5-1 眼鏡の聖地 KHAOS 1. SISTER
記憶の中に微かに画像が残っている、少女。
それが家政婦だったのか、
あの日パーティーに来ていた姫君だったのか、
それとも、
あの日を境に行方知れずの"アイツ"なのかは、はっきりしない。
ただ覚えているのは、
俺と同じ輝きの金髪を、
肩のラインより下まで伸ばしていたこと。
そして、白いワンピースを着ていたことだけだ。
今更ながら、
母上の肉を喰らう夢を繰り返し見ていたあの頃の俺が、
馬鹿馬鹿しく思えてくる。
何故気付かなかったんだろう。
あの白いワンピースの少女が、
自分にとって、
兄上、母上の次に、
大事な存在だったってことに。
悲劇ノ扉ハ、今開カレル。
「いくら我慢したって、もう俺の血管中で"人喰い鬼(マン・イーター)"の血がうずいてんだ。
さて殺ろうか、俺らの強さを見せてやる!!
今宵ハ酒池肉林ノ 晩 餐 会ディナーパーティー ダ、サァ、
血 祭ディナータイム ノ、始マリダアアアア!!!!!」
話はSympathy編Ⅲのエピローグから始まる。
雷鳴鳴る日のこと。
暗い森の中、
風が猛々しく吹き荒(スサ)む中、
3人の勇者は、
1人の魔人と対峙していた・・・・・・
は~ろろ~ん♪
というわけで始まりました! 「眼鏡の聖地 SPIRAL」
今回は私も大活躍しちゃいますんで、そこんとこ夜露死苦ぅ!!
・・・・・・ぁ、自己紹介、送れちゃいましたね、てへ☆
私はこの物語ではおなじみ、クールフェイスな巨乳ちゃん、
そして主人公でもある・・・・・・
「だ~れが主人公だ、アネキ!! ってか何故第1人称で話展開させてるんだ!?」
「だってぇ、やりたかったんだもん☆」
「・・・・・・キャラ崩壊してるぞ、アネキ。
っというわけで読者に自己紹介・・・・・・
ご無沙汰しております。オレが眼鏡の聖地シリーズ、主人公の凄腕スナイパーサイボーグ、Mrk.・・・・・・」
「今度戯言をほざいたら命はないと思え、Mrk.3。」
「スミマセン、国王サマ。」
なんか色々ありましたが、この俺こそがこの物語の主人公、国王その人である。
その呼称の通り、我輩は国王である。名前はまだない。
・・・・・・ぁ、そろそろ自重した方がいいかしら?
「ってなわけで、だいぶ待たせたな、oアズキo!!」
「待たせすぎだっ!! ってか俺の名前、オグーじゃなかったっけ?」
「いや、筆者が突然変更したいって言い出してさ・・・・・・」
「なぁに筆者と語らってるわけ!? ってか早く白黒つけね!?」
「『そうしましょっか!!』」
Battle 01 vs oアズキo
「くらえ、螺旋水龍弾!!」
傍にあったダムから念力で水を持ち上げると、水の塊が国王達を襲う。
「キャ――――!! 髪が傷んじゃう――――!!」
「いい加減キャラ戻せ、お前!!」
「止めろ!! オレの体は防水加工じゃないんだ、ああぁ!!」
「・・・・・・
あぁもぅ、メンドクセー!!!!
迅雷・・・・・・」
「ヤメロ、国王!!」
「へ?」
バ――――チバチバチバチバチバチバチ!!!!
四者、感電。
何とか立ち上がった国王は、同時に立ち上がったoアズキoがこちらを見つめてニヤニヤしているのに気付いた。
後ろを振り返ると、二人とも気絶していたが、・・・・・・
命に別状はなさそうなので、二人を無視してそのままoアズキoと戦うことにした。
「『無視すんな―――!!、(バタっ)』」
「はっはっはっははははははは!! 愉快愉快、実に愉快だ!!
螺旋水龍弾!!」
「同じ手に引っかかると思うな!!」
国王は鮮やかに、次々と襲い来る螺旋水龍弾をよけていく。
このまま耐久戦にもつれ込めば、一発一発に物凄い量の水を使用する螺旋水流弾を連発するうちに、ダムの水は尽きてしまうだろう、そういう考えだった。
しかしダムの水が半分になったころに気付いた。
・・・・・・地面がぬかるんで身動きが取れない!!
「はっはっはっはっはっは!! 愚か者め、ようやく気付いたか!!」
「てめぇ!! 戦略の地味さにも程があるぞ!!」
「知らんわ!! ・・・・・・それはそうといいのかぁ?」
「何がだ?」
「自分が沈んでるっていうことは、仲間も・・・・・・」
しまった!
国王は咄嗟に顔を後ろに向けると・・・・・・
置手紙。
『寝ているフリも正直ダルいんで、弟を連れてこのまま帰ります。
国王様、ガンバ☆
by oir-oke
P.S. oアズキo倒したら、後で一緒にシュークリームでも食べない?』
「あいつ殺す!! お前倒したらその後にぜってー殺す!!!」
「まぁまぁ、落ち着けって。
そろそろお前には永眠(ネム)ってもらうから。」
「!?!?」
「螺旋泥渦潮ラセンデイカチョウ!!!」
泥の渦が形成され、
「ああああああああああああああああ!!!!!」
泥の渦に飲まれる国王。
「あはははははははははははっはははははははは!!!」
泥の向こうから聞こえる笑い声は、泥の流れと記憶の靄(もや)によって薄らいでゆく。
意識朦朧、時は黄昏トワイライト、暗がりの中、現実に『魔』が介入する刻・・・・・・
泥の中で、眼鏡が外れ・・・・・・
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
「ふっふっふ!! 国王には注意しろと教祖様には言われたが、全然大したことなかったわ、なっはっはっはっはっはっは!!!!!」
oアズキoは泥沼の藻屑となったであろう国王の最期を見とって、終始ご満悦であった。
「螺旋八兄弟四男の、兄弟三番目の強さを思い知ったか!! な―――っはっはっはっはっはっはぃ!!!」
彼は、「螺旋団」と名乗る右翼派団体の幹部戦闘員軍団、通称「螺旋八兄弟」の「四男」とされている。尚、この八人に血筋のつながりは全くなく、出身国もバラバラ。
その中の一人であるoアズキoは旧「肉眼」国民であった。
「あははははっはははははははははははh・・・・・・?」
彼はようやく気付いた。
泥沼の水位が上がっていることに。
いや、人為的に持ち上げられていることに。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
叫び声を聞いた瞬間、彼は死の運命を悟った。
「そんなはずは、そんなはずは・・・・・・あ、あぁ、」
泥は完全に宙に持ち上げられ、姿を現すは漆黒の翼。
「死に場所を求め流離う魂よ、今ここに成仏せん・・・」
「やめろ、やめろぉ!!、死にたくない、死にたくない・・・・・・螺旋泥龍弾!!
・・・・あれ!!?」
動かない。
泥が動かない。
"悪シキ力"が最高ランクの念力を上回る。
螺旋念動力者(スパイラル・サイキッカー)である彼でも、反螺旋力(アンチスパイラル)には一瞬でひれ伏すことになるのだ。
「いやだ、いやだ、いやだよ、お母さん!! 死にたくない死にたくない死にたくない!! 助けてぇ、おかあさああああああんん!!!!」
「 迅 雷 裂 空 剣 。 」
「あああ、あああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
気付けば、俺はまた同じ場所にいた。
俺はまた同じ場所で眠っていた。
同じ間取りの部屋、同じ形状のベッド、同じ触り心地のシーツで、俺は眠っていた。
ただあの日と違うのは、腕についていた点滴を外そうという気にはならなかった、それだけだ。
・・・・・・部屋に入ってきた人間も違っていた。oir-okeだった。彼女は入ってくるなり、俺の目の前でいきなり平謝りを始めた。
「ご、ごめんなさい。あの時は、つい調子に乗っちゃって、つい・・・・・・・・」
それを聞いて俺は・・・・・・つい吹き出してしまった。
最初は自分でも何故そうしたのか分からなかった。まだ寝ぼけてるのかとも思ったし、俺の頭がどうにかなっちゃったのかとも思った。しかし結論は・・・・・・
少し顔を上げて、首をかしげているoir-okeに言ってやった。
「いやぁ、なんか久々にクールな表情と声にもどったな、って思っちゃって、はは・・・・・・」
「・・・・・・変・・・かな。」
「いやぁ、ただ懐かしいんだよ。何事もなく、何の隔たりもなく普通にお前と接している時間がさ。」
「・・・・・・。」
「まぁいいんだよ、どうせ勝てる相手だったし。」
「それで、あの日と同じく点滴打ってるのは不思議ね。」
そういやそうだ。どうも記憶が飛んでいるようだが、俺はまた鬼人化を起こしてしまったらしい。
「ねぇ、国王・・・・・・・」
「・・・・・・どした?」
「ぃゃ、・・・・・・・別に・・・何でも・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・そうだ、oアズキoは? あいつ、死んだんだろ?」
「えぇ、それが・・・・・・」
「はあぁ!? 目の前であいつの死体が消えた、だとおぉ!?」
廊下であまりに大声を出しすぎたもんだから、通りすがりのメイドさん数人がこっちを見て何事かと囁き合っていた。今俺たちは、国政を揺るがしかねない新たなる敵、「螺旋八兄弟」の説明を受けに、oir-okeと司令室へ向かっているところだ。点滴を引きずりながら歩くのはかなりかったるい。
「えぇ、あいつの死体に触れる直前に。」
「本当は死んでいなかった、ということは?」
「死んでない訳ないわ、
彼の死体は、バラバラになっていたのよ!!」
oir-okeはキャラになく大声を出す。・・・・・・言ってしまえば、シリアスな場面では結構大声出してきたわけなんだが。
国王も、通常の会話ではかなり落ち着いた声であることを知っているから、このことは大事であると悟った。
「ごめんなさい、大声出しちゃって・・・・・・信じて、本当なんだから!」
「分かった分かった、信じるから。・・・・・・それにしても不思議だ。」
「へ?」
「いや、元々そういう魔法を肉体にかけていたのか、別のだれかが遠隔でそうしたのかは分からないが、自分の死体を消去する意味なんてあるのだろうか。むしろ瞬間移動――――誰か瞬間移動させた、と考えた方が、目的性があって合点がいくとは思わないか?」
「確かに・・・・・・でも、他人をテレポートさせるのは、人一人では到底・・・・・・」
「いや、できるゼ、アネキ。」
「Mrk.3? あんた、それ、どういうことよ?」
「とりあえずアネキ、それに国王も、俺についてきてくれ。」
そういってMrk.3は、司令室とは逆の方向に2人を連れて行った。
「ここは・・・・・・」
3人は大きな鉄扉の前に到着した。
「oir-okeは初めてだろうな。ここには国・・・大半は俺だが・・・が重要と認めた人物の死体が冷凍保存されている部屋だ。
お前の父親の肉体も、ここには保存されている。」
「!?」
「Mrk.3、皆もここに集まっているのか?」
「あぁ、ここが丁度都合が良くてな……今は時間がない。アネキ、オヤジとの面会はまた後にしよう。」
「え、あ、ちょっと・・・・・・」
oir-okeは話についていけず、小走りに2人を追いかけた。
最奥部に多数の人間が集まっていた。
一段高い所にいるのはJii-san、眼鏡王国軍元帥である。白髭を蓄えたその雄雄しい御姿は、兵士達のあこがれの的である。
そのすぐ下にいるのが卍F卍、眼鏡王国軍空軍大佐であり、Jii-sanの息子である。今来ている服装については・・・・・・後述することにしよう。
卍F卍の隣にいる、赤髪の少年は、ソル、国王とは近い親戚である(従兄弟か又従兄弟かだったと思うが、そんなことは国王にとってはどうでもいいほど、ウザい存在である)。しかし国王もその彼が唯一所持している火炎魔法「さぁ、大地よ、燃え上がれ!」には内心一目置いている。
逆隣で二人寄り添いあっているカップルは、3000年前からタイムスリップしてきたという少年イツキと、その彼女であり自称本作品ヒロインのルナである。説明がいちいちメンドクサイんでここでは割愛させていただく(二人:「おいっ!!」)。
彼らから少し離れて佇んでいるのは、同じく3000年前の時代からタイムスリップしてきた、霊感少年ヤクモである。ボサボサ頭に丸眼鏡といった出で立ちはご愛嬌。
そして、ぴゃ~っと国王に駆け寄ってきたのは・・・・・・
「国王さまぁ~、会いたかったぁ~♪」
「ぬわっ!? 誰かと思えば・・・・・・あっっと、えぇっと、・・・そう、そうだ、いつぞやのコムスメではないか!!」
「うぅうぅぅ~(涙;;」
この無駄にテンションの高い(?)忍者コスプレ女はcu:non。元々はoir-oke直属の部下であった。
「フワァ~、なっがい説明書き。おいジーサン、コイツラにも早く説明してやってくれヨ。」
「『いや、いくらなんでも言葉遣い悪すぎだろ?』」
なんと9人の声がピタっと揃ったのであった。元帥殿が軽く咳払いし、
「最近国中で内乱が起きている。その元凶がこいつらだ。」
というと、いきなりポワワワーンとスクリーンが現れる。表示されているのは螺旋八兄弟の面々の顔だ。
「5日前に国王様はこのoアズキoを討伐なさったわけですが・・・・・・」
国王は内心で、えっ!?、5日も俺寝てたの!?、と驚いた。
「君たちには3チームに分かれて、残り7人を倒してもらう。」
問)9人をR:3人、G:3人、B:3人の区別ある3チームに分ける方法の総数を求めよ。
解)メンドクサイんで省略。
「敵の説明は後述するとして、まずRed、Green、Blueのチーム分けを発表する。」
Team Red:oir-oke(隊長)・ソル・ヤクモ
「『げ? よりにもよってアイツといっしょ?』」
「アネゴさんはまだいいです。なんでやっくんまでボクをキョヒるわけぇ!?」
Team Green:卍F卍(隊長)・Mrk.3・cu:non
「・・・・・・Redと残りBlueの面子から考えて、この面子は余りもんだな。僕元々9人のうち最年長の癖してひどく目立たないキャラだし、・・・(ガクン)」
「いえいえ!! その服装からして今後の活躍十分期待されてますよ!? それに比べてオレは、今まで散々悪役として名を連ねてきましたので、・・・(ガクン)」
「二人とも、そんなに落ち込まない下さい。というか、この面子、ホントに余り者なの? 私、国王様と結ばれないの!?・・・・・・(ガクン)」
Team Blue:国王(隊長)・イツキ・ルナ
「ってか、閉○空間ないと二人とも戦えないんだから、このチームに関しては必然的結果だよな。」
「そこ触れられると正直痛いっていうか・・・・・・ってかやっくんは!?」
「さぁ、でも霊力かなんかできっとやってくれそう♪」
Battle 02 vs 女獄 + α
対「螺旋八兄弟」特別司令室の様子・・・・・・
「時空歪曲値1290、メルポ南東、丘陵部に高圧螺旋Eエネルギー反応!」
「パターン、青・・・・・・螺旋八兄弟の一味です!」
「身元特定完了・・・・・・獄女、㊥髑コードネーム:JKorz;g、螺旋・鉄道娘スパイラル・ステーションエンプロイーです!」
「Team Blue、行動を開始してください。」
「K、了解。」
「I、了解。」
「L、了解。」
病み上がりの国王は、イツキ・ルナと共に、月明かりに照らされたメルポの丘へ向かった。
満月に照らし出されたそのシルエット。その制服姿を見て・・・・・・
「あっ・・・・・・あれはっっ!?」
真っ先に反応したのが、意外にもイツキであった。
「○○鉄道の・・・・・・」
ルナと国王は、イツキの言動に、1、2、3、4、5、約5秒ほど、動きがフリーズした。
「国王様直々、今夜は月夜のパーティーにご参加いただき、真に有難うございます。」
獄女は滑舌よく国王に歓迎の言葉を述べた。
「私、獄女がお客様を"永遠の旅"へご案内いたします。」
「その言葉、そっくりそのままお返ししてy――――」
「も、もももももももも、萌ぉえぇ~~~~~~~!!!! しゅしゅしゅしゅ、出発進行!とか、言ってくれまs、」
「お前は黙っとれぇ!!!」
国王の後ろで、ルナがあまりにもヒき過ぎて、ブルブルブルブルと首を震わせていた。
「 出 発 進 行 ♪ 」
獄女の背後から突如ワープゲートが出現し、そこから電車の車体が螺旋状に回転するように姿を現した。
「間もなく電車が衝突いたしま~す。読者の方々は白線の内側にお下がり下さ~い♪」
「なんて強い螺旋力なんだ・・・・・・ヤヴァい、避けろぉぉおお!!」
「ダメぇ!! イツキぃい!!」
「―――――――はっ!!」
バ――――――――――――ンンっ!!!
イツキが我に返った時には、彼の体は宙に舞い上げられていた。
「イツキィ――――っっ!!!」
「己、よくもイツキを・・・・・・。」
「ココは私にお任せを・・・・・・。」
「賢者A!! リーダー格っぽいのにローブが青色のA!! ・・・・・・ってあれ?
他は?」
「緑のDは先日の戦いでの傷が癒えず、まだ入院中で。黄色のCは陰陽の道に進むとか言ったきり帰ってこないままで・・・・・・。そして赤のBは―――。」
「もういい。何でもいいから早くあの女の首持ってこい。」
「承知いたしました・・・・・・。」
「(吹っ飛ばされた俺のこと、皆無視してn)―――(ドカーン!!)―――グポっ・・・・・・」
「出でよ、オ○リスクの虚心兵!!」
「・・・・・・(またこのネタか。ってか『虚心』って明らかに不安要素なんですけど。。)」
「オ○リスク・ゴッ○ハンドク○ッシャー!!!」
車体は、(本来なら国王が得意としていた)神の一手により、粉々に砕け散った。
「あわわ、あわわわわわわわわわ・・・・・・・」
獄女はあんぐり開けた口に、猫の手のように丸めた両手を添えて、目をぐるぐる回していた。
着地した態勢、即ちうつぶせに倒れたまま一部始終を見ていたイツキに対して、ルナが、
「きったなーい!! 鼻血出しながら他の女の子見ないでよ、このバカイツキ!!」
彼の頭上にフットスタンプを食らわした。
「くぼぁ・・・ち、ちが・・・これは、着地した時に・・・・・・うごぼっ・・・・・」
「バカァ、バカァ、バカァ、バカァ、バカァァ――――!!!」
「(えぇっと・・・・・・かいつまんで説明すると、賢者A、意外とよくやった、ってことかなぁ、あはははははは・・・・・・)」、国王、心の内の呟きであった。
「あわわわわわ、も、もう、こうなったら、もう・・・・・・」
慌てる獄女。しかしこの直後に起こった揺れが、彼女の心を安堵させる――――――
「てやああああああああああああああああああああ!!!!」
「ぐぉ゙お゙お゙お゙っっ!?」
地中から突っ込んできた"そいつ"は、うつ伏せのイツキの腹を直撃し、気がつけばイツキの体は、はたまた宙に吹っ飛ばされていた。
「何だこやつは、新手か!?」
「ヨソウガイデス。」
「賢者A、俺もだ。・・・・・・ってか男のワリにはちっちぇぇなぁあ!!」
その男の身長は、その年齢にしては低めの身長である国王より3cm程低い獄女よりもさらに5cm低かった。
「低くて悪かったなぁ、低くて!! 当の俺だって若干気にしてんだよぅ!!」
一方で、ルナのバトルゴーグル(無線付眼鏡。チームカラーで色分けされている)に無線が入った。
「悪魔☆降臨、㊥髑コードネーム:DigSappho、螺旋・釜男スパイラル・ゲイです!」
「ど、どど、どどどどど、同性愛者ですってぇえ!?」
ルナの背後に割りとデカメの着地音が聞こえたが、誰も気にしなかった。
「いやぁ、それにしても・・・・・・あんた、よく見ると・・・・・・イ イ オ ト コ(はぁと)」
「う、ぅう、うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」、国王、渾身のアッパーカットであった。
「け、けけ、汚らわしい!!!」
「一緒にヤ・ラ・ナ・イ?」
「ア ァ 、 殺 ッ テ ヤ ル ヨ 。」
「ひぃぃぃぃぃぃいいい!!!」
「見てろぃ、爆龍鬼神奥義、迅雷――――――」
「 ウ ン ド ー カ イ プ ロ テ イ ン パ ワ ー ! ! ! ! ! 」
「ひゃいいいいいい!!」、
悪魔☆降臨は、一瞬にして螺旋力でその体をドリルの如く回転させ、地中に潜っていった・・・・・・。
「ちっ、逃がしたか・・・・・・」
悪魔☆降臨がいたであろう場所にナックルを突き出したまま呟くその男・・・・・・
「すみません、誰です?」
「いえいえ、通りすがりの隆鳳ですよ。」
「いえいえ、名乗ってますし、ってかメチャカクイイ名前ですし。」
見た目は小太りなおっさん、しゃべり口調は若干㊥髑人特有、そんな彼の正体は、同性愛者撲滅のため己の拳を振り回す、流離いのおっさんファイター、隆鳳、その人である。
「そなた、眼鏡王国王さんではありませんか。」
「国家機密規制の激しい、世知辛い世の中ながら、ご存知のようで光栄です。」
もう情報化社会なんぞ、何十世紀も前に終わったのだ。
「国王さん、また地中から責めてきやす、ここは私めにお任せを・・・・・・」
「えぇ、ちゃっちゃと終わらせて下さい。」
「行きますよー、
あぁぁげい!!!
・・・・・・これで奴の動きは固まりました。」
「・・・・・・にわかには信じ難いのですが。」
そしてなんと、5秒後にして、先ほどよりも強い揺れが起こったのだ。
「しまった! ディグランチャーを使われてしまった!!」
「そういや背中になんか背負しょってましたね・・・・・・。」
「皆さん、高々とジャンプして下さい!せぇーのっ!」
約1名を除き、獄女を含む全員がジャンプした・・・・・・
ドカーン!!
GAYGAI(ゲイ害)はTPO(Time Place Occasion)を弁わきまえない。
気絶中のイツキを中心に円を描くように八つのミサイルが地中から突き出たかと思うと、そこだけイツキ共々地盤が落下した。
「ごぼぼぼっっ!!!」
「あぁ、イ・イ・オ・ト・コ~、って、うげっ!? 間違えた!!」
「ルナ!! ミサイルが向かってくる!! 逃げろ!!」
「きゃああああああああああああああ!!!」
「ルナぁああああああ!!」
その時、ルナの目の前で――――ミサイルが爆発した。
「!?」
ルナの背後に現れたのは・・・・・・
「地 割 金 剛 針 (ジワレコンゴウバリ)」
「シナ・・・・・・助かった、ありがとう。」
「例ニハ及バナイワ・・・サァ、アノ同性愛者ヲ始末シマショ。」
「あぁ!!」
「えぇい!! ディグ! これでも喰らいやがれ!! りゅーほ―――、ヘッッドバッット!!!」
「火車特攻、うりゃ――――!!!」
「闇 風 刃 ・ 一 閃 (ヤミカゼノヤイバ・イッセン)!!!」
「迅 雷 龍 星 剣!!!!」
四者が一斉に向かう―――ディグと、彼の方向へ目掛けて。
「あぁぁぁぁあああああああああ!!!!!」
「ごぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!!!!」
「イツキィ――!! 大丈夫――!?」
「あぁ・・・・・・イツキ、お前もつくづく運の悪い男だ・・・・・・」、国王、つい口に出てしまった呟きであった。
「も・・・・・・もぅだめぽorz・・・・・・」、ディグ・サッフォー、敗れたり。
「隆鳳さん・・・何か・・・・・・勝ったみたいです。」
「そうみたいですな、じゃっ!」
「・・・・・・・・・・・・帰るんかいぃぃぃぃ!!!!」
風のように現れ、風のように去るおっさん、それが隆鳳であった。
一方のディグ・サッフォーの遺体(?)も・・・・・・気がついたときには消えていたという。
「あわわ、あわわわわわわわわわ・・・・・・・」
獄女はまた、目をぐるぐる回していた。
「・・・・・・そういえば奴もまだいたな、賢者A、シナ、一気に行くz・・・・・・
あるぇ!?」
そして賢者Aもシナも、気付いた時にはいなくなっていた。
「・・・で、どーすんの、お嬢さん? もうMP切れかな?」
「も、もう、こうなったら、もう・・・・・・あれをやるしかないぃ!!!」
「・・・・・・まだあるみたいですよ、読者の皆さん、まだ暫くお付き合い下さい。」
イツキ:「・・・国王、誰と会話してんだ?」
ルナ:「さぁ・・・・・・」
「あれってなんだ、あれって。早くやってみな、ほれ、ほれ!」
「う、うぅ、うりゃあああああああああああああ!!!!!」
――――――風の音がここまではっきりと聞こえたのはいつ以来だろうか。
4人の間で、十数秒間ほど、時が、止まった。
獄女が隠し持っていた"切り札"は、3人中2名に、あるイミ痛烈なダメージを与えた・・・・・・。
彼女が制服の下に隠し持っていたもの・・・・・・そう、その"切り札"とは、魅惑的なボディーラインであった・・・・・・。
3人の前には、1人の少女が、ビキニ姿で突っ立っていたのだ。
そして2人の少年の"少年"もまた、突っ立っていた。
・・・・・・・・・・・・
ルナは約5秒間固まってから――――――イツキをフルボッコにしたという。
「あは、あはははははははは!! レディーに対してそのような股下を見せ付けるなんて、国王として失格なんじゃないかなぁ、かなぁ!?」
「語尾に『かなぁ』を2個付けてんじゃねぇよ! 最近俺の回りにもそーゆーやつがいて、ムシャクシャしてんだよ!!」
「だからぁ、ソレ、早く元に戻してくんないかなぁ!?」
「やだね。俺はお前が喰いたくてもう仕方がねぇんだ!!!」
「ふふ、分かってる? 私とあなた、敵同士よ?」
「あぁ、だから俺は、お前を食す前に、食 ベ ヤ ス イ 大 キ サ ニ か っ と シ ナ キ ャ ナ ン ネ ェ 。
サ ァ 、 血 祭ディナータイム ト マ イ リ マ ス カ ッ ッ ! !」
「ふふふふ、これだからオトコは・・・・・・いい、手加減無しよ!?」
オトコとオンナ、最後の決闘が始まった・・・・・・いや、シモじゃなくって、ホントの意味で。
「爆龍鬼神奥義、迅雷――――――」
「螺旋鞭乱舞!!」
「なにぃ!?」
国王の剣が螺旋力の鞭に絡めとられてしまった。
「ふっ、、、剣がなくったって、まだ負けたわけじゃないぜ!?」
「図に乗るな!! 鞭打衝撃波!!」
「時之咆哮!!!」
空間を歪曲する力と、時間軸変動の力がぶつかり合う。国王の一瞬のスキをついて、獄女が詰め寄る―――
「双鞭螺旋固!!!」
「んなっ!!!??」
一瞬にして国王の体は鞭でグルグル巻きにされる。腹部に強烈な一蹴りが入る。
「んがっっっ!!!!」
「あははははははははははは!!! あの暗闇デカブツを倒した国王サマがこんなザマとはねぇ、あははははははは!!!!!」
その時だった。
獄女の後頭部を何かがかすった・・・・・・
彼女のショートヘアが、さっと切り落とされた・・・・・・
次の瞬間、国王を縛る鞭は塵と化した。
獄女が気付いた時には、彼の手元には剣が戻っていた。
「どういう・・・・・・こと・・・?」
「剣に魂が宿っている、とでも、言っておこうか?」
「そんな・・・・バカな!?」
紛れも無く、彼女の髪を、国王を縛る鞭を切り裂いたのは、自分から飛んできたと以外考えられない、国王の剣であった。
「これで貴様に武器は無くなった、観念しろ・・・・・・!!??」
彼女は口元を釣り上げた。彼女のふくらはぎに螺旋Eの刃が浮かび出す。
「足か、それでどうやっt――――」
キーン!!
頬を殴りかけたそのハイキックを、国王は剣で軽く受け流した。
「・・・・ホンキだな。」
「えぇ、ホンキよ・・・・・・」
「『これで――――――決着を着ける。』」
「爆龍鬼神奥義、――――――迅雷龍星剣!!」
迅雷龍星剣―――龍の雷に包まれた国王が、獄女に一気にたたみ掛ける――――――。
「螺旋袈歩恵螺、――――――大車輪乱舞!!」
大車輪乱舞―――全身の螺旋力を己の回転力に変えた、人間邊威武零怒ベ○ブ○ード――――――。
――――――衝突。
獄女はその力の大きさに体自体がついていけず、惜しくも国王に"みねうち"一発しか、かますことができなかった。
国王の剣は――――――確かに彼女の左胸を貫き、赤き泉を開拓していた。
ただ国王は・・・・・・放心状態のまま倒れた。
痛い。
押さえ込む。
必死で患部を押さえ込む。
その一部始終を見ていたルナは――――――あきれ返っていた。
何を隠そう、獄女の"みねうち"、いわば"蹴り"は、国王の股下にゴールを決めていたのだから。
「・・・・・・
それにしても遅いわねぇ、増援でRedチームがやってくるはずだったのに・・・・・・!!!」
ルナは気付いた、――――――獄女の死体が、――――消えていた。
イツキの"少年"は、まだ治っていなかったという・・・・・・。
Battle 03 vs B.S.雷烏
対「螺旋八兄弟」特別司令室の様子・・・・・・
「バーバリア北東、森林部に高圧螺旋E反応!」
「パターン、緑から青・・・・・・螺旋八兄弟の一味です!」
「身元特定完了・・・・・・B.S.雷烏サンダバト、米李下コードネーム:KAR/ASU、螺旋・鋸農夫スパイラル・ソーヤーです!」
「さて、というわけで、我々Team Greenが彼の抹殺任務を請け負うことになったわけだが・・・・・・」
「卍F卍さん、そのバトルスーツの説明を・・・・・・。」
「いや、もう少し後でもいいだろう、Mrk.3。」
「せめて名前ぐらい・・・・・・」
「・・・わかった、Mrk.3の要望にお答えしよう。このバトルスーツの名は"BeeBeeWorker"
(以下BBWとする、本話でアルファベットの大文字に太字が多いのは、仕様である)
といって、背中には空中戦用のジェットエンジンを搭載、両腕からは一本ずつA.S.アンチ・スパイラルビームサーベルが・・・・・・」
「卍F卍さん、だいたいのこと、しゃべってません?」
「いや、まだ必殺技のファイナリスト21のことを・・・・・・」
「いや、いいです。」
「それに超必殺技の・・・・・・」
「それ以上ホントいいです。それにこのスーツの名前からして、元ネタ知ってる俺からすれば、超必殺技が何か、大体想像がつきます。」
「そうか・・・・・・」
筆者から補足しておくと、ファイナリスト21とは、卍F卍の愛機(名前忘れた)の切り札「ファイナリスト20」にさらに弾頭誘導ミサイルを一本足したものを、歩兵携帯型に改善したものである。ただし、一発しか撃てないのが悩みのタネ。
「たいしゃ~!」
「そーいや、オマエもこのチームにいたな、cu:non・・・・・・ってか、大佐って言ったのは何となく察しがついたが、その滑舌の悪さ、なんとかならねーのか?」
「まぁまぁ、Mrk.3。どうしたんだ、cu:non?」
「たいしゃちゃま、前方からやけに図体のおっきなおっさんが・・・・・・」
「『・・・・・・わざとだろ、"たいしゃちゃま"、絶対わざとだろオマエ!?』」
しかし前方をみると確かにチェーンソーを振り回して次から次へと木々を切り倒している"おっさん"が一人。B.S.雷烏、その人である。「鳩」でも「鳥」でも「島」でもなく、「烏」と書いて「ハト」と読む。こちらを睨むなり、ドタドタと走ってきた・・・・・・いや、転がってきた。
「エネミーchan、ハケーンNE♪」
「・・・・・・ごめん、cu:non、つーやく頼む。」
「Hey,boy! ワターシがしゃべってるのはガッチガチのニホンゴ・・・じゃなかった、メガネゴじゃい!!」
「どっちも一緒なんだがな・・・・・・」
「Mrk.3、僕も彼のハイテンションにはついていけない・・・・・・。」
「ワルイけど、今日は僕ちんヒッジョーにゴキゲンナナメナノYO。サッサと始末するアルYO。」
「オマエ、ホントに米李下人かよ?」
「デュアル・チェーンソーあるYO!!!」
突如チェーンソーの回る刃が緑色に光ったかと思うと、その光が次から次へと卍F卍たちに飛んでくる。
「卍F卍さん! 螺旋連空刃です! あんなのA.S.ビームサーベルで・・・・・・」
サイボーグであるMrk.3の眼球は、特殊な魔力が何者であるかを解析できるよう、死神との一戦以後ソフトウェアがアップグレードされているのだ。
「言われなくとも! デュアルA.S.ビームサーベル・クロスエアスラッシュ!!」
反螺旋の波動は、螺旋の波動を中和し、その巨体へと突き進む―――
「ぬわあああぁぁぁ!?」
バキバキバキ!! チェーンソーは一瞬で砕け散った。恐るべし、BBW。
「ど~よ? 反螺旋アンスパの力を持ってすれば、オマエラなんざコッパミジンなんだよ、あっはっはっは!!!!」
「いや、Mrk.3、反螺旋持ってない君が言っても・・・・・・」
「ブーブー! そーゆー卍F卍さんだって、自分自身が持ってるわけじゃないんじゃないですか?」
「どっちなんだ、Mrk.3? 持ってるか持ってないのか、若干聞き取りづらい訊き方なのだが?」
「いや、自分で分かってるくせに・・・・」
「お二人とも!! まだ戦いは終わっていませんよ!!」cu:nonが前方を指差して叫んだ。
『 これからご覧いただくのは古くから日本に伝わる世界最凶の格闘技SUMOUである 』
「WOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!」
「巨大化・・・・・・だと!?」
「巨大化したってなぁ、チェーンソー持ってたときの方がよっぽどつえぇに決まってら! さぁ、今宵は酒池肉林のディナータイムだ、死にさらせや、クソブタゴリ――」
ドス―――――ン!!
ドス―――――ン!!
「何だ、この地響きは!?」
その時、
「くっ! 遅かったか!」
謎の小太り黒装束男、只今参上!
「・・・・・・オマエは・・・?」
突如現れたその男は無言。自然と3人も無言。 しかしその静寂を破るかのように、周りの木々が、次々と倒れ始める。
『 これはNIPPONではありふれた光景である 』
「まさか、アイツが倒s……
ぬわ!?」
「あいつは裏社会では『烏』と呼ばれているYOKODUNAだ。SUMOU界では常に頂点に立ち続けたRIKISHIだ。」
「は!? ヨコヅナ!? スモウ!? リキシ!?」
会話がかみ合っていないうちに、眩い光が、森の中から突然三人の目の前にいた卍F卍を照らしたかと思うと、予期せぬ波動が彼を宙に舞い上げた。
『 RIKISHIの放つ波動は時に閃光として知覚される 』
『螺旋族であるはずの『烏』から、反螺旋力を感じる―――何者なんだ、あいつは・・・・・・』
遠巻きに見ていたもう一人の『黒装束』も、これにはただならぬ気配を感じ、駆けつけていた。
『・・・・・・んがあぁ!?』
『 RIKISHIのSHIO-MAKIは悪しき魂を駆逐する 』
その『黒装束』はいてもたってもいられず、次元の切れ目に身を隠した。
『 TORIKUMI…それは力と技のぶつかるRIKISHIたちの戦場 』
「勝手にRIKISHIにすんな!!」卍F卍の叫びであった。
「くっそぉ、さっきの光で眼をやられて、迂闊にファイナリスト21が撃てない!!」
「SHIO-MAKI――!、SHIO-MAKI―――!」
「くっそぉ、何で塩まで輝いてんだよぉぉお!!」
『 SHIOはRIKISHIによってその輝きを取り戻す 』
「よぉし、大分視力を回復してきたぞ・・・・・・
ファイナリスト21、
3、
2、
1、
FIRE!!!!!」
放たれた21の弾道ミサイルは、「烏」目掛けてまっすぐ飛んで行き・・・・・・
『 RIKISHIの驚異的なHA☆RI☆TEは時に空間すら歪める 』
「烏」が一たびHA☆RI☆TEを空にかませば、弾道ミサイルはすべて捻じ曲げられて原型をとどめず、空気抵抗の増加で失速し、地面に落下した。
「マジかよ!?」
「あれがRIKISHIの通常攻撃コンボ、HA☆RI☆TEだ。SUMOUの才能と螺旋力を共に享受した彼のHA☆RI☆TEに、打ち砕けぬものなど何も無い。」
「・・・・・・さっきから気になってたけど、オマエ、誰?」
「おっと、申し遅れたね・・・・・・
私は『烏』を追う男、ムラオーマ(ン)ッ!」ドゥードゥドゥーードゥドゥドゥ、パラパラポロポロポロポロ、パラッパパーーー♪
「・・・あぁ、メンドクセー奴がまた出やがったよ・・・・・・、分かったよ、殺しゃいいんだろ!! これでもオレは眼鏡王国でも凄腕の狙撃者スナイパーなんだわ!! 見てろよ、あんなデブぐらい一撃で・・・・・・」
『 YUMITORIを常人が其の眼で捉えるのは、たとえ眼鏡をかけていても難しい 』
「なっ!? 弾が・・・オレの弾が、弾かれただと!?」
「YUMITORIは古来から勝利の舞だと伝えられていたが、まさかYUMITORIを防御技にまで昇華させていたとは!!」
「いや、ムラオーマン、全くついていけない。ってかさっきから二重括弧書きの部分ウザいんだけど!?」
「皆さん!」
「どした? ってか、いたのか、コムスメ。」
「いました! コムスメじゃないです! ってかあれ見て、何か光っt・・・・・きゃっ!?」
「おい、ムラオーマン!」
『 BUCHI-KAMASHIによって強力な磁場が発生する 』
「YOKODUNAとBUCHI-KAMAす男、ムラオーマッ!」、チャーチャッチャーーチャチャラ、パラパラポロポロポロポロ、パラッパラーーー♪
「いちいちメンドクセーなぁ!」
「というか、あなたもリキシなら早くそういってくれれば・・・」
「リキシじゃない、RIKISHIだ!!」
相撲とSUMOUじゃ、大違いなのである。
「Mrk.3、cu:non、我々も援護しよう!」
「気乗りしないけど・・・・・・サー、イエッサー。」
「ムラオーマンさん、次の一手、来ますよ!」
「AHAHAHAHAHAHAHAHAHA!! なかなかFEVERしてきたデハアリマセンカ! 待ってましたYO、ムラオーマン! But,これには耐えられるカナ?」
『 凄まじい勢いで繰り出されるTSUPPARI。常人ならば即死である 』
「ふおぉぉぉぉおおお!!! A.T.フィー○ド!!」
説明しよう!A.T.フィー○ドとは、アンチ・TSUPPARI・フィールドの略である!
「『嘘つけぇぇえええ!!!』」
この後、天の声は3人からフルミックにされたという・・・・・・。
『 SUMOUの頂に君臨する。これ即ち地球の頂に君臨することと同義である 』
「よし、こう言っている間にもムラオーマンさんは頑張っている。我々も早速援護に入ろう!!
・・・喰らえ、ファイナリスト21!!」
「さっき、"たいちゃちゃま"が撃ったんじゃ・・・・・・」
orz。
cu:nonの一言が相当響いたらしい。
「・・・そこまであからさまに凹まないで下さい、卍F卍さん。」
Mrk.3が終始あきれかけている間にも、二者のTORIKUMIは常に動きを見せていた。
『 RIKISHIのHA☆RI☆TEは音速を超える 』
「せ○んとせぃや!! YOKODUNAとマトモに闘って見せている男、ムラオーマ!」、パーパッパーーーパパラ、パラパラポロポロポロポロ、パラッパラーーー♪
「ふ! ナカナカやり手になりましたNE、ムラオーマン!、しかし、これはどうカナ?」
『 RIKSIHIの力は物理法則などに縛られない 』
「んんがぼぼっっ!?」
今度の『烏』のTSUPPARIは、ムラオーマンの左胸を貫いた・・・・・・
『 敗れたRIKISHIは時として命を落とす 』
「おいぃいい! さりげなく恐いこと、さらっと書いてんじゃないよ!!」Mrk.3を筆頭に、天の声へのツッコミが多いのはごアイキョウなわけで・・・・・・
『 RIKISHIに引き裂けぬものなど存在しない 』
「そう、そんなカンジ・・・・・っておい!?」
「まぁ確かに、アンチ・TSUPPARI・フィールドも引き裂かれちゃいましたからね。」
「チキショー! あんな強さじゃ太刀打ちできねぇ!!」
「私、cu:non、敏捷性なら任せてください! あんな巨体をキビキビと動かせるわけ・・・・・・へっ?」
『 RIKISHIの移動速度を肉眼で捉えようとするなど愚かしい 』
「なっ!? アイツ、どこへ・・・・・・」
その時、頭上からB.B.W.でホバー飛行中の卍F卍の声。
「気をつけろ、Mrk.3! cu:non! 後ろだ!!」
「『 ! ! ! ! ! 』」
『 SURIASHIを極めるものはDOHYOUを制す 』
「あわわわ・・・・・・"心"、はぁああっっ!!!」
cu:nonは手裏剣を思いっきり投げた―――――が、惜しくも外してしまった。
―――いや、よけられた。『烏』は跳んだ――――――いや、、飛んでいるのだ!!
『 RIKISHIの前では重力さえも意味を成さない 』
「!? んぐ、・・・」
そして、卍F卍は、腹をくくった。――――――接近戦に、出る!!
「D.A.S.B.S・Ⅹエアスラッシュ!!!!」(注:正式名称は「デュアルアンチスパイラルビームサーベル・クロスエアスラッシュ」である。)
「HA――☆ RI――☆ TE――――!!!!」
『 空中戦こそSUMOUの醍醐味である。
FUJIYAMAの前で闘うことはRIKISHI最大の誉れである 』
(もしこの小説が実写版になったらばきっと、このシーンの映像提供はNASAである。)
『 RIKISHIにとって宇宙すらDOHYOUに過ぎない 』
意地と意地のぶつかり合い。螺旋の力と反螺旋の力は中和し合い、お互いの維持は反発する。そしてお互いの体は弾き飛ばされ・・・
『 凝縮されたKIはすべてを貫く光となる 』
バキュ―――――ン!!
「しまった、左翼が!!」
「卍F卍さん、完璧に相手が遠距離攻撃できること忘れてたな・・・・・・」
一方で、先ほどから当のMrk.3の銃弾と、その横で放たれるcu:nonの手裏剣はYUMITORIによって弾かれている。
「ん、・・・ぐぐ・・・・・・」
「ムラオーマンたん!」
「ムラオーマン・・・オマエ・・・・・・」
「んぐ・・不死身の男、ムラオーマッ!」タータタータダラッ!(以下略)
「(・・・ッテカ、著作権的にマズイよな。)」
「私がDOHYOUにいる限り、この身散るまで闘い続ける、それがRIKISHIの運命(さだめ)だから!」
『 RIKISHIはDOHYOUで闘うのではない。闘いの場がDOHYOUとなるのだ 』
「カッコつけてんじゃねーよ、アイツ、・・・クソ、なんかカッコいいじゃねーか!」
「ふぉぉぉおお――――!! 新たなるYOKODUNAの栄光をつかむのは、この私だ―――!!」
螺旋のエメラルドグリーンの光がムラオーマンの全身を包むっ――――――!!
『 勘違いしないで頂きたい。憂慮すべきはムラオーマンの方である 』
『烏』の全身からにじみ出る暗流からは、この世ならぬ殺気を感じる。その通り。彼は螺旋力と反螺旋力を同時に併せ持つ、現時点でただ一人の男なのだ。それでもムラオーマンは――――――大地を蹴り上げて、飛び立つ。
『 SUMOU・・・それは大地への賛歌 』
「ワタシも米李下の人々全員の命を担ってこの約束の地、NIPPONにやってきたNE。ワタシも負けられないアルYO!!」
『 戦争に代わる外交手段としてSUMOUが注目されている 』
BUCHI-KAMASHI、勝者、――――――『烏』。
「ムラオーマンッッ!!」
着地――――ムラオーマンは軽やかに、滑るように着地した。
『 フィギィアスケートの起源はSUMOUという説も存在する 』
「『嘘だ!!』」
「着地はしなやか、『猿』と呼ばれた男、ムラオーマッ!」 ♪(ry
『 RIKISHIの行き着く先は霊長類最強の頂である。RIKISHIの前では大巨人(ゴリラ)も赤子に等しい 』
「・・・・・・とかいいながら、ジーンズの膝、結構擦っちゃってるぜ?」
両膝を突いてスライディングしたので、ジーンズが擦り切ってその下の皮膚にも大きい擦り傷を残したほどだった。ムラオーマンはその馬鹿力でもって膝から下を引きちぎり・・・・・・
『 RIKISHIもOSHARE-BANCHOには一目置いている 』
「あ、カツ○タ半ズボンですね!」
「ワイルドなスネ毛ボーボー男、ムラオーマッ!」
「メンドクセー、それだけが欠点だぜ。」
「・・・・・・いいのかな、こんなペースでダラダラ進行して。」卍F卍の素朴な疑問であった。
「いーんです、たいちゃちゃま。」
「だからオマエ卍F卍さんに"たいちゃちゃま"ヤメレ。」
「フッ、ショーショー雑談が多いDEATHネ! その口、ユガませてあげますYO!!」
YOKODUNAの巨体が悪しき力によって黒雲の広がる空に浮かび上がる。
『 力と優美さを兼ね備えたRIKISHIこそが高みへと昇るのだ 』
「どこが優美じゃああああああああああああああああああああ!!!!」
「優美どころか、○洗坂○長に似てるくらいですもんね・・・・・・」
「アーハー?? HEY、GIRL! イマ何と言いました!?――――――」
『 油断は禁物。相手も同じRIKISHIなのだから 』
「A.S.アンチスパイラル・RIKISHIって言われるほど僕は太ってませんよ・ビーム!!!」
卍F卍が『烏』の背後から会心の一撃。『烏』は空中でバランスを崩し、巨木へと墜落した。
巨木は、大きな音をたてて、地面に倒れた。
『 RIKISHIはJIHIの心を忘れない。RIKISHIには己の命に代えても守るべき命がある 』
「私が・・・・・・
私が・・・・・・
私が・・・・・・
私が丹精込めて育てた巨木を、貴様は今、私の前で倒したんだあああああああああああああああああ!!!
その恨み思い知れええええええええええええええええええええ!!!」
大地が、揺れる。
大地が、避ける。
大地が、光る。
「あぁ、やっと完全に視力が回復したとこなのにいいいいいいい!!!」
「ムラオーマンたんが、光ってますぅ!!」
「これは……ムラオーマン、オマエの力なのか!?、ってかオマエは林業に携わっていたのか!?」
「ムラオーマン、いや、『村凰』、youはあのワザを使えるようになったのNE!?」
『 裁定の神、GYOUJI召喚の儀である 』
「神の裁きを受けるがよい!!!!!」
「ヤヴァ、ムラオーマン、キャラ変わっちゃったよぉ・・・・・・」
『 幼少からのKEIKOがRIKISHIを育てるように、苗の頃からのTANSEIがRIKISHIを育てる 』
GYOUJIが放つ青白い光が、怯えきった『烏』の巨体を包み込む――――――
『 RIKISHIはたとえ誰が相手であっても全力を尽くす 』
「HA――――――☆ RI――――――☆ HA――――――☆ RI――――――☆ TE――――――――――!!!!」
『 後のYOKODUNA誕生の瞬間である 』
「輝いてる・・・・・・ムラオーマン、アイツの笑顔、輝いてらぁ・・・・・・」
『 力の輝き。それがYOKODUNAである 』
「ムラオーマンたん・・・・・・まぶし・・・・過ぎ・・・・・・。」
『 並のRIKISHIではYOKODUNAに近づくことすらできない 』
「うう、が、、ァ、、、、、、」
連続するHA☆RI☆HA☆RI☆TEの猛攻に、『烏』はただただ翻弄されるしかなく――――――
「ああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
遂ニ、目覚メテシマウ。
「アアアアアアアアアアアゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」
殺意之波動デュアル・D・スパイラル、完全解禁。」
『 その強大な力ゆえに暗黒面に堕ちるRIKISHIも少なくない 』」
巨体から滲み出る殺意が、木々を枯らせる。」
『 暗黒面に堕ちたRIKISHI。その波動は全てを滅ぼす 』」
「喰ラウガイイ、我が一撃、」
「弾 丸 肉 ボ ー ル ! ! !」
「「『なんちゅーワザだああああああああああああああああ!!!!!!!』」」
『 かつてのYOKODUNAは慢心ゆえに暗黒面へと堕ちた。悪魔界の大物もSUMOUには一目置いている。暗黒面の誘惑。それは血の絆さえも容易く断ち切る 』
「私は負けない、其処に木がある限り!!」
「『なんちゅー理由だあああ!!!』」
「コノ森ハ我ガ支配下ニアリ。邪魔者ナラバ七秒足ラズデ、皆、殺レル。」
『 これが暗黒面に魅入られたOYAKATAである 』
「ヤヴァイ、このままではムラオーマンのヤロウがっっ!!!!」
「ダメェ、ムラオーマン、死んじゃダメェェェエエ!!!」
「・・・・・・仲間の力を信じる男、ム ラ オ ー マ ッ ッ ! !」
『 SUMOUの未来は若きRIKISHI達に委ねられた・・・・・・ 』
「エ○ーナル・フォー○・ブ○ザァーード!!」
『烏』は、氷付けになった――――――はず、だった。
『烏』は、巨大な氷の中にその"型"だけ残して、その姿を消していたという――――――
Battle 04 vs ?????
『話は、チーム分け発表の直後に遡るわ。――――――』
国王は過去の世界から来た3人を引きつれ、廊下を歩きながら彼らの不安を取り除くべく相談に乗っていた。彼の部屋の前に到着。
「俺はヤクモと寝る。いつ墓荒らしに参るか分からん勢いなんでな。」
「私たちは?」
「向かいのこの部屋で寝てくれ。」
「『・・・・・・えっ?』」
国王が言わんとしていること―――要は―――イツキとルナ、二人きりで毎晩を共にしろ、ということだ。
「いいじゃないか、付き合ってるんだし。」
「おいおい、ちょっとそれは・・・・・・なぁ、ルナ・・・え?」
「イツキと毎晩、イツキと一緒、イツキとべったり、イツキと・・・・・・」
「自分の世界入ってるし・・・・・」
一方・・・・・・
「……なんやかんやで、ここに来てしまったな。」
「ハイ?」
「いや、ボクの父さんはこの国を裏切って、ボクだけを引き連れてちくわぶーの王族の側近になったんだ。」
「淡々と述べてますけど、結構スゴイこと言ってますよ、ソルさん?」
「はは、……それで、変ないざこざに巻き込まれて、今、ここにいる。」
「……私と………二人…きり…で?」
「ばかな、ボクは巨乳なお姉さんが好きなんであって、胸があるからとはいえcu:nonちゃんみたいな年下と付き合うほどロリコンでは――――」
「なななな、なんですとぉおおおおおおおおお!!!!!」
一方・・・・・・
"巨乳なお姉さん"であるoir-okeは――――――父親の遺体の前で手を合わせ、目を瞑って静かに立っていた。
「さっき冷凍保存っていってたけど、オレタチのオヤジはこうして、特殊な液体に付けられている。」、横からMrk.3が言った。
「この禿頭にたくさんついているのって・・・・・・」
「脳波超高速送信装置。脳内の情報をスキャンして、コンピュータにバックアップを取っているんだ。
それだけ、オレタチのオヤジは、あらゆる国の政治を揺るがしかねない、大きな情報を入手していたんだよ。」
「・・・・・・未だに・・・信じられないときがあるの。」
「えっ?」
「だって・・・・・・私たちが5歳くらいの頃は、あんなに優しいパパだったのに、どうして・・・どうして・・・・・・」
「アネゴ、ムリに思い出さなくていい。心の傷、こじ開けるだけだから。」
そんな姉弟だけの貴重な会話の最中、二人は誰かの足音が響くのを聞く。
「アネゴすゎ~んん!!」
少しは空気を読んで欲しいものだ。
「うわ、ソル!?」
「アネゴさん、卍F卍大佐が、外でお呼びです。」
「大佐が?」
部屋の外に出たoir-okeは、
「チームリーダーにだけ、父上がお伝えしておきたいことがあるそうだ。oir-oke、ちょっと来てくれないかな?」
と卍F卍に言われると、コクリとうなずいて、彼についていった。
二人にやや遅れて、国王が"対「螺旋八兄弟」特別司令室"に駆けつけた。
「お待たせしてすみません、色々と事情があったもので・・・」
「別に気に致しませんよ、国王様。それよりも、お3方だけに、どうしても話しておきたいことがあってな・・・・・・」
「何でしょうか、父上?」
「というのも、最近"金髪アフロ"の姿を見なくてな・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キンちゃんが?」
「いやいや、確かに金髪ですけどもね、国王様・・・・・・」
「もともとヘンなオジサマでしたしね。」
「それ言っちゃあ元も子もないけどな・・・・・・それで父上、最後に見たのはいつでしたか?」
「あの戦の直後だろうか・・・・・・少なくとも、国王様の意識が回復なさる前だった。」
「そういや、俺はあれから一度も会ってないな・・・・・・ってか月面以来かも・・・・・・」
「僕もあの戦以来会っていません・・・・・・」
『――――――その時から、何故か嫌な予感がしていたの。
でもまさかその予感が的中するなんて、思ってもいなかったの・・・・・・』
突如Team Blueの相手に増援が現れたので、oir-oke率いるTeam Redも対戦現場へと急行していた最中だった・・・・・・
oir-okeのバトルゴーグルに、特別司令室から無線が入る。
"時空歪曲値1756、メルポ南、エリアD-1に高圧螺旋E反応!"
「エリアD-1・・・・・・ココのことじゃない!?」
「どうした、アネゴ!?」
"パターン、青から紫・・・・・・周期的に変化しています!"
「oir-okeさん、ソルさん! 前方から微かな気配を感じます――――――」
"身元特定完了・・・・・・これは・・・"
「・・・・・・どうしたんですか!? 司令室、応答願います!!」
"金髪・・・・・・アフロ・・・二等兵・・・・・・"
「!!!!!」
oir-okeとソルが気付いた時には、目の前に巨大なロボットが立っていた。――――立っているように見えた。
「アネゴ、騙されないで下さい! あれは螺旋力を応用した神経中毒型視覚電磁ノイズ波(以下、毒電波と記す)です!」
「どういうこと?」
「要は、今彼らによって我々の視神経に異常が来たしているっつーわけです!」
因みに、毒電波に侵されていない人には、ちくわぶー軍の月面用上級戦闘車両スペース・ウォーリアーⅡが空中浮遊して見えるのだ。
「っく!!」
「アフロさんの心の中が見えない――――――恐らくは誰かに"洗脳"されたのでしょう・・・・・・」
「ヤクモくん・・・・・・あなた、結構コワい能力を持っているのね・・・」
「アフロよ・・・・・・今こそそのロボット、スカイブルー・GONZOUの力を見せてやれ。」
そして、ソルとヤクモがその姿を認めたときには、oir-okeは既に、ただならぬ殺気を発していた。
GONZOUという名の「架空の」ロボットの頭上に、すなわち空中に、静止する影――――――
oir-okeの最愛の人Makeyを殺した張本人、アオギリの姿が、そこにはあった。
「あなたは、この前の――――――!!」
「貴様、まだ生きておったのか・・・・・・!!」
「許さない、許さない、―――――絶対、、 許 さ な い ん だ か ら っ っ ! ! ! 」
「 朽 ち 果 て る が い い 。 GONZOU、"アフロ・ミキシング"だ。」
GONZOUから強烈な波動が押し寄せる―――――
「ぅぅぅ、んがぁああ!!」
「んんんん、あああああああ!!!!」
「っく――――――朽ち果てるのは――――貴様だぁ!! ド○ルド様の怒りぃ、黒眼呪殺詛!!!!」
「ふっ、そんなもので私を倒せるわけ――――――」
「如是我聞.一時佛在.舍衞國.祇樹給孤獨園.與大比丘衆.千二百五十人倶.皆是大阿羅漢.衆所知識.長老舍利弗.摩訶目■連.摩訶迦葉.摩訶迦旃延.摩訶倶■羅.離婆多.周利槃陀伽.難陀.阿難陀.羅■羅.■梵波提.賓頭盧頗羅堕.迦留陀夷.摩訶劫賓那.薄拘羅.阿■樓駄.如是等.諸大弟子.■諸菩薩摩訶薩.文殊師利法王子.阿逸多菩薩.乾陀訶提菩薩.常精進菩薩.與如是等.諸大菩薩.及釋提桓因等.無量諸天.大衆倶.爾時佛告.長老舍利弗.從是西方.過十萬億佛土.有世界.名曰極樂.其土有佛.號阿彌陀.今現在説法.舍利弗.彼土何故.名爲極樂.其國衆生.無有衆苦.但受諸樂.故名極樂.又舍利弗.極樂國土.七重欄楯.七重羅網.七重行樹.皆是四寶.周■圍繞.是故彼國.名曰極樂.又舍利弗.極樂國土.有七寶池.八功徳水.充滿其中.池底純以.金沙布地.四邊階道.金銀瑠璃.玻■合成.上有樓閣.亦以金銀瑠璃.玻■■■.赤珠碼碯.而嚴飾之.池中蓮華.大如車輪.青色青光.黄色黄光.赤色赤光.白色白光.微妙香潔.舍利弗.極樂國土.成就如是.功徳莊嚴.又舍利弗.彼佛國土.常作天樂.黄金爲地.晝夜六時.而雨曼陀羅華.其國衆生.常以清旦.各以衣■.盛衆妙華.供養他方.十萬億佛.即以食時.還到本國.飯食經行.舍利弗.極樂國土.成就如是.功徳莊嚴.復次舍利弗.彼國常有.種種奇妙.雜色之鳥.白鵠孔雀.鸚鵡舍利.迦陵頻伽.共命之鳥.是諸衆鳥.晝夜六時.出和雅音.其音演暢.五根五力.七菩提分.八聖道分.如是等法.其土衆生.聞是音已.皆悉念佛.念法念僧.舍利弗.汝勿謂此鳥.實是罪報所生.所以者何.彼佛國土.無三惡趣.舍利弗.其佛國土.尚無三惡道之名.何況有實.是諸衆鳥.皆是阿彌陀佛.欲令法音宣流.變化所作.舍利弗.彼佛國土.微風吹動.諸寶行樹.及寶羅網.出微妙音.譬如百千種樂.同時倶作.聞是音者.皆自然生.念佛念法.念僧之心.舍利弗.其佛國土.成就如是.功徳莊嚴.舍利弗.於汝意云何.彼佛何故.號阿彌陀.舍利弗.彼佛光明無量.照十方國.無所障礙.是故號爲阿彌陀.又舍利弗.彼佛壽命.及其人民.無量無邊.阿僧祇劫.故名阿彌陀.舍利弗.阿彌陀佛.成佛已來.於今十劫.又舍利弗.彼佛有無量無邊.聲聞弟子.皆阿羅漢.非是算數.之所能知.諸菩薩衆.亦復如是.舍利弗.彼佛國土.成就如是.功徳莊嚴.又舍利弗.極樂國土.衆生生者.皆是阿毘跋致.其中多有.一生補處.其數甚多.非是算數.所能知之.但可以無量無邊.阿僧祇劫説.舍利弗.衆生聞者.應當發願.願生彼國.所以者何.得與如是.諸上善人.倶會一處.舍利弗.不可以少善根.福徳因縁.得生彼國.舍利弗.若有善男子.善女人.聞説阿彌陀佛.執持名號.若一日.若二日.若三日.若四日.若五日.若六日.若七日.一心不亂.其人臨命終時.阿彌陀佛.與諸聖衆.現在其前.是人終時.心不顛倒.即得往生.阿彌陀佛.極樂國土.舍利弗.我見是利.故説此言.若有衆生.聞是説者.應當發願.生彼國土.舍利弗.如我今者.讃歎阿彌陀佛.不可思議功徳.東方亦有.阿■■佛.須彌相佛.大須彌佛.須彌光佛.妙音佛.如是等.恆河沙數諸佛.各於其國.出廣長舌相.■覆三千.大千世界.説誠實言.汝等衆生.當信是稱讃.不可思議功徳.一切諸佛.所護念經.舍利弗.南方世界.有日月燈佛.名聞光佛.大焔肩佛.須彌燈佛.無量精進佛.如是等.恆河沙數諸佛.各於其國.出廣長舌相.■覆三千.大千世界.説誠實言.汝等衆生.當信是稱讃.不可思議功徳.一切諸佛.所護念經.舍利弗.西方世界.有無量壽佛.無量相佛.無量幢佛.大光佛.大明佛.寶相佛.浄光佛.如是等.恆河沙數諸佛.各於其國.出廣長舌相.■覆三千.大千世界.説誠實言.汝等衆生.當信是稱讃.不可思議功徳.一切諸佛.所護念經.舍利弗.北方世界.有焔肩佛.最勝音佛.難沮佛.日生佛.網明佛.如是等.恆河沙數諸佛.各於其國.出廣長舌相.■覆三千.大千世界.説誠實言.汝等衆生.當信是稱讃.不可思議功徳.一切諸佛.所護念經.舍利弗.下方世界.有師子佛.名聞佛.名光佛.達摩佛.法幢佛.持法佛.如是等.恆河沙數諸佛.各於其國.出廣長舌相.■覆三千.大千世界.説誠實言.汝等衆生.當信是稱讃.不可思議功徳.一切諸佛.所護念經.舍利弗.上方世界.有梵音佛.宿王佛.香上佛.香光佛.大焔肩佛.雜色寶華嚴身佛.娑羅樹王佛.寶華徳佛.見一切義佛.如須彌山佛.如是等.恆河沙數諸佛.各於其國.出廣長舌相.■覆三千.大千世界.説誠實言.汝等衆生.當信是稱讃.不可思議功徳.一切諸佛.所護念經.舍利弗.於汝意云何.何故名爲.一切諸佛.所護念經.舍利弗.若有善男子.善女人.聞是諸佛諸説名.及經名者.是諸善男子.善女人.皆爲一切諸佛.共所護念.皆得不退轉.於阿耨多羅.三藐三菩提.是故舍利弗.汝等皆當.信受我語.及諸佛諸説.舍利弗.若有人.已發願.今發願.當發願.欲生阿彌陀佛國者.是諸人等.皆得不退轉.於阿耨多羅.三藐三菩提.於彼國土.若已生.若今生.若當生.是故舍利弗.諸善男子.善女人.若有信者.應當發願.生彼國土.舍利弗.如我今者.稱讃諸佛.不可思議功徳.彼諸佛等.亦稱説我.不可思議功徳.而作是言.釋迦牟尼佛.能爲甚難.希有之事.能於娑婆國土.五濁惡世.劫濁見濁.煩惱濁.衆生濁.命濁中.得阿耨多羅.三藐三菩提.爲諸衆生.説是一切世間.難信之法.舍利弗.當知我於.五濁惡世.行之難事.得阿耨多羅.三藐三菩提.爲一切世間.説此難信之法.是爲甚難.佛説此經已.舍利弗.及諸比丘.一切世間.天人阿脩羅等.聞佛所説.歡喜信受.作禮而去.佛説阿彌陀經」
「『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』」
「・・・・・・ふっ、ふは、ふはははははは!!! なぁに、ただの仏説阿弥陀経ではないか!! そんなものを唱えた程度で、大青だいせいブルトリア帝国建国の野望など打ち砕けるはずなどなぁあい!!!」
「『 大 青 ブ ル ト リ ア 帝 国 ? ? 』」
「はははははは!! 愚民ドモはその言葉さえ聞いたことなかったか!!! こんな愚民など、さっさと始末してしまえ、GONZOU!!」
GONZOUのアームがoir-okeに伸びる――――――
「きゃあっっ!!?」
「アネゴさ――――ん!!!」
「oir-okeさん!!」
GONZOUは両手で彼女の両腕をしっかり掴んでいた。
「まずはその女から引きちぎってしまえ。
女 が 戦 場 に い る の は 気 に 入 ら な い ん だ ! ! ! ! ! 」
「あああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
oir-okeの体が"軋み始める"。
「アネゴさん!!、、、くっそぉ、さぁ、大地y――――」
「速まらないで下さい、ソルさん! GONZOUが倒れるのとoir-okeさんが引きちぎられるのと、どっちが先か分かるでしょう!!それに――――アフロさんも、完全に洗脳しきられたわけではありません。彼も助けなければなりません。」
「くっそ、せめて俺ら以外の誰かが視覚から奇襲すれば――――――」
その時、彼らが見たのは、電光一閃。
一瞬遅れて、GONZOUの両アームは"斬りおとされていた"。
そして別方向から斬り刻まれる「青き光」。
その光はアフロを洗脳から解き放った。
「大・・・・・・佐・・・・・・・・・・?」
「無事ですか、アフロさん!?」
「大佐・・・・・私は、私は今まで・・・・・・?」
空中で静止していたアオギリはちっ!と軽く舌打ちして、その場を去った――――――去ろうとした。
「お前がアオギリ教教祖、アオギリか。噂には聞いてたぜ。」
その少年もまた、空中に静止していた。――――少女を抱えて。
アオギリはその少年に顔を近づけて、
「生憎ですが、先日アオギリ教は"Blue-Blue教"に改名したんですよ、――――――眼鏡王国、第*代、国王サマ」
国王は至って冷静な目つきで、
「今まで手下をよこしてきた黒幕は、お前か。」
「いかにも。
」 「そうか・・・・・・だったら・・・・"食す"、しかないなぁ。」
アオギリは、国王の耳に囁くように、
「それはいけませんねぇ、では私は逃げなくては――――」
「なっ!?」
一瞬にしてアオギリはスパイラル・テレポーテーションを行った、――――――アフロを連れて。
「き、消えた!?」
GONZOUのコックピットから卍F卍の驚く声が聞こえた。
oir-okeは――――――アオギリがさっきまでいた虚空を、ただただ憎悪の感情を顔に露にしながら睨んでいた。
遅ればせながら現場に駆けつけたMrk.3は――――――その姿を、母親が蒸発して以降の父親に対するあの日の眼差しと重ね合わせていた。
卍F卍は・・・・・・コックピットに白チョークで乱雑に書いてあった"楔形文字"の解読を進めていた――――――
『螺旋よ、永遠に。』
アオギリとの衝突から帰還した国王は、仮眠を取っていた。――――――
白いワンピース姿がまた視界にちらつく。
あぁ、また例の悪夢か。
手元を見る。
血に染まる手の平・・・・・・・
――――――突然体が何かに揺さぶられた。
目を開ける――――oir-okeだった。
「国王、何か寝言で呟いていたみたいだけど・・・・・・大丈夫?」
「あぁ・・・・・・たまに悪夢を見るんだ・・・・」
「そう・・・・でも、何か分からなくて悩んでいる、みたいな内容だったんじゃないの?」
「そこまで喋ってたのか・・・・・・」
「図星みたいね。
でも・・・・・・それが嫌なことなら、思い出さない方がいいわ。」
「でも、自分がそれを知らないのが、気持ち悪くて・・・・・・」
「分かるわ、私もそうだったもの・・・・・・」
「本当に申し訳ないと思っている、お前たち姉弟に、隠し事をしていたこと・・・・・・」
「もうそのことは終わり。本当に今はあなたに何の憤りも感じていない。」
oir-okeの顔が近づいてくる。
「むしろ、今は・・・・・・」
俺の瞳を、覗き込んでくる――――――
「このまま二人きりでいたい、とか思ってたりして――――――」
唇を突き出してきた――――――
――――――馬鹿馬鹿しい。
そこで目が覚める。どうも話が出来すぎていたのでそれが夢とはっきり気付いたのだ。しかし目が覚めて、尚国王は驚いた――――――
「う、ぅう、うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」、国王、二度目のアッパーカットであった。
「ぎゃぽ~~~~~~!!!」
何とベットの上で、cu:nonが国王に寄り添って寝ていたのだ。しかも、あのまま起きていなければ、国王はoir-okeではなく、彼女にキスしていた所だったのだ。
「ぜい、ぜい、ぜい、ぜい・・・・・・てぇんめぇぇえええ!!!!」
「ひぃぃぃぃいいいいいい!!!!」
「 喉 か き む し っ て 死 に さ ら せ や 、 こ の ア ホ 猫 がぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!」
一方、oir-okeは――――――今更にして、深い考え事に陥った。
//////
助けてくれたのは、国王だった。
自分は国王に抱かれたまま、アオギリと対峙した――――所謂、お姫様抱っこで。
////////////
自分は、oアズキo戦の後のあの語らい以来、ヘンに意識しすぎだ。
落ち着け、落ち着くのよ、いつもの、クールな私――――――
////////////////////////
一人で顔を紅潮させていた、丁度その時にソルが部屋に踏み込んだ。
ソルは・・・・・・
①顔を抑えている。②顔を手で押さえている。③何だかヤバそうなオーラを感じる。
以上から、彼は、アネキは泣いているんだ、そう判断した。そしてこう言い残して、去っていった。
「アネゴさん、特別司令室に全員集合だそうですよ。何でも・・・・・・アオギリ、に関する新たな情報が、入ったそうです。」
しばらくして、oir-okeは、"自分の心の整理をつけていた"と思わせるべく、"重い足取り"で司令室に入った。
中には既に元帥、自分以外のRGB全員、そして――――――見慣れない男が約二名いた。 「oir-oke、ようやく来たか。」
「すみません、遅れました・・・・・・」
「まぁよい。それでは早速本題に移ろう――――――」
ここで、付け足すのをすっかり忘れていたので、"新生鬼 眼鏡の聖地 Ⅱ 卍F卍"のエピローグと、序に"新生鬼 眼鏡の聖地 Ⅲ Mrk.3"のプロローグを載せておこうかと思います。。
"新生鬼 眼鏡の聖地 Ⅱ 卍F卍"のエピローグ
宇宙戦争は眼鏡・黄昏軍大勝の形で終わった――――――少数の死者(※①)と、4人の行方不明者(※②)を残して。
ダートムはひどく悲しみにくれながら、戦争を起こした帝王の罪を代わりに償うべく、国際刑務所へと送られたのだった……
暴動を起こした黄昏の民間人は、眼鏡王国軍と共に、母星地球へと帰るものが大半だった。何十人かの研究者は基地に残ったようだ。
ちくわぶーの残党も潔く撤退していった。
命からがら、あの男(※③)も地球にたどり着いていたようだ。
さて、四賢者とその彼ら救われて一命を取り留めた元帥は、元CL・肉眼の反乱軍と戦うべく、今日も奮闘していたのだった。
"新生鬼 眼鏡の聖地 Ⅲ Mrk.3"のプロローグ
oir-okeは、真っ暗闇の中、暫く一人、放心状態で反螺旋力の波を漂っていた。
彼女は目を開けた。
真っ暗闇の中、ただ真っ白な仮面(※④)が一つ、ぽつりと浮かんでいた。
その真っ白な仮面は、ニヤリと笑った後、すーっと消えていった……
また暫くして、oir-okeはまた意識が遠のいていた。
ゴツン☆
何か硬いものにぶつかった。壁だろうか。
彼女は目を開けた。
四角い、窓のような、切り取られた風景(※⑤)が、またしても漆黒の闇のなかにポツンと存在していた。
そこには、少女(※⑥)の後ろ姿が映っていた。
oir-okeは目を凝らした。その"四角"の中の少女を辿った先に…………
彼女は、忘れもしない"彼"(※⑦)の、"彼"とはとても思えないような形相を見た。
彼女は、咄嗟に危険を察知し、こう叫んだ後、また意識が遠のいていくのであった。
「千眼力!!」
闇に「パリーン」というあたかも"窓か鏡かが割れるような音"(※⑧)が響き渡ったが、彼女の聴覚神経が感じたかは定かではない……
(※ 解説)
①Makey、その他もろもろ。
②卍F卍、oir-oke、ソル、cu:non。
③アオギリ。
④死神。
⑤月宮家、洗面所の鏡。oir-okeは、その鏡の"向こう側の世界"にいる。(RIVAL編で後述予定の"反螺旋隔絶宇宙ムコウガワノセカイ"である)
⑥ルナ。
⑦Mrk.3。当時、彼は死神に洗脳されていた。
⑧突然鏡が割れた、アレ。
「アオギリは現在の自分の宗教の前身『アオギリ教』を全世界に広めるため、ちくわぶーの強大な権力を借りようとしたが・・・・・・失敗した。そして現在、地道に勢力を伸ばし、国を混乱させて大青ブルトリア帝国を建国させるべく各地で内乱を起こしているわけだ。」
「で、Jii-san元帥、『Blue-Blue教』とは・・・・・・」
「『Blue-Blue教』は、詰まるところ"異性愛は不幸を呼ぶ"と説く、非・人道的宗教だ。しかしこの理論を、日々の夢想で悟りを開くことで培ってきた"生"のエネルギーの根源、螺旋Eによって正当化しようとしているのだ。」
「・・・・・・Jii-san元帥、よく分かりません。」
「アカツキ・・・・・・結局、無理にでも同性愛を正当化したい人が集まってる、ってことだ。」
「政府には『同姓婚認めてくんないと、いろいろやっちゃうゾ☆』という脅迫文が送りつけられている。」
「『いろいろ』ってアバウトだな・・・・・・。メンドーだから認めてあげれば、国王サマ?」
「Mrk.3、それは無理なお願いだ。火星へ移住、もしくは軍人を所望する地球人が急増したせいで、少子化に悩まされる現在いま、同姓婚を承諾してしまえば、確実に地球上の人類は衰退してしまう。」
「そういえばそんな話もあったね・・・・・・」
「何にせよ・・・・・・あいつの首は頂くわよ。Makeyを殺した人間がまだこの世にいるというだけで、鳥肌が立つわ!!」
「Makeyのアニキ・・・・・・死んだのか・・・・・・ソイツぁ、許せねえなあ!!!!。」
「アネゴさん、Mrk.3さん、ボクも闘います。元ちくわぶーの民として、国を利用しようとしていたやつを消す責任が、ボクにもあります!」
「私、隆鳳も黙ってはおりませんぞ。この世にゲイ・ホモが蔓延る限り、私は戦い続ける!!!」
俺としても、あんな風に抱きつかれるのはもう御免だ。国王、心の呟き。
「ホモはド○ルド様だけで十分だ!! ド○ルド教信者の僕としても、許す事は出来ない!!」
「やっくん、それでもお前寺の子か! ルナ、また変なのに巻き込まれそうだけど・・・・・・」
「もうすでに巻き込まれてるじゃない! それに男なら、そんなだらしないこと言わないの! 今を楽しまなくっちゃ!」
「未来を見ず、過去を振り返らず、今を楽しむ男、ムラオーマっ!(BGM省略)」
「しかし父上、生存が確認されている"八兄弟"の残党は、これまで以上の強さを誇るのでは・・・・・・」
「いや、隆鳳殿とムラオーマン殿の戦闘能力は、司令室側としても高く評価している。5人PT2組で行動すれば、まだ太刀打ち可能と考えている。」
「5人ずつ? 今は、国王様、Mrk.3、卍F卍大佐、イツキくん、ルナちゃん、やっくん、cu:non、ソル、隆鳳さん、ムラオーマンさん、そして私の、11人ですよ・・・・・・」
「oir-oke、君には急遽、単独任務の要請が入った。君はしばらく特別編成チームから抜けて、この単独任務を遂行することとなった。」
Battle 05 vs ?????
国王はその後、再び一人で死体保管庫に立ち寄った。
どうしても気になったのだ、あの白いワンピースの少女のことが。ここにくれば――――
兄上の死体を見れば、何か分かるかもしれない・・・・・・兄上とその少女は、事件上直接には関係していないはずだ、母上を殺したのは、兄上が殺された2、3年後のことだ。 兄上の死体が特殊な液体につけられ、浮かんでいた。国王はその前で手を合わせる。暫くして兄上の死体の背後に回った――――
そこで国王ははっと気付いた。兄上の背中に刻まれている、刻印である。
王家自体に刻印の慣わしはないのだが、現国王ら兄弟は厄払いのため、特別に背中が刻印が彫られているのだ。兄の刻印は"神"を表す。そして自分の背中に彫られた刻印は―――
―――皮肉にも、"鬼"を表す。 そこで、ふっと思い出された――――――その少女の背中にも、刻印が刻まれていた気がするのだ。いや、はっきりと思い出された――――その刻印は、確か――――――。
"EMERGENCY"のサイレンが鳴ったのは、国王がそのことを思い出したのと同時だった。
oir-okeを除いた10人には直ちに出動要請が出た。何でも、あのアオギリをも超える、螺旋Eが観測されたらしい。
司令室:
「時空歪曲値1332、メルポ北森林部に超高圧螺旋E(エネルギー)反応!」
「パターン、赤から白・・・・・・これは・・・・・・」
「身元特定不能・・・・・・出動メンバーは十分注意されたし!!」
「ここに来て初めての『身元特定不能』か・・・・・・」
「でも、国王サマ、相手が螺旋力を持っているということは、Blue-Blue教に関与していると断定できないのですか?」
「いや、cu:non、勘違いしないでくれ・・・・・・螺旋力は決して彼ら独自の力ではない・・・」
国王は今までに何人も螺旋力を使う人々と戦ってきた。忘れもしない――――――oir-okeとMrk.3の父親、零もその一人だった。
「・・・・・・どうかしましたか、国王サマ? お顔色が悪いみたいですけど・・・」
「何でもない・・・・・・お前に寝込みを襲われかけたから、かも。」
といって誤魔化してはいるが、国王は先ほどから違和感を持っていた。自分はこれから、自分の歴史の記念すべき1ページに立ち会おうとしている、そんな気がした――――――
悪い意味で。
司令室から指定されたポイントは、そこだけ木が生えず、ただむき出しの地面があるのみの空き地のような場所だ。――――――まさしく、戦場として使われるために存在するような、そんな雰囲気が漂っていた。
突風がフィールドの周りの木々を揺さぶる。国王はバルキシの剣を構える――――――既に柄を握るその手のひらは汗ばんでいた。
国王は突如、異変に気付く――――――
国王とcu:non以外の8人全員の体が、硬直していた――――――彫刻の如く。
そのまま――――――彼らは倒れていく。
「!!!!!」
「い、いつの間に!!??」
その時、国王は聞き覚えのある、無機質な声を聞くのである――――――
「ヨウヤクコノ時ガ来タワネ、メガネオウコクオウ。」
「シナ――――お前なのか、こんなことをしでかしたのは……」
「私ハ既ニ"ヤツ"ニヨッテ体ヲ蝕マレテイル。」
「"ヤツ"? アオギリのことなのか?」
「私ハ当然ノ処置ヲシタ。今宵ノ晩餐ニハ、コノ小娘一人デ十分。」
"小娘"は何が何だか分からず、ただオロオロとしていた。
「なぜ俺のパートナーがコイツなんだ!?」
「・・・・・・彼女ノ実力ヲ・・・・量リタカッタ・・・・ソレダケ。所詮彼女ハアナタノオ荷物デシカナイ。
全力デ、アナタト、戦イタイ。」
彼女の言動は、あたかも国王にしか話しかけぬような、回りの者は皆"物"としか捉えていないような、そんな感じだった。
「お前が怪我するのは一向に構わんが、俺に怪我させたら承知しねぇかんな。」
「はい、全力でお供します!!!」
ここは全力でツッコんで来るかと思っていた国王は、意外に空気の読める奴だと、cu:nonにヘンに感心してしまった。
「あぁ、全力で、戦おう!!!」
「心!!!」
「超・絶・電磁砲!!!」
「螺旋疾風龍(ラセンシップウリュウ)!!!」
国王の剣先から飛び出た電撃と、シナの手から繰り出される螺旋力がぶつかり合う。その横を、シナの手裏剣が飛ぶ
――――――パシっ! 手裏剣は真っ白なシナの右頬を撫でて赤いラインを残し、その銀髪数本をサッと切り裂いていった。シナの体は国王の攻撃によって弾き返される。が、シナは軽い身のこなしで着地する。
「ナカナカヤルワネ、小娘。」
「小娘呼ばわりは嫌いデス!!」
「ソウ、ジャアコレハドウ?
地割金剛針(ジワレコンゴウバリ)!!!」
地面に無数の亀裂が入ったかと思うと、なにやら得体の知れぬ無数の物体が飛び出して国王たちに向かってくる――――ダイヤモンドの針だ。
「千眼力(サウザンド・アイ)!!!!」
千眼力――――万物を打ち砕く、"乙女だけが使える魔法"である。金剛針は一瞬にして粉砕され、失速して散っていった。螺旋Eフィールドに守られたシナは、微笑を浮かべ、
「ホウ、ココマデ善戦シテクレルトハ思ワナカッタワ。」
「俺も心底驚いてるよ。逆に俺が助けられるなんてな。」
「デモ――――――ココマデヨ。
ダ イ ヤ モ ン ド ・ プ ラ ン ト ! ! ! ! ! 」
シナの足下から生える根、太い根は、ひび割れた大地を縫うように伸びていき――――――
「!!!!! 逃げろ、cu:non、ジャンプだ!!」
国王は電磁力、cu:nonはシノビパワーで空高くジャンプした。
「あいつは俺たちを取り込む気だ――――」
「国王サマ、下、下!!!」
「!!!!!!!!!!」
気 付 い た 時 に は 、 既 に 遅 か っ た 。
二人の体は、太い2本のツルに絡み取られていた。
「んあああ、あ、あああああああああああああ!!!!」
「うぉぉぉ、、、、あああ、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」
「ドウ、植物トイウ下等ナ生命体ノ餌食ニナッタ感想ハ? コレカラアナタタチハ金剛石ダイヤモンドノ果実トナリ、コノ木ニ養分ヲ吸イトラレテ朽チテイクノ。モットモ、だいやもんどニナッテ暫クスレバ、アナタタチハ窒息死シテシマウデショウケドネエ?」
「んんんん、あ、ああ・・・・・・」
「んんんんんんががが、んがああ・・・・・・」
既に彼らの体は硬直し――――――ものの十数秒で・・・・・・
彼らの体は、ダイヤモンドの中に埋められてしまった。
「マア、闇風之刃ヤミカゼノヤイバヲ使ウマデモナカッタワネ。アナタタチノ敗北ヨ。ドウセ私ノ体ハ、先程ノあおぎりトノ戦闘デ負ッタ傷ガ拡ガッテ、朽チテイク、ソウ思ッテイタワ。」
シナはアオギリに先に手を討とうとした――――しかし、アオギリに返り討ちにされた挙句、命からがら逃げてきたのであった。
「デモアナタタチノ養分、ソウヨ、人間二人分ノ命ガアレバ、ありすニヨッテコノ傷ノ進行ヲ食イ止メテイタッテ、真ッ当ナ人生ヲ遅レルワ。有難ウ、眼鏡王国王。有難ウ、コムスメ。――――――」
ピキっっ。
「―――――― ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! 」
ピキピキピキっ!!
「バ・・・・・・バカナ・・・」
ピキピキピキ――――――パリーーーン!!
「ゔぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっ!!!!!!!」
漆黒の羽根が、宙に舞い上がる。
反螺旋の灼眼―――緑の補色、赤い眼まなこが、ギロリと動く。
鋭い刃歯やいばが、ギラリと光る。
その闇の翼は、空一杯に広がるかと思われるほど大きい。
金剛石の破片の中に眼鏡がポツンと残る。
鬼人・眼鏡王国王、降臨である。
「サァ、でぃなーたいむハ始マッタバカリダ。
真ノ姿ヲ見セルガヨイ、しな!!!」
「アハ、アハ、アハハ、アハハハハハハ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!・・・・・・ハァ、ハアァ、ハアア、アア、アアアア、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッッ!!!!!!!」
国王の反螺旋が、アオギリの螺旋催眠によって蝕まれたシナの肉体を苦しめ始める。
大きな純白の翼を隠し持った天使は、いよいよその翼さえも、変貌を遂げ始めるのである。
大きく見開かれた灼眼は、やがて全てを飲み込むような漆黒の――――寿命を削る黒魔術、アリスが正しく相応しい――――漆黒の瞳へと変わっていく。
解き放たれた両翼は各々がニ分割され、やがて純白の羽根を撒き散らしながらニ対目、三対目の腕へと変わり果てていく。
獣のように長く伸びた爪で、己の衣服さえも引き裂き、その白い素肌を月光下に晒す。
銀髪は突風に晒され、元の艶やかさの面影など、微塵の欠片も残ってはいない。
これがシナのなれの果て。
昔は"金髪"の照り映える美少女であった彼女が、唯一変人と呼ばれる要素があったとすれば、・・・虫、特に、蜘蛛を非常に可愛がっていたこと・・・・・・
そして遂に理想―――蜘蛛の如く、計8本の"肢アシ"を手に入れた、シナ。
この変貌こそが、彼女の鬼人化である。
Battle 06 vs シナ・最終形態
- M o r t a l i t y -
夕来帰トワイライトの闇が深まる。
互いににらみ合う二人は、いつ食って掛かるか分からない獣。
今から、二人きりの厳かな血祭バンサンが始まる――――――――
「今マデアナタガワタシニ勝ツノハ絶対デアッタ。運命サダメデアッタ。ソノ運命ガイマ、揺ライデイル。ソレガドウイウコトカワカル? ワタシノ努力ガ、遂ニ報ワレル時ガ来タッテコトヨ。
ア ナ タ ハ コ ノ 母 ナ ル 大 地が い あ ノ 上 デ 朽 チ テ イ ク ノ ヨ !!!!」
「チガウナ。朽チテユクノハオマエノ方ダ、しな。
オマエハ"オレサマ"ニ食サレテ、ソノ肉ヲ牙デ引キチギラレ、 "オ レ サ マ" ノ 胃 ノ 中 デ 煮 エ ク リ 返 ル ノ サ !!!!」
「アハハハハハ!!オモシロイワ!! イイワヨ、コクオウ。ドチラガ本当ニ強イカ、ココデ決着ヲツケマショウ!!」
「ア タ リ マ エ ダ !! "オレサマ"ガコノ時ヲドレダケ待ッテイタト思ッテイル!? オマエガ逃ゲテキタセイデ・・・・・・」
「コ ン カ イ ハ 逃ゲナイワ!! 今回ハ、サイコーノこんでぃしょんダモノ!!」
「上等ダ!!!――――――
迅 雷 神 速 剣 !!!」
「闇 風 刃 ・ 乱 舞 ヤミカゼノヤイバ・ランブ!!!」
国王の愛剣、バルキシの剣と、シナの忍び刀、闇風之刃が、激しくぶつかり合い、火花を散らす。その鮮やかな互いの剣捌き自体が鋭利に思われて、夢幻と信じ込んでしまいそうなほどだ。一旦間をおいて、国王が再び畳みかける――――
「野暮ネ―――
地 割 金 剛 針 ジワレコンゴウバリ!!!!」
「!!!???」
先程はcu:nonに助けてもらったこのシーンだが、国王単体では鬼人化していないと避けるのも危うかっただろう。
「時ノ咆哮!!」、国王は大技を使ってでも全弾叩き落とすしかなかった。
「甘イワ――――
九 頭 火 炎 斬 クズカエンザン!!!!!」
「!!!!!!」
国王の"砲撃"後の一瞬のスタンさえも、彼女は見逃さない。灼熱の九段斬が、鬼人の体に切り傷を刻み、火傷を負わせる。彼女の斬撃は続く。
「紅 蓮 剣 ・ 鎌 鼬 グレンケン・カマイタチ!!!!!!」
「―――迅 雷、 氷 殺 剣 !!!!!!」
素肌を切り刻む鋭利な熱風を突き進み、国王は何とかシナに一矢報いた。これで少し間を開けたと思った―――矢先だった。
「大 蛇 裂 空 光 オロチレックウコウ!!!!!!!」
「ナッ!!!!!」
一瞬にして国王は、その瞼を閉じても溢れんばかりの"閃光"に体を持っていかれる――――
「コレデ・・・オワリネ。
銀 龍 半 月 斬 ギンリュウハンゲツギリ!!!!!!!!」
高々と振り上げられたその刀の動きが、国王の脳をさらに撹乱させ――――――刀身が星影スターライトに照らされて、ギラリと光った。国王は一瞬死期を悟った
―――が、まだ早い!!! 満点のの下星空モト、森に響き渡る、クリアーな金属音。
「フッ、・・・・マダ死ニタラナイカ?」
「メッソウモナイ。"オレサマ"ヲ殺スナンテオマエニハマダ荷ガ重イゼ?」
シナは少し、口元を釣り上げて、
「最高ダ。・・・・・・コンナニ面白イ決闘でゅえるハ初メテダ!!」
「アァ、
最高ニExcitingデ、
最高ニHotデ、
ソレデイテ、最高ニCoolダ!」
シナが、その惨ムゴたらしい姿ながら、――――少し微笑んだ、そんな気がした。
二者は互いに剣を構えなおす。
二人はもう出来ている。
このすぐ先に見る、運命との対面を。
これが、自分達が望んだ未来なんだと、―――確信を持って、そう言える。
無論、"鬼人"の二人にはそんなことなど、どうでもいい話なのだが。
「先ニ言ッテオク、――――――アバヨ。」
「ジャア私モ、――――――ジャアネ。」
この間―――5秒間ですら、そこに無限の時間を感じる。そして、夢幻ムゲンのような時も、終わりを告げる。
「 迅 雷 龍 星 剣 !!!!!!!!!」
「 飛 天 疾 風 突 !!!!!!!!!」
両者の剣が、互いの肉体に斬りかかり――――――
あっという間に、気付けば互いはその戦場の対岸にまで移動していた。
国王は聞く。
シナの――――最期の、呻き声。
――――――しかし、国王が一瞬遅れて感じたのは、極度の―――殺意、だった。
「 斬 空 烈 風 陣 ザンクウレップウジン!!!!!!!!!!」
身を翻したシナは、六対の腕に剣を構え、振り回す。自分の寿命を犠牲にする魔法、アリスの究極段階であろう。急激にこちらに飛んで向かって加速してくる。
諦めの悪いやつは――――――微塵と化すまで、叩き斬るしかない。
漆黒の翼が、堕天使に"処罰"を下す――――――
「 迅 雷 裂 空 剣 !!!!!!!!!!」
――――――――――――――――――――――――。
やがて"人間"は、目を覚ます。
『俺は今まで一体・・・・・・。
はっ!そうだ、シナは!?・・・・・・あれは・・・・・・』
振り向くとシナが倒れていた。ピクリとも動かない。
『そうか・・・・・・倒した・・・のか・・・。俺が記憶を失う前・・・・・・そうだ!! ダイヤモンドに閉じ込められて・・・・・・!!!」
国王は再び前を見た。
ダイヤモンド・プラントの幹はシナの死によって朽ちてしまったが、cu:nonを包む"果実ダイヤ"だけが腐らず、ただ光り輝いてそこにあった。
『まずい、小娘が!! くっ、・・・・・・』
地に突き刺さっていた剣を引き抜こうと、国王は柄を掴んだ・・・そこで気付いた。 肉体は、鬼人のままだ。
――――構わん!!
「 うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおああああああああああああ!!! 」
国王はよろめきながらも果敢にダイヤモンドに立ち向かい、残りの体力で剣を振りかざした――――――
しかし、折れたのは・・・・・・剣の方だった。
「 !!!!!、くっそ!! 」
まだ国王の戦意は折れない。剣からレーザーが伸びる。国王は今度は、レーザー刀を振りかざし―――――
「 ふぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!!!! 」
しかし――――レーザー刀までもが、折れて、地面に刀身が転がった。もうすでに取り乱していた国王は、
「 ・・・・・・あぁ、あ゙ぁ゙ぁ゙、ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっ!!!!!」
拳をダイヤモンドへとぶつける。シナの殺意によって固められたそのダイヤモンドは、その螺旋力でもって、鬼人の弱った体を弾き返す。
「くそっ、くそぉっ、くそぉぉぉおお!!!!」
国王は弾かれ、跳ねられ、吹っ飛ばされても、尚よろめきながら立ち向かう。その右拳は血まみれになっていた。
"人間"は考えた。俺はどうしてこんなことをしているんだろうと。
あれだけ自分に引っ付いておせっかいばかりかけていたcu:nonに対して、なぜ俺はここまで頑張っているんだろうぁと。
なぜ彼女を助けようと、手を血まみれにしてまでも頑張っているのだろうかと。
わからない。
わかりたくない。
わからないほうがいい。
しかし"人間"の理性は、"鬼人"の野性を、闘争心を、負けん気を、そして――――――本能さえも、止めることが出来ない。
しかしこの場合、"鬼人"は、殺意でも、食欲でもない、新たな感情に突き動かされているようだった・・・・・・
ここで"人間"はあることに気がつく。
『そうだ、血を吸おう。
シナの血を・・・・・・吸おう。』
国王は"人間"を取り戻してからは初めてシナの元へと近寄った。
シナはその美しい絹肌、未発達な体を月光下に晒し、仰向けに倒れていた。
その綺麗な肌、体は、今から思えば、傷つけることさえ億劫になってしまう程だ。
国王はまだその爪の生えた両手でシナの体を掴み、血の吸えそうな場所を探す。
首の右側に斬り刻まれた、おそらくその致命傷が、まだ赤々と血を垂れ流し続けている。
国王はそこに口を持っていった。
そして、シナが仰向けでは飲みづらいからと思い、シナの体を持ち上げて、ひっくり返す――――――
そこで、国王は、反射的にシナの体を離してしまった。
何故だ。
何故俺は彼女の体を離したんだ。
わからない。
わかりたくない。
わからないほうがいい。
しかし、分かってしまう。
- S o r r o w -
まだ俺が幼い頃、俺は父上から存在を無視されていた。
母上が、兄上が、王族やその親類が、メイド・執事達が、俺を慈しんでくれた。
しかし父上は、俺に、愛情の眼差し一つ、向けたりはしなかった。
父上は、正統な王位継承者ではない俺を嫌った、
そして父上は、俺のエメラルドグリーンの眼を嫌った。
兄上が、かっこいいね、と褒めてくれたこの眼を、忌み嫌った。
俺は復讐を誓った。
魔法使いが蔑まされない国を、兄上に築いてもらうために。
そして・・・・・・次に生まれてくる、母上の子供が、同じ仕打ちを受けないために。
父上、兄上、そして俺の、3人しかいない部屋で、
兄上は背後から父上に斬りかかった。
その剣こそ、バルキシの剣。
爆龍鬼神(バルキシ)の名の通り、神と、鬼と、龍が宿るという、王家代々伝わる宝剣であった。
もちろんのこと、王宮内は混乱した。
皆が殺した犯人を探していた・・・そんな最中だった。
俺はあの夜の、銃声を忘れない。
敵を討った、今でも。
兄上は、間 零――――――Mrk.3の父親の放った弾で、今の俺より若い年齢で、父親の背中を追っていったのだ。
兄上の目の色は、黒水晶、だった。
"アイツ"が生まれたのは、この数日後のことであった。
この数年後、俺は初めて、人を殺した。
道端で背後から間 零を滅多斬りに、串刺しにしてやった。
その皮膚を剥ぎ取っても残るぐらい、彼の顔に赤い死化粧を施してやった。
それから――――母親が蒸発し、父親に散々いじめられてた姉弟を、王国は保護した。
彼らの嫌な記憶を消すため――――俺は、部分的記憶喪失を提案したのだった。
弟は今記憶を取り戻し、俺の背後で銅像のように依然として固まっているはずだ。
そして、さらに数年後――――――
"アイツ"は俺の前から去った。
俺の部屋の前で、最後に大粒の涙を流した後、走って王宮を出ていった。
俺と同じ輝きの金髪。
白いワンピース。
ガーネット色の眼。
忘れないはずだった。
忘れるはず、ないじゃないか。
でも、忘れてしまった。
いや、忘れさせられてしまった。
母上を殺した俺が、その事実の隠蔽と引き換えに喰らった罰は――――皮肉にも
――――隠蔽工作に余分な記憶を消すため――――部分的記憶喪失をさせられること、だった。
母上の眼の色は、黒水晶だった。
そして俺は知っていた。
"アイツ"は無理矢理ガーネット色の眼にさせられたのだと。
"アイツ"の本当の眼の色は、――――――黒水晶、だった。
そして、記憶のパズルピースは、再び埋まる――――――――
国王は"アイツ"の顔を見るため、長い爪の生えた手で再び仰向けにする。
こんなにも目の前に、ありありと事実が存在している。
俺が痛がる"アイツ"を見て、途中で止めさせようとした、背中の刻印。
長男の刻印は"神"を表す。
次男の刻印は"鬼"を表す。
そして、長女の刻印は――――――"龍"を表す。
その"龍"の刻印が、目の前にある。
そして銀髪は、みるみる金髪に"戻ってゆく"。
あぁ、分かってる。
いや、最初から分かってたのかもしれない。
シナは、俺の妹だった。
最愛の妹だった。
俺は父上以外の皆から慈しんでもらった代わりに、彼女を際限なく慈しんだ。
そして・・・・・・
オ レ サ マ ハ、 サ イ ア イ ノ イ モ ウ ト ヲ 殺 シ テ シ マ ッ タ。
声が出なかった。
ただ国王は、大粒の涙を流した。
ただただ涙ばかりが、頬を伝う。
涙は頬を伝い、顎へと流れて、雫は彼女の唇に注がれる。
「泣かないで。」
!!!!!
国王は、小さく動いたその唇に耳を近づける。
「泣かないで、兄上・・・・・・。」
奇跡・・・・・・だったのだろうか。
漆黒の眼差しが、微かに"炎"を灯す。
「兄上って・・・俺の・・・こと・・・?」
シナがゆっくりうなずく。
国王の涙腺はまだ緩まない。
「ごめん、・・・俺、お前が妹だったって、最後まで、・・・・・・最期まで気付けなかった・・・・・・本当に、兄、失格だ・・・」
「お願いだから、涙を、ふい・・て・・・・。
私のほうこそ、ごめんなさい・・・・・・本当のこと、私が、あなたの妹だったってこと、隠してて・・・・・・」
シナは、おだやかに笑った。
「シナ・・・・・・で・・・いいか?」
「いいわよ。・・・ちくわぶー時代から使ってた偽名だけど・・・・・・元々私達に、名前は無いんだから・・・・・・
私、兄上のこと、見守ってるから。いつでも・・・・・・いつ・・・までも・・・・・・。」
「シナ・・・駄目だ、逝っちゃ駄目だ!!」
「私には、もうじき、お迎えが来るわ・・・・・・
それより、・・・・・・兄上には、私のほかにも、守るべき人がいるんじゃないの?」
!!!!
国王は涙を拭って後ろを振り返る。ダイヤの中には、まだcu:nonの姿があった。
「水でぬらせば、他の人は助かるわ。だから・・・・置土産(ダイヤ)を壊して。・・・
・・・卑怯かもしれないけど、私には、もう、どうすることも・・・・・・
・・・いいえ、一つだけ、いい方法があるわ。」
「・・・・・・教えてくれ、シナ。」
「私の血を飲んでもいいわ、兄上。」
「嫌だ、絶対!! もうこれ以上――――」
「時間が無いわ、このままじゃあのコが・・・・・・これがあなた達にできる、唯一の罪滅ぼしだから、どうか、受け取って・・・・・・」
「そ、そんなぁ・・・・・・」
「寂しがらないで、兄上、私はいつでもあなたを見守る、そう、この星空の何処かで、・・・約束するわ・・・・・・
最期に一つだけ、・・・・・・お願い、聞いて・・・くれないかな・・・」
「馬鹿、最期とか言うんじゃねぇっっ!!!」
「兄上のこと・・・・・・
お兄ちゃんって・・・呼んでも・・・いい?・・・・・・」
「・・・・・・あぁ・・・・・・・・・」
「私を、愛して、くれて、ありが・・・とう、・・・おにい・・・・・・ちゃん ・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・シ・・・ナ・・・・・・
・・・・・・シ、ナ?
・・・シナ。・・・シナ! シナ!! シナぁ!!!
シナああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!!!!!」
国王は、再び涙腺の緩んだ眼を、だんだん冷たくなってゆくシナの肩に埋める。
鬼人の慟哭が星空に響く。
しかし神様は、国王を急せかす。
もうこれ以上、大切な人を死なせたりはしない。
首右後方の傷口に口を近づけるのに、わざわざうつ伏せにさせるのさえ、今となっては時間が惜しい。
鬼人は、その牙を立てる。
生ぬるい血が、喉の渇きを潤す。
やがて全身に彼女の血は回り、再び力がみなぎってくる。
もうこれ以上、大切な人を死なせたりはしない。
国王は血を飲むことで、その人の特技を使うことが出来る。
シナの特技は、螺旋魔術、そして――――――アリス。
彼女は自分の命と引き換えに最期まで俺にぶつかってきた。
ならば、俺は――――――
自分の寿命を削ってでも、大切な人を守ろう。
もうこれ以上、大切な人を死なせたりはしない。
国王は立ち上がる。
シナの遺体に背を向けて。
真正面にある、ダイヤモンドの中の、cu:nonだけを見つめて。
「生」と「死」の二重螺旋が、国王の拳にあふれ出す。
国王は駆け出す。
シナからもらった、最後の力を振り絞って。
拳に全力を懸けて――――――
「 死 ・ 双 螺 鉄 拳 デスドリルブリット!!!!!!!!!!!!!!! 」
ダイヤモンドにヒビが入り、やがて――――木端微塵に砕け散る。
力尽きた国王は、cu:nonの目の前で、倒れる。
「・・・国王サマ?、国王サマ!!!」
cu:nonは国王に呼びかけた――――――
cu:nonは、国王がこっちを向いた瞬間から、もう言葉が出なかった。
国王の右翼は漆黒。
国王の左翼は純白。
国王の右頬は、ダイヤの破が突き刺さった右額から、血が伝う。
国王の左頬は、全ての事実を見つめた左目から、涙が伝う。
国王の右眼は赤。ダイヤの破片で切り、血の雫を垂らしているcu:nonの下唇が映し出されている。
国王の左眼は緑。今はただ慈しむように、cu:nonの怯える瞳を見つめている。
血に飢えた人喰鬼の食欲と、
愛に飢えた思春期男子の性欲は、
その少年の自制心リセイは止めきれず、
血伝う唇にむしゃぶりつくのを、
辛うじて優しく触れるに留めることしかできなかった。
欲を満たし目元を緩ませた少年は、
頭を少女の胸元に委ねて意識を失った。
悲しみの、雨が降る。
固まった8名が、意識を取り戻す。
放心状態のcu:nonは、その眼で、肌で、雨が振っていることにさえも、気付いていないかのように見えたほどだった。
雨が、血を拭う。
しかし、真実は拭われない。
恋心は拭われない。
そして、悲しみは、拭われない。
――――――――――――この風景を何回見ただろうか。
部屋の間取り、ベッドの形状、シーツの触り心地、そして点滴、全てが変わらない。
ただ前と変わっていたのは、
何にも例えようもない、罪悪感。
そして、悲しみ、だった。
夢だ。
全部夢だ。
全部夢に相違ない。
全部夢であったと言ってくれ。
全部、夢であって欲しかった。
「・・・・・・ぁ・・・・・・」
生々しい記憶。
唇で触れた、肌の感触。
生ぬるい血の味。
微かに"灯っていた"、灼眼。
かすれるような声。
「ぁ、・・・・・・あ、ぁ・・・・・・・・・・・・」
そして、震えていた、最後の、口の、動き。
ダ
イ
ス
キ。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
第一巻、END。
ヤヴァ、LOVERS編のシナリオを脳内に描いていたら、朝っぱらから涙が・・・・・・なんつー自画自賛。
次回のお話、RIVAL編では、再び2009年側にも動きが出てきます。
ハヅキやリョウマが死に、イツキ・ルナ・ヤクモが行方不明となっている2009年の世界。
新たな主人公となるのは・・・・・・
もちろん、5009年側も進展していきます。
5009年側は、oir-okeが遂行する単独任務のシーンから始まります。
残りの螺旋8兄弟も登場。
いよいよアオギリとの決着も――――――
それでは最後に。(特に意味ないですけど;)
外伝Ⅵ・解
地面に転がる、使用済みの注射器。
歩くハヅキの後姿。
独り立っているのは、キャップ帽を深く被った少年、眼噛ネムル。
その背後に立つ、もう一人の幼い少女、シナ。
美しい銀髪の髪を風になびかせる。
丈の長い、真っ白の清楚なワンピース。
ネムルはキャップ帽のつば・・の下から、暗い眼差しを覗かせる。
「またお前か。」
「アナタガ戻ッテキテカラ始メテ会ッタ。」
「そうか。」
「ハイ。」
「ん?」
「忘レ物。」
それは、至って質素な出で立ちで、対照的にエメラルドの宝石の装飾が映える、日本刀。
「爆龍鬼神の剣……。」
「死神ヤツモマタ、ココニ帰ッテキタ。」
「何だって?」
「忠告ハシタ。ドウスルカハオ前次第。」
「了解。
それでも最近つくづくわかんねぇわ。
お前が敵なのか、味方なのか。」
「神ハ私ニコウ告ゲタ。
私ト貴方ハ、出会うベキジャナカッタ、ト。
ソシテ、私ニモ見エル。
私ト貴方ノ、最後ノ結末ガ。」
「神だの仏だの、予言だの運命だの、過去だの未来だの、俺は全然興味ねぇよ。
…………でも、勘ってやつなのかな。
俺もそう思うんだ。どうもこれ以上はお前と接触するのはイケナイらしい。」
「………………。」
「あばよ。」
銀髪の少女は、少年の立ち去る後姿をじっと見ていた。
誰にも見えないはず。
でも、少女には見えていた。
少年の背中に生えている、漆黒の翼が。
なぜかって?
少女にも生えているから、
純白の翼が。
<epilogue>
禍福如糾縄(サイオウガウマ)とはよく言ったものだ。
確かに、太陽はいつか沈んで夜になるし、春・夏・秋が過ぎればやがて冬が来る。
でも、夜はいつか明けるし、いつか春はやってくる。
そう、この悲しみと寂しさと悔しさと、鬱と不安と恐怖が入り混じった不安定(カオス)にも、やがて精神安定(コスモス)の光は差す。
しかし、この苦しみに、少年は耐えられるだろうか。
またナイフを拾い上げてその胸にかざしたりはしないだろうか。
彼を再び正しい人生(ミチ)に戻してくれる仲間はいるだろうか。
もちろん、いる。
発狂する彼の心の闇を一掃してくれる、心強い魂之兄弟がいる。
さぁ、光の世界への扉は開かれた。
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