第5話
「……はい、それまで!!」
号令と共に全員がシャーペンを置く。
7割くらいの生徒があまり解けなかったらしく机に突っ伏していた。
ピンピンしているのは千秋を含めて数人のみだ。
「全然解けませんでした……皆さんはどうでした?」
「……解けるわけがない」
「あっ、今の発音面白いな。……私は柔道関連の問題が少しあったから。それ以外だと一般教養レベルかな」
「そんなに難しかった?結構簡単だと思ったんだけど……」
「「「それはない!!」」」
そんな会話をしている内に解答用紙のマークシートが回収されて採点が始まった。
それが終わるまで時間が少しあるので吉乃先生が話し始める。
「採点が終わるまでにみんなにこの競技を説明するわね。といっても大体知ってると思うけど。テストと一緒に配布した入部希望届に名前を記入しておいてね」
「いつの間にか見学レベルではなく完全に入部することになっている……まあ、いいか」
栞菜がため息を吐きながらボソッと喋った。
しかし、そんなことを気にも留めずに吉乃先生は競技を説明し始めた。
「この競技は文字からわかる通り、戦艦同士での砲撃戦を行ってその勝敗を競うものよ。戦艦以外の船舶は原則使用禁止。艦隊決戦のみで雌雄を決するから単純でしょ?バーッと動かしてダーッと操作してドーンと撃てばいいのよ」
物凄くざっくりとした説明にほぼ全員首をかしげる。
詳しいルールを説明すると以下のようになる。
・一度に参加する艦艇数は一部特別ルールを除いて上限10隻。
・試合形式は基本的に参加している敵の全艦艇を撃沈する殲滅戦か特定のエリアを占領する制圧戦。
・大会での試合は原則として殲滅戦。
・制限時間内に全艦艇撃沈できなかった場合は双方の被害等を評価して決着。
・参加艦艇の制限としては
1945年8月15日までに建造が開始されていて、かつ正規の軍隊に所属している戦艦、巡洋戦艦、高速戦艦・海防戦艦・練習戦艦等に類別される艦艇。
1945年8月15日までの技術力で建造可能と思われる未成艦。
1945年8月15日までの技術力、兵器で可能な既存艦艇の改造案(案があった物に限る・未成艦が建造された場合や実在感が残存していた場合に当然なされたであろう改装は案が無くても可)。
・戦場の選定はルーレットで行う。
・試合時間は最大で24時間。
・試合場の広さは試合ごとに変更。
・原則として1隻に最低でも艦長、副艦長、砲術長、航海長は配置する事。
・人員数に制限はないがほぼ確実に足りなくなるので足りない分はアンドロイドで補完すること。
・競技参加者は必ず「DSG(防御シ-ルド生成機)」を着用する事。これを着用していない競技者は原則として参加を認めない。
・爆風で吹き飛ばされたり沈没に巻き込まれたりした競技者は近くの海域に待機している救助部隊が救助する。
というものである。
「あら、結果がもう出てるわね。……見事に出来る子と出来ない子に分かれてる。一番成績が良かったのは……長嶋千秋さん。どこ?」
「あっ、はい!!私です」
部屋中の視線が千秋に集まった。
「おめでとう。創部以来初めての満点よ」
「ありがとうございます!!」
部屋中から拍手喝采が沸き起こる。
千秋も周りから褒められて悪い気はしないようで少し頬を染めていた。
「……じゃ、一番成績の良かった長嶋さんに部長の役目をお願いするわね」
「………………………………へ?」
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