第33話 世界の半分を敵にすると、最終的には世界中を敵にする

不平不満を並べ立てたところで、きりが無いと言うけれども、そう言われたても言いたくなるのが人情であろう。


自分自身の現状を考えて見れば、基本的には自業自得という奴であり、そもそも他の誰かに責任があるわけでは無いのだけれども、いやいや本当に自分の責任だけなのか?と考えてしまうのもこれはきっと人情であるに違いないのだ。


基本的に人は誰でも自分自身と言うものがあり、もちろん

私にもそれはきっとあるのだけども、その自分自身というものを表にさらけ出してしまえば、それは私自身でしかないのであるから、私以外の他の誰かと決定的に対立する事になるかもしれない。


たとえ世界の半分を敵に回したとしても、私が私であるためには仕方の無い事だろう。


私自身の正義が他の誰かのの正義とぶつかったとしても、私自身の正義を置いといて他の誰かの正義に譲歩してしまうという事は、私自身の正義が揺らぐという事であり、正義の絶対性が保てなくなってしまい私の正義が崩壊してしまう事になるのだ。


そう言ったところで根本的な問題として、私の正義が本当に正しいとは限らないのである。


それでも自分自身の正義であるから、他人からしてみれば間違っているかもしれないとしても、世界の半分を敵にした時点でもはや引き返すわけにはいかない二進も三進もいかない状況になっているはずであり、その状態で足掻いたところで気がついた時には世界中を敵に回している事だろう。


これがラノベであるならば、傍にいてくれるヒロインとたった二人の世界を再構築していくのだろうが、現実は自分一人のボッチである。


もはや破滅に向かって一人悲しく躍り狂うしかないのだけれど、その時に自分自身が間違っていたという自覚はないだろう。


自覚があるならば、そんな状況に追い込まれる前に気がつくべきであり、破滅に向かって突き進むのは愚者としか言えないだろう。


そんな事を言ってみたが、わかっちゃいるけどやめられないのが世界を敵にした自分であり、それが人間というものでは無いかと思うのだ。


器用に世間の荒波を乗り越えていけるならば、そもそも世界を敵に回してしまう事は無いだろうし、世界は味方となってくれるだろう。


要するに、やり方とか、生き方とかそういうものでいくらでも生きやすい世界に変わって行けるのだろう。


問題は自分というものがそんなに器用な人間ではないという事である。


むしろ不器用であって、口癖が「不器用ですから」と言っても過言じゃ無いのだけれども、そんな自分が世界を敵に回してしまった場合、無謀無策であると言えるだろう。


という事は、無謀では無く無策でなければ世界と渡り合えるという事に気がついたりする。


戦術と戦略。


早い話が戦い方の事である。



自分の正義に執着すれば、同じように自分の正義に執着している人と対峙した場合、究極的に言えば分かり合えるはずがない。


なぜ話し合いで分かり合えないのか、人と人は心から話し合えば理解し合える。


そうすれば戦争もなくなるはずだ。


そんなことを言う人がいるけれど、人と人は理解しあえない。


だから戦争もなくなる事はない。


と言う人と議論した場合に理解しあえない人がいると言うことを知る事になるはずだ。


個人の思想と立ち位置で、言う事は変わっていくのである。


もしそうなれば罵倒し合うか殴り合うしかないだろう。


おまえのカーチャンデベソ‼︎


と言い合う小学生レベルである。


神の慈悲と愛を説きながら、異教徒には死をと言う原理主義と変わらないのである。


お互いの正義のベクトルが正反対であればあるほど、まともな話し合いなどできるはずもなく、相手を罵るだけしかできなくなるのだ。


その姿をまた別の正義を持つ人や、罵り合うどちらかに近い正義を持つ人が見た場合、共感する事が出来るかと言えば、難しいと言えるだろう。


バーカ!

バカと言った奴がバカなんだぞ!


そんな二人に何を共感できるのだろう。


自分の正しさを他者に理解してもらうには、目の前の対立人間を屈服させようとするよりも、自分を理解してくれる仲間を増やす為の戦い方をするべきではないだろうか。


そのためには伝わる言葉で自分を理解してもらうしかないだろう。


もちろん、それで伝わるとは限らないのだけれども、自分自身の正義を一般論とするならば、世界を敵に回してしまっては元も子もないだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る