第三十八話 ジュディスの欲望、シュリの思惑②

※2017/10/17 全面的に改稿しました。


 キスをして、アレをして、コレをして……自分に出来る精一杯でジュディスに尽くしきった結果、ジュディスはシュリの横で半ば失神状態となっていた。

 それもこれも、ジュディスの状態異常を解除するためである。

 ちょっとやりすぎちゃった感もないではないが、仕方ない……はず。

 うん、仕方ない……多分。


 シュリはちょっぴりやらかしちゃった感を漂わせつつ、ステータス画面を呼び出した。

 もちろん、ジュディスの今の状態を確認する為である。

 もし、きちんと解消されていないようなら、さっきまでの行為以上の何かをひねり出さねばならず、正直、まだちっちゃなシュリの手腕でどうにかできるとは思えない。

 どうか、状態異常がおさまっていますように、と半ば祈りながら画面を確認してみると、



・愛の奴隷[ジュディス(100%)(充足度:30%)(状態異常:なし)]



 となっていてほっとする。

 無事に状態異常は解除され、充足度が30%までUPした。

 一気に30%まで上がるのが多いのか少ないのか判別はつかないが、とにかく満足してもらえたみたいで良かった。


 安心感に胸を撫で下ろしつつ、シュリはちらりと横を見る。

 失神から浅い眠りに突入してしまったらしいジュディスの顔は、なんとも満足そうで幸せそうだ。

 シュリは思いがけず自分のものとしてしまった女性のそんな様子に思わず微笑んで、そっと手を伸ばしてサラサラしている髪を撫でる。

 望んで彼女を得たわけではない。だが、どう足掻こうとも彼女の全てはすでにシュリのものになってしまった。

 そうなったからには、きちんと彼女に責任を持とうと、シュリは真面目な顔で考える。

 彼女が不幸にならないように、シュリの傍にいてよかったと思ってもらえるように。

 努力しよう……シュリはそう思い、頷く。

 そして思った。

 とりあえず、今後もジュディスの状態異常に関してはなるべくこまめにメンテナンスしてあげるようにしよう、と。


 眠るジュディスの横で、妙に生真面目にそんな事を考えていると、お風呂場のほうから物音がした。

 ぎくり、としてお風呂場へと続く扉の方へ目を向ける。



 「あ~、気持ちよかったぁ。気持ちよかったからついついのんびりしちゃった。急いで戻らないとね~」



 扉の向こうからミフィーのそんな声が聞こえて、シュリは慌ててジュディスのほうを振り向いた。

 さっきと変わらず、ジュディスは気持ちの良さそうな寝息をたてている。

 ほんのり頬を上気させ、さっきまでの行為の名残のちょっぴりの艶っぽさを漂わせつつ。


 そんなジュディスの寝姿を見ながら、シュリの額をたらりと汗が伝った。

 鈍感なところのあるシュリではあるが、今のジュディスをミフィーに見せたらまずいって事くらいは流石に分かる。

 

 シュリはわたわたと起き上がり、ジュディスの顔の横に座ってそのほっぺたを小さな掌でぺちぺちと叩いた。

 が、ジュディスは中々覚醒せず、シュリの焦りは募るばかりだ。


 必死になってぺちぺちしながらシュリは思う。



 (さっきやりすぎたことは色々謝るから、今はとにかく早く起きて~~!!)



 と。

 だが、結局ジュディスが起きたのは、身支度を整えたミフィーが扉をあけるぎりぎりのタイミングで。

 乱れ髪で妙に色っぽいジュディスにミフィーが首を傾げ、シュリはなんだか胃の痛くなる思いをしたのだった。

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