まんだらけオークション問題について

 世間は日大の問題に湧いている昨今ですが(※執筆時)、この問題もまた創作者界隈では大きいと感じましたので、メモ代わりに駄文を残しておこうと思います。


 さて、知らない方の方に簡単に説明しますと、愛と誠と言う名作漫画がありまして、その原稿は原作者が管理していたんですが、ある日、出版社に貸し出した時に15枚紛失すると言う事がありました。

 その盗まれた原稿の1枚がまんだらけが主催するオークションに出品され、取引が成立したと言うものです。何と400万円の値がついたのだとか。


 一番悪いのは原稿を盗んだ人です。それは間違いありません。その作品をオークションに出品した人が犯人なのでしょうか? それは分かりません。何故なら誰もその事について言及していないからです。探せばそこに言及したネット記事があるのかもですが。これって一番大事な事だと思うのですけど。


 この原画がオークションに出品される事が明かされた時、出版社と原作者サイドはオークション中止を訴えました。それは当然でしょう、元々の所有者が許可していないものが勝手に売買されるだなんて、道義的に言っても有り得ません。


 まんだらけはそのような声があったにも関わらず出品を強行します。まんだらけ側にも言い分はあって、それが盗品か確認出来ないと言う事と、それが真実なら出版社が買い取ればいいと言うものでした。自社は飽くまでも場を提供するだけだと言うスタンスです。


 まんだらけ側も出版社に盗品の証拠を出すように伝え、出版社側の回答がなかったから出品に踏み切ったと説明しています。ここにからくりがある気がしますねぇ。

 そう、この件については原稿を紛失した出版社側にも弱みがある訳です。そこを突けば何も言わなくなる事を知っていたのでしょう。


 出版社側が強気に出られなかった経緯から考えて、出版社が紛失した原稿の持ち主を最初から知っていた可能性も考えられます。人気作品ですし、原稿を欲しがる人もいたのでしょう。何かしらのしがらみがなければ、まんだらけの要求に答えられたはずですから。


 まんだらけは自社のオークションサイトを何の非もないと高らかに宣言しています。そうして出版社側の訴えを幼い責任転嫁とまで批判しています。普通の感覚だと、とてもそんな事は言えませんよね。

 そう言う事を平気で言えちゃうところがこの会社の感覚なのでしょう。道理で嫌っている人が多い訳です。自分のところの商品が盗まれた時は監視カメラの映像を公開してまで犯人を追い詰めたのに。


 どうやらまんだらけのオークションでは以前も似たような事が起こった事があったのだそうです。出品されたものがどんな経緯を経た物であったとしても、自分達に火の粉が降りかからない限りは我関せずを貫くようですね。


 出版社側も強くは出られない、原作者の訴えを聞く気もない、出品すれば高額の取引が成立するのは確実。法的に問題がなければ何でもする姿が透けて見えます。盗品の転売なのですから、それが実証出来たなら法的にも何らかの罰則が適用されそうな気もするのですけどね。どうなのでしょう。

 そう言う動きがなかった以上、上手い事かわしたのでしょうけど。


 この問題ですが、400万円で競り落とした購入者が原稿を原作者に返せば一気に美談に変わったのですけどね。流石に現実は物語のように上手くは行きませんでした。残念。出来ればそうなって欲しかった。


 原稿紛失問題と言えば小学館の「金色のガッシュ!!」問題を思い出す人も多いでしょう。その他にも出版社側のミスで原稿が紛失すると言う話はたまにあるのだそうです。その紛失した原稿が今回のようにオークションに出品されたら……。今のままでは同じ結果が待つだけでしょうね。

 今後、同じような事が起こった時は、紛失させてしまった出版社側が絶対に出品を阻止すると言う熱意を持って真摯に対応してくれる事を願うばかりです。

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