第4話 山田優希
「山田優希」彼について少し語ろうと思う。
彼は高校二年生、成績優秀で、女子だけでなく男子にも好かれる。
男子からしたら「いいやつ」なのである。
もちろん女子にも告白される、と思ったが、彼に告白する者は同級生では皆無だった。彼には少しだけ「影」がある。
優希はいつも「明るい」青年である。
男子同士ふざけあって、教室の入り口の上に真っ白になった黒板消しをはさんでおいて、先生がきてそのドアを引くと、それが先生の頭に落ちてたちまち白髪になる。こんな「いたずら」をして廊下に立たされたこともあった。
しかし、時々、ほんの一瞬。彼の瞳が「触れてはいけない」と語る。
そういうものに女は鋭い。ゆえに「触れないのだ」
でもそういう瞳をするのは一年に一回そのくらいのペースだ。
しかし、それ以外はお茶目な男の子だったから、男女のグループでカラオケに行ったり、ボーリングに行ったりしていた。(しかし優希は運動音痴である)
勉強も優しく教えてくれる優希に時々女子は心を乱して告白しようとするが、同級生からは止められた。「なんとなく」の理由を聞くと女子はあきらめた。
話はそれるが、とかく作者の書く物語は暗いなあ、と思う。だから読まれないんだろうなぁ。
話を戻す。
その日、優希は海岸にいた。波の音が絶えず聞こえている。
ゆっくりと目を閉じて体を後ろに倒す。
砂の音が少し聞こえる。
「またここに来たの?」
女性の声が聞こえる。
青木 華(はる)。優希の幼なじみである。
「わすれられなくてさっ」
そういうと体を起こす。
「あなたはなんにも悪くないのよ」
華はそういった。
「でもね。。」優希の瞳から涙が流れる。
「ばか。」
そういって華の細い腕が優希の体を抱きしめる。
「また夏が来るね」とだけ優希はいった。
だれもいない海だった。
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