第2話 図書委員

 とりあえず「同盟」というものを作ってはみたが。どうやって山田先輩に近づいていいのかわからない。

そもそも三人はどうして山田先輩という人物に知り合ったのか書いておく必要ある。それは三人が入学してすぐの事だった。

三人共、趣味は大体おなじだったが、行動はいつも一緒というわけではない。

その日香は図書室で本を探していた。

お目当ては「恋愛小説」だ。

三人とも「告白」はされるものの「お付き合い」をしたことがない。

特に香は「恋に恋する」ところがあって、恋愛小説が大好物だった。

まさにケーキバイキングを前にした女子みたいな状態が「図書室」だった。

ここは恋愛の宝庫だ。前から気になっていた本が一冊あった。

タイトルは「初恋」まさに胸キュンもののタイトルだった。

探していると少し上の方に「初恋」の文字が見える。

「ぐー」っと背を伸ばしたがほんの少しだけ届かない。

困っているところに、悠美と朋子がやってきた。

「香まだ~~?」悠美がけしかける。

「ちょっと、、まって」今度はつま先で立ったが届かない。そんな時である。

香の上から手が伸びた。「え??」香が目線を下げるとそこには一人の男子学生が「初恋」を手に持っていた。

山田先輩だ。

「これかな?お嬢さん」と一言。

男から言わせると実にキザなセリフだが、三人共「ハートを射抜かれた」

「は、はい」香がいうと彼は本を持って図書委員会の部屋に行き、貸出作業を行った。香が学生証を差し出すと「新入生かい?」と一言。

三人はブレザーの胸元についている名札を見つめた。「山田優希」とある。

これを頭に刻み込む。

「実は私もそれを借りたいんです。」朋子が学生証を出し、「私も。」と悠美も学生証を。。。

困ったのは山田先輩だった。

とりあえず最初に探していた香に貸し出すことにしてその場を収める。

三人して図書室をでたあと「は~~」と力が抜けた。

まさに「初恋」の瞬間だった。

 

 次の日三人はさりげなくクラス中の友達に「山田先輩」の事を聞いて回った。

「あ。図書委員の?」しか言葉が出なかった。どうもまだ「発掘」されていないようだ。


「山」「田」「優」「希」この文字のどれか一つを見ただけできゅんとする。

同盟を結んだのはこの二か月後だった。

いつもどおり三人そろって話していると。

「決めた」と香またバンっと机をたたく、また大きな胸がゆれる。

「私、図書委員会に入る」

「いーね、それ」朋子が同意する。悠美を見たらうなずいている。

こうして。三人は、図書委員会に入ることになった。

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