目をつけてそちらの被害も拡大させている。
そんな風景を優香と幸はぼんやりと眺めていた。
「……お風呂なんだから仲良くしなさいよ」
「……むしろ仲がいいからこうなってるんじゃない?」
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